『シュバリエと私』の記録

@milkcocoa_crown

第1話 第一次魔女戦争

 今からおよそ数十年前、二人の魔女が森から飛び出し、帝都を襲った。

 人と魔女は互いを嫌っていたため、隣国だがお互い干渉しないようにと何百年も続いてきた。

 だが、それもこの日を境に終わりを迎えた。

 たった一度の過ちで、呪いで、我を失った魔女は帝都を半壊までし、再び森へ帰るな否や打ち首にされ、帝都に首を譲渡された。

 だが、そんなもので人々は許すはずもなかった。

 国民は我先にと武器を手に取り敵わぬ魔女に攻撃を始めた。

 そして、その後の戦争は一度も止まることは無く、今に至る。

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「諸君、とうとう我々が先頭に立つ日が来た。後先にも我らが帝都には人材も資源も残りわずかしかない。だから、我々が大いに健闘しようではないか!」


 そういって兵士たちを鼓舞するのはまだ20歳前後の好青年だ。

 彼自身もなぜ自分が先頭に立っているのか疑問に思ってるだろう。

 そんなところからも帝都の人材不足が大いに伺える。


「魔女は幻影を使い味方の格好に扮してくる、味方との合言葉を決めたり、分隊行動などを徹底するように。―一人目の魔女が見えたら突っ込むぞ。覚悟は良いか!」

「うおおおおお!」


 一致団結し各々高らかに雄たけびをあげた。

 帰るところはもうすでにないも同然。

 突貫覚悟は準備万端だ。


「伝令! 第一波来ました!」

「総員突撃!」

「うおおおおおおお!」


 剣と盾を装備した歩兵と騎兵は再び大声をあげて突撃していった。

 勝てるはずもないのに。

 中には泣きながら突っ込み、そのまま死んでいく者もいた。

 リーダーの好青年はそれを横目にひたすら前へ進んだ。


 そして、いつしか周りからは誰の声も聞こえなくなっていた。


「テルー! カイ! おいおい、ほかの連中もどこ行った!」


 隊の中でもそこそこ強かった二人を叫んでも周りからは不気味な笑い声しか聞こえない。

 砂塵の中よく凝らしてみるとカイらしき人影が。

 いや、そいつは紛れもなくカイだった。


「おい、心配したぞお前までもやられてしまったかと思った」

「……あ、ああ。俺も心配した」

「他の仲間は知らねえか?」

「ああ、それなら知ってる」

「ほんとか、すぐ合流しよう今ならまだ立て直せる」

「じゃーあ、合わせてあげるわね。ふふふ」


 ドスッ。鈍い音が腹から聞こえた。

 腹には短剣が刺さり血がとめどなく溢れてきた。

 目の前のカイはほくそ笑んでいた。


「貴様、魔女か」


 口からも血は溢れてくる。

 もう、対処のしようがない。


「ご明察。ごめんねだまして。あたし、これが仕事なの。おまけにこんな魔法もプレゼントよ」


 とどめに魔女の杖から無数の氷のつぶてが出てきて体を貫通していった。

 立つ力も話す力もなく無様に膝から崩れた。

 そのまま、死ぬんだと思い好青年は気を失った。

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「良い人見つけた。この人持って帰ろう」

「それ、もう死んでない? 無理だと思うよ」

「大丈夫って、私の腕の見せ所ってもんよ」

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