星を見る人たち.15
†
水を飲んで、いくつかの呪文を自分にかけて、ようやく人心地ついたミオは、重々しく口を開く。
「私ね、今ちょっと星空を見るのが怖いの。自分の容量ギリギリのことがたくさん起こっちゃって、頭と体はなんとか追いついてるんだけど、気持ちが置いてけぼりで」
「それが、どうしてあんなパニックになって震えるような事態につながるのよ」
不機嫌そうな様子を見せる寧子に、ミオは頷く。
「うん、順番に話す。それでもなんとかシノと話したりすばるさんが優しかったり竜崎君が面白かったりしたおかげで安心できたんだけど、中々寝付けなくて、さっきようやくウトウトし始めたんだけど、そしたら突然私が身一つで星空の中に浮かんでて。『ヤバい!逃げなきゃ死んじゃう!!』って気持ちばっかり先に出ちゃって体が動かなくて――当り前よね、夢を見ていたんだから――それでもなんとかしなくちゃって思ったら叫んでたみたい。まだまだ鍛錬が甘いわね、私」
魔術師だの魔法使いだのを名乗るなら、誰よりも冷静でいることが大事なのに、とミオは自嘲する。
「星空の中に浮かぶ夢?この時間に寝ようとしたら、星空の中に浮かぶ夢を見たのね?」
そんなミオの様子よりも、寧子はそちらの方が気になった。確かに疲れているときに恐怖心の対象が夢に出るというのは理解できる。自然な流れだ。しかし、寧子には一つ心当たりがあった。自分の携帯電話を取り出して、写真のフォルダを探す。目的のものはすぐに見つかった。数枚の写真と動画だ。
「ミオ。もしかして見た星空ってこんな感じのやつ?」
ミオに携帯電話を渡して、写真を見せるとミオは目を丸くした。
「うん、これこれ。……なんで
言いながら、ミオの顔色が再び真っ青になっていく。何がそんなに怖いのだろうか。見ようとすればいつでも見られるものなのに。
「星々の海が何のことか知らないけど、これはすばるが寝てる時の部屋の様子よ。熟睡してる時は部屋の中がこんな感じで異空間につながって星空になるの。早送りも何も普通に等速再生だけど、ミオはなんでそんなことを知ってるの?」
「え?」
ミオはポカンとした顔がよく似合う。
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