第3話 献策

「小太郎、何処じゃ? 」

 バタバタと廊下を走る足音と共に姫様…。いや、殿の声が聞こえる。

「主、部屋に居ますよ? 」

 そう叫ぶと足音は俺の部屋に向かってやった来る。


「軍議だ小太郎! 」

 そういって彼女は、俺がこの居城に居候することになってから毎朝やって来るのだ…。


「小太郎、川が氾濫して辺りの田畑に被害が出てしまったのだか、どうしたら良いか御主は分かるか? 」

 俺に意見を求められても正直、的確な意見が言えるか分からないのだが…。

「河川敷に盛り土をする。もしくは川にいくつかの支流を作って力を分散させるって言うのはどうだろう? 」


 ただ、この提案は現代の日本に住んでいたから出せる提案であって俺が考えた案ではないので少し心が痛む…。

「さすがだ小太郎! 見るところが我と一緒だ! 小太郎、父上に相談しに行くぞ! 」

 そういって座っていた俺の手を取り『早くせんか! 』と言って急かしてくる。

 父上ってことは北条早雲だよな? まだこの居城に居候することになってから会ったことないんだけど…。


「本丸に行くぞ!」

 そういうと氏康ちゃんは俺の手を握ったまま駆け出してしまった。


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