第5話 現代の知恵
「おぉ~っ、凄いな小太郎! このスコップと呼ばれるものは…。これだったら空堀程度の物なら直ぐに作れるな! 」
氏康ちゃんは、嬉しそうに俺の腕に抱きついてくる。
「うん、そうだねぇ~」
はたして、この時代にスコップを作り上げてしまって良かったのか、少し疑問に思う。
この感じだと明日か明後日には支流が出来そうだ。
「小太郎、もうそろそろお昼ご飯だな? 一緒に食べないか? 」
そういって服の裾を引っ張ってくる。
「ご一緒したいのは、やまやまなのですが何分、弁当を持ってこなかったので…」
そういうと氏康ちゃんは風呂敷包みからお弁当箱を2つ取り出した。
「手作りだから味の保証は無いけど、それでも良いならどうかな? 」
お弁当を開けると、そこには玄米とカブの煮物や大根の漬物が入っていて、この時代にしては豪華なお弁当だった。
「ありがとうございます。それじゃあ、いただきます」
手を合わせて、ご飯をいただく。正直、少し物足りなさを感じるが…。
「どうじゃ? 美味しく出来てるか? 」
不安そうな顔で俺を見つめてくるので俺は微笑んで
「愛情が込もっていて美味しいです」
と伝えると彼女は顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「ありがとうございます、美味しかったです♪ 」
「分かった、また作ってくる…」
顔はまだ真っ赤のままだが、俺に寄り添いながら彼女は恥ずかしそうに呟いた。
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