星を見る人たち.2
まだ何か言い足りない様子の竜崎を遮るように、寧子の電話が鳴った。
着信の名前を見ると、事務所の名前である。
「はい、東雲」
電話口の向こうから、凄まじい早口が押し寄せてくる。
『あ、ネコ?珍しいじゃないあなたがまだ学校にいるのに数コールで出るなんて。分かった竜崎君に絡まれてたんでしょ。まぁいいや、そんなことより仕事仕事。何か街中で変な人がいるって噂になってるのは知ってるわよね。あーうん別に言わなくても良いわ、どうせあなたのことだから竜崎君に教えてもらうまで興味ないでしょうからね。とにかく、その噂の変な人をウチで保護したの。街中彷徨ってて可哀想だったから後ろからちょちょいっとね。で、捕まえて保護して警察屋さんだまくらかしたまでは良かったんだけど、全く言葉が通じなくて困ってるのよ。あなたの能力を使えばなんとかなるでしょ?図書室で元気に不健康でいたい気持ちは分かるんだけど、早く事務所まで来て』
噂の猫女を捕獲、事務所で拘束。用事を放棄して尋問を手伝え。要点だけ言ってくれないものかと思いつつ、寧子は返事をする。
「……はい、わかりました」
電話を切ってから舌打ちすると、竜崎が苦笑した。
「すばるさん、相変わらずすげぇなぁ。もう見つけちまったのか」
「当たり前でしょ、あの人は星の導きで物事を考えてるんだから」
失せ物探しと尋ね人に関しては、
†
魔物退治人事務所。日本中のあらゆるところにあり、寧子たちの事務所は駅前のテナントだ。「人が多すぎると星が見えなくなる」という理由ですばるが借り受けた。しかしすばる一人だけでは事務所の運営は難しいので、すばるが本来所属している事務所から寧子と竜崎を派遣するような形で、この事務所は成り立っている。強大な
「魔術の相性は、良いのよね……」
事務所のビルの前まで来て、溜息をつく。竜崎は部活があるからと学校に残った。腹立たしい。
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