第1章 疑問


戦争とは、なにか。


私もわからない。


なんのために、なにが目的で、

何故、殺し合うのかわからない。


ごく稀に笑っているやつがいる。

あれもわからない。何故あんなに楽しそうに人を殺せるのか全くわからない。


別に人殺しを軽蔑しているわけじゃあない


私だって人を殺す。

けれど、好きで殺しているわけじゃない。


私は、人殺しを演じている。


何故って?

秘密だ。私は女の子だぞ?秘密の1つや2つ

あるだろう?


何、女の子なんて聞いてない?


言っていない。

始めに女だって言ったら舐められるだろ?


戦場じゃあ男も女も関係ない


「ザーッ、1905から作戦Bに移行する。オクレ」


聞こえたか?出番だそうだ。


じゃあ行ってくる。


死ぬなよ、新人。






俺は、昨日この戦場に来たばかりだ。


見て、わかった。

酷い、酷い酷い酷い酷い、


こんな戦場、いやこんな世界に生きるなら


死んだほうが幾らかマシだ。


さっき話しをした上官は俺の10も歳下の

17だぞ?なんでそんな娘が…

戦場を語れるんだ?


俺は孤児院の出だが彼女の両親は…


俺と同じ事情だろうか、


いや、考えるのは後にしよう


なんせ今は戦場のど真ん中にいる立っているからな。


死んだほうがマシとは思うが

あの上官に言われちゃあ死ねないな




その俺の思考時間は3秒にも満たなかったが俺はとりあえず生きることを決めた。



彼女はやはり凄かった。


飛び交う鉛を避けながらの跳躍


重力をまるで感じさせない身のこなしから

鉛を撃ち込む1球1球、まるでその玉が当たる事が必然であるかのような


完膚なきまでの


殲滅だった。


この戦場で舞う、彼女は

なにを想っているのだろう。


あるいは

今、自分が何故ここに有るのか

わかっていないかもしれないと俺は密かに

思っていた。





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