第4話 北条早雲

「父上! いきなりで申し訳ありません。父上にいくつか提案したい策があります」

 そういって氏康ちゃんが天守の襖を開ける。

「氏康、話があるのは分かったから、もう少しおしとやかに歩けぬのか? お主の足音がここまで聞こえておったぞ…」


 早雲さんはそういって頭を抱えていた。

「して、お主が小太郎か? 」

 早雲さんはさっきの温和な感じとうってかわり、俺のことを鋭い眼差しで見つめてくる。

 まぁ、こうなることは予想出来ていたけど、かなり怖い…。


「はい、私が風魔小太郎です」

 そういって氏康ちゃんの手を離して土下座をして頭を下げる。

「あぁ、よいよい、そんなに畏まるな、単なる確認だ」

 そういって俺の肩に手を置き、耳元で話しかけてくる。


「男勝りな性格じゃが、どうやらお主の前では乙女らしい、氏康のことを泣かせたら承知せんからな」

 と言って肩をバシバシ叩いてくる。

「話は終わったか父上? 妾と小太郎が一緒に考えたのですが、どうでしょう? 」


 そういって氏康ちゃんが早雲さんの顔を見つめると早雲さんは渡された書類に目を通すと頷いて

「提案してきた2人が核となり、この策を成し遂げてみせろ」

 と言って氏康ちゃんにバレないようにニヤニヤ微笑みかけてきて小声で『愚娘を頼んだぞ』と言われてしまった…。





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