彼女と会う時はいつも雨.13
「何か、方法はないんですか?」
少年は玲と二度と会えなくなる。ここまでは理解できた。でも、きっと嘘だとも思った。首を横に振った玲をしばらく見つめていると、観念した様子で玲は口を開いた。
「少年。私は本当に幽霊なんだ。かつて死んでしまって、でも、今もまだこうして少年と話している。それがどれほど無理のあることで、出鱈目なことをしでかした結果だということくらい、わかってくれるだろう?」
雨が次第に強くなってくる。それに合わせるかのように、玲の顔色がどんどん青ざめて、足の部分が薄くなっていっている。これが相応の報いだと玲の全身が、少年に告げている。
「……玲さんは、こんなまどろっこしい手段は使いません。無理をして、体を壊すようなタイプです。こんな遠回りな手段を、玲さんは絶対選びません」
この雨は、玲の雨ではない。最初はそうだったかもしれないが、今は違う。嘘をついているのか、誰かに操られているのか、そこはわからないが、確実に何かおかしなことが起こっている。
「幽霊が、君の友達になってもいいのかい?」
「当然です。紳士は、誰に対しても平等に接するべきだからです」
雨がいつもの調子に戻った。同時に、玲の足も元通りになっている。うん、そちらの方がずっと良い、と少年は思った。
「好きでいたい気持ちを我慢しなくていいのかい?」
「僕も、もう我慢はこりごりです」
†
雨を嫌いだと、人は言う。気分が沈む。出かける気でいたのに、止めようか逡巡する。体調がすぐれなくなる。どれも理解できることで、よくわかることだと少年は思う。それでも、そう、それでもだ。少年は雨が好きだし、同じくらい雨が好きな玲のことも好きだと思う。真実、玲が幽霊で、少年が青年になるまでは生きられないということが分かっても、それは変わらない。少年は、きっと一生雨を――その不利益も丸ごと――好み続けるだろうし、秋雨の降る頃には少年時代を懐かしく思うだろう。
Loves Go On!!~Shootin'Star Train For Anywhere~ 留部このつき @luben0813
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