第39話 決戦湾岸ハーバーホテル最上階ラウンジ
私はクロシマさんの手を取り、1km先の湾岸ハーバーホテルを目指していた。スマホで目的地までの経路を出す。花火大会は19:30だから残り1時間。余裕で間に合う。
私がクロシマさんの手を引っ張ってるせいか、私だけ疲れてる気がする。
私「クロシマさん!クロシマさんは私をエスコートしないの!」
クロシマ「ぜぇっ、ぜぇっ……えっ?」
私「体力無さすぎ!そんなんじゃ、教室にテロリストが来ても私を守れないわよ」
クロシマ「そ、そんなこと考えてないし!」
私「ぷぷっ……ははっw」
なんかまるでかわいい弟ができたみたい。彼氏彼女のお付き合いってそんなものだっけ?イケメン騎士として私の傍で戦ってくれる感じじゃないな。イケメンゲットの次は、イケメンマスター目指して全国のイケメンとイケメンバトルしながら、イケメンとともに成長していくストーリーを紡がないといけないのかも。
ピコーン。
クロシマ「あ、ミフネさんからLINEが……」
私「くっ、クロシマさん!既読スルーよ!」
こうかはばつぐんだ!
……多分。
湾岸ハーバーホテルに入るなり、エレベーターを探す。
私「あっちよ」
ぽーん
エレベーターに乗り込むと最上階のボタンを押す。
クロシマ「デートみたいだね」
私「デートです」
クロシマ「えっ!?」
私「何だと思ったの?……ああ、まあ、ミフネさんに呼び出されただけだったわね」
クロシマさんはミフネに呼び出されただけで、昔の職場のみんなで遊びに来た感覚だったのだろう。
かくいう私もミフネに飲み会に誘われたくらいにしか思ってなかったし。
私「……デートしようよ。ラウンジで乾杯しながら、さ」
クロシマ「ろ、ロマンティックだね」
ぽーん
エレベーターの扉が開くと、そこにはガラス張りの窓から見える夜景と、ワイングラスとかお酒の瓶が並んでいるのが見えるラウンジ。そして……
ミフネ「ふっふーん♪」
なん……だと……?
ピンク色の着物を着たミフネがそこに立っていた。
ミフネ「遅かったのだわ」
私「どうしてミフネさんがここにいるの?」
ミフネ「タクシーで来たのだわ」
私「それもそうだけど、どうしてここがわかったの!」
ミフネ「私がここをオススメしたんだけど?」
私「そうだったわね!」
ミフネ「もしかして私が気を利かせるとか期待した?」
私「誰がここをオススメしたかなんてどうでもいいのよ」
クロシマ「まあまあ二人とも。せっかくなんだしワインでも飲もうよ」
ミフネ「あら、クロシマさん汗だくじゃない?私と一緒に健康ランドでさっぱりしない?」
私「誘惑しないでください(怒)」
ミフネ「ふふふっ」
私「がおがおがおーっ!」
ミフネ vs 私。お互いにけん制しあっている。
……ていうか、ミフネはクロシマに気があるのだろうか。少なくとも私はそう感じているからこのようなバトルに発展しているわけだが。この際だからクロシマさんにはっきり言ってもらうか。私たちは付き合ってるんだって。(ちらっ)
クロシマ「!?」
うーむ。なんか頼りない。逆に丸め込まれそうだ。
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