星を見る人たち.14
溜息ばかりが出てくる。人懐っこい性格なのは事実だし、親しみが持てるタイプで夕食の準備の時にもよく動いていた。だが、何を考えているかすべて分かっているわけではない。所詮は異世界の人間だ。社会常識がすべてかみ合っているという保証などどこにもない。この前だって二千年級の吸血鬼を退治しなければならなくなった時に、情にほだされて手が鈍り、あわや命の危機というところまで陥ってしまったのに。
竜崎も竜崎だ。
「どうしたものか……」
何かしらの対処を考えておく必要がある。だが、妙案がなかなか出てこない。すばると竜崎の二人には相談するだけ無駄だ。
悩んでいても仕方がないか、と諦めたタイミングで悲鳴が聞こえた。ミオの部屋からである。
寧子はミオの部屋に早歩きで向かい、ドアを開ける。
「何があったのよ」
見ると、ミオはベッドから転げ落ちてブルブル震えている。時刻は深夜。すばるは眠っていて起きてないようだ。
「星が、星が迫ってくる……!」
歯の根があっていない。冷や汗もかいており、顔面も蒼白だ。目の焦点も定まっていない。
「は?どうしたのよしっかりしなさいよ」
意味が分からない。溜息をつきながら寧子が言うと、ようやく寧子の方を見た。
「シノ!?いつからそこに?」
「悲鳴が聞こえたから様子を見に来たの。何よ、星が迫ってくるって」
「悲鳴?私は悲鳴を上げたの?」
混乱しているようだ。疑いの目で寧子を見てもいる。「何かしたんだろう」と訴えかけてくるミオのその目に、寧子は苦笑を浮かべて肩をすくめた。
「そんなに不安なら一度私がかけた能力を解きましょうか?あなたにかけた程度のものなら解けるけど」
周囲を見て、ミオが部屋に持ち込んだ自分の杖を持ってわずかに魔力を込めて、何度か深呼吸をする。
「……ごめん、大丈夫。ちょっと時間もらってもいい?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます