第40話 ミフネは思う故にここはどこ
私はミフネ。ピンク色の浴衣を着てるのだわ。金髪碧眼の打ち手である私は巧みな話術でスミカを湾岸ハーバーホテルの最上階まで追い詰めていた。最近クロシマさんと付き合いだしたって言うから、本当かどうかこの目で確かめたかった。そしたら二人手を取り合ってホテルまでダッシュするし……でも、クロシマさんが引っ張られてるだけにも見える。
なんかスミカが勝手に付き合ってるって言ってるだけな気がしてきた。もしかして私もワンチャンあるんじゃないのかしら?
とりあえずワイン飲むのだわ。
ミフネ「じゃあ、かんぱーい!」
ちりんちりーん
クロシマ「お、花火が始まった」
ひゅーん、どぱーん
スミカ「素敵ですね」
クロシマ「き、きみのほうが……」
なんかクロシマさんがギクシャクしてる。
スミカ「ちゃんと台本通りにやってください」
クロシマ「ちょ、ちょっと恥ずかしいよこれ」
ミフネ「な、何やってるのだわ……」
スミカ「私たちが恋人だってこと見せつけておかないと、ミフネさんが手を出してきそうだから」
ちっ、スミっちのくせに勘が鋭いのだわ。
ひゅんひゅんひゅん。。。どどーん。
赤い花火。黄色い花火。色とりどりに散っていく。
クロシマ「ミフネさん、今日はテンション低いね。飲みすぎ?」
ミフネ「ち、違うのだわ!」
スミカ「タクシーなんか乗るから、車に酔ったんじゃない?」
ミフネ「どれだけ乗り心地の悪いタクシーに乗ったっていうのかしら」
スミカ「……まあ、いいわ。じゃあ、さっきのやり直しね。次の花火が上がったら『きれい……』って言うから、クロシマさんは『スミカさんも……///』って言ってね。ああ、あと、ミフネさんも参加したかったら『ぐぬぬ。悔しいけど二人の仲を認めざるを得ない』って言って良いですよ」
クロシマ「スミカさんも。スミカさんも(ぼそぼそ)」
クロシマさん、なんか練習してるのだわ(汗)
こんな茶番に真剣に付き合おうとしてるクロシマさんを見てるとものすごくイラついてくるし、それを黙って見てるなんて私らしくないのだわ。
ミフネ「クロシマさぁん、スミっちなんかほっといて二人で抜け駆けするのだわ」
クロシマさんの左腕に自分の右腕をからめてみたりして。
スミカ「なん……だと……」
クロシマ「や、やめてくださいミフネさん(汗)」
おおっ、なんかもっと押せばいけたりする?ちょっと体も押し付けてみるのだわ。
スミカ「ぐぬぬぅ!」
スミっち。あんたがそのセリフを言うとは。
ちょっと油断したスキにクロシマさんが私を突き放した。強い力で。状況を理解するまで少しの間、ぽかんとしてしまった。
クロシマ「ごめんね、ミフネさん」
ミフネ「むーっ!クロシマさん!」
なんかダメだな、私。
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