自由席

くろーばー

自由席

「自由席」




「私がココに来てからどのくらい経つのだろう。

もう、1年になるかな?

いや、半年?

...3ヶ月?

まぁ、なんでもいいか。


とにかく、昨日今日の話ではないのは確かだ。



公園の森の中。隠れた様に じっ と立っている。


そうしていると、色んな人がふらふらっと現れる。

幸福そうな人。疲れた様な人。死にそうな人。元気な人。老若男女。

本当に色んな人だ。



ところで、話は逸れるが、一つ聞いて欲しい事がある。

話して良いかな?




老若男女。




ろうにゃくなんにょ。









言いにく過ぎる。



実は、僕は今話している事を毎日話しているんだ。毎日色々な人が来るからね!


それで僕はたまに、この『老若男女』を噛んでしまう事がある。


君は噛まずに言えるかな?

せーの!と言ったら、ちょっと試して欲しい。いくよ?




せーの!





試してくれてありがとう!

僕は君が大好きだ!!


今日から、僕らは友達だ!

君も気軽に僕の事を呼び捨てでよんd





あ!前の方から一人の男性が来た。

ごめんね、ちょっとお仕事に戻らせてもらうよ。


僕は、人が来たらこの看板をその人に見せなくてはいけないんだ。」







男は立ち止まる。




「何だこの椅子。」




公園の端にある小さな森の中に、椅子がポツンと置かれている。


それは木漏れ日を浴びて、とても神聖な物のようにも感じ、とても人懐っこく親しみやすい感じもした。



男はその椅子に近付く。

そして、椅子の丁度座る部分に立て掛けてある板を見る。

そこには、たどたどしい字でこう書いてあった。



『ボクをみつけてくれた人へ

ボクは じゆうせき です。

ごじゆうにおすわり下さい。

そして、なんでもすきなことを1つして下さい。

おともだちのイスより 』



男はその板を手で持つと、椅子に座った。

そして、目を瞑る。




地面がひと粒の雨を吸い込んだ。



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