第6話

 俺は夢を見た。


 それは、少年少女が公園で遊んでいる夢だ。


 いつも仲のいいお友達。


 砂場で遊んでいるところ、鬼ごっこで遊んでいるところ、少女がケガして、少年が手当てをしているところ。


 いろんな場面を見た。


 その場面を見るたびに胸が苦しくなる。


 いつもの交差点の場面に移り変わる。


 その瞬間、一気に苦しくなる。


 そこは5年前、ここで少女が事故に遭って亡くなってしまった。


「また遊ぼうな!」


「うん!」


 いつも通り別れた。


 はずだった。




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 バサッ!!


 俺は跳ね起きた。


 今回の夢は前にも何回かあった。


 最近はあまり見ていなかったのだが、また見てしまうとは…


 今の時間は5時半過ぎ。


 いつもより1時間も早く起きてしまった。


 いまは誰とも顔を合わせたくなかった。


 リビングに置手紙を置いて学校に向かった。




〔今日は早く起きてしまったので、朝食はいりません。by奏〕




 カツカツカツ…


 自分の靴の音がいつもより大きく聞こえる。


 カァーカァーカァー…


 カラスの鳴き声も大きく聞こえる。


 朝早く起きて外に出ると身が引き締まる感じがする。




 6時半に学校に着いた。


 校庭や体育館には部活の生徒がいるが教室内には誰もいない。


 いないほうが都合がいい。


 少し眠いが寝たくない。


 寝たらまたあの夢を見てしまいそうで。




 俺には幼馴染がいた。


 幼稚園からの馴染みでとても仲が良かった。


 兄妹に思われるくらいには。


 よく家に遊びに行ったし、お泊りの時は一緒にお風呂に入ったし、怖くてトイレに行けない時一緒に行ったりした。


 そんなある日、いつものように公園で遊んでいた。


 帰る途中、信号を渡っているとき彼女の体に異変が起きた。


 彼女の持病で心臓を悪くしていた。


 俺はそのことに気づかず彼女の体が倒れていくのがドッキリだと思った。


 彼女が倒れているときにトラックに撥ねられ救急車に運ばれていった。


 そのまま意識は戻らず死亡。




 俺は気づいたら泣いていた。


 誰もいない教室でただ一人。


 声を殺し目を固く閉じ手を固く握りしめ泣いていた。


「……黒井くん……?」


 最悪だ。


 目をこすり顔を上げると天風が教室に入ってきたところ。


「…おはよう」


 泣いていたことがばれないように無愛想に挨拶をした。

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