5.間違った
私の人生は間違いだらけだった。
色々な分岐点が私の前には何度もあったのに、間違えた選択しか出来ないでいた。
そして残ったのは、くだらないプライドとゴミみたいな結果ばかり。
どうして生きているのだろうか、とずっと思っている。
誰にも相談する事が出来ず、私の悩みはたまっていくばかりだ。
「それなら死んじゃえばいい。」
急に何でか分からないが、私はこのまま死んでしまおうと決心していた。
死んでも悲しむ人もいないし、未練も全くない。
それなら別に構わないだろう。
よし、死ぬか。
そして私は本当に軽く、自分の生死の選択をした。
そこからの行動は早かった。
終活に似たような作業を、私は短時間で済ませた。
お墓を買った後は、あまりにも非現実すぎて笑いが止まらなかった。
そして1ヶ月も経たない間に、死ぬ準備が完了した。
しかしそこで、私は思いもよらない壁に突き当たってしまう。
「自殺のやり方。やり方。どうしよう。」
私はパソコンの画面を前にして、途方に暮れていた。
死ぬ前の準備は出来た。
後はどうやって死ぬかが、問題だった。
「死にたい。早く死ななきゃ。でも、どうやって?」
『自殺』と調べてみて、色々と候補は見つけた。
しかしどこか決定打に欠けているのだ。
私が最後にする選択だから、やはり良いものにしたい。
妥協をしたくないと思っているからこそ、困っていた。
そしてある日、私はついに理想の死に方を見つける。
いつものようにネットで探している時に、たまたま入ったとあるサイトにあったのだ。
『簡単に綺麗に死ぬ方法、教えます。』
たったそれだけ書かれていて、興味をひかれた。
だから特に何も考えずに、気が付けば私はそのサイトの主に連絡を取っていた。
女性か男性かも分からないその人は、懇切丁寧に私に死ぬ方法と手段を与えてくれた。
『これを飲めば楽に死ねます。大勢の前でも1人でも、どこでもいいので飲んでください。あなたが死ねるように、心からお祈りしています。』
最後のメールは丁寧な言葉で締めくくられている。
私はそれを見つめて、そして送られてきた小さな瓶を見た。
透き通った青色。
とても綺麗で、更には好きな色だった事にテンションが上がる。
これでようやく死ねるのだ。
メールに丁寧な返信をし、私は瓶のふたを開けて勢いよく飲んだ。
それから何時間が経っただろう。
「が……あが……けほっ。」
私は天井を見上げて、苦しんでいた。
瓶の中身を飲んですぐに、喉がかーっと熱くなった。
そしてすぐに死ねるのだろう。
期待して待っていたのだが、私は未だに死ねていない。
騙された。
この状況を見れば、その結論に辿り着くのは明らかだった。
いつ死ねるのだろうか。もしかして、ずっとこのままなのか。
起き上がる事も出来ず、体に襲い掛かる苦しみを受け入れながら私は涙を一筋流した。
また選択を間違ったのだ。
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