第38話 浴衣を着るなら夏祭り

私「み、ミフネさん!?」


ミフネはピンク色の浴衣を着て、頭に花飾りとか乗せていた。


ミフネ「ふっふーん♪」


なんかいつもより可愛く見える……


私「変わった合コンですね」

ミフネ「ちっがーう!夏祭りなのだわ。花火大会なのだわ。知らないの?」


私「花火大会で合コン?」

ミフネ「そんなことしなくても、今回はちゃーんと相手がいるから大丈夫なのだわ」


私「今度はいつフラれる予定?」

ミフネ「スミっちはずいぶんと意地悪なのだわ。ほら、いくわよ」


私「えっ?」

ミフネ「スミっちを随伴するのだわ♪」


私「でも残念ね。私はクロシマさんとデートするので忙しいの」

ミフネ「そう思ってクロシマさんも呼んでおいたのだわ」


なん……だと……?



ちょうとクロシマさんがこっちへやってきた。


クロシマ「おまたせ。今日はミフネさんも一緒に行くんだって?」

私「却下!」

ミフネ「きゃはwwww」


…………


道路は浴衣を着た女子と浴衣を着てない男子でごったがえしていた。こんなにも浮かれた連中がそろいもそろって神社でわたあめ買ったり、海辺で花火見たりするとか……私もそのつもりなんだけど。


境内に入るなり私はクロシマさんのそでを引っ張る。

私「クロシマさん、わたあめ食べたい。買ってきて!」

クロシマ「……えっ?」


ミフネ「クロシマさん(はあと)私もた・べ・た・い♪」

私「ミフネさんはだめーっ!」


クロシマ「ははっ……」


何だか煮え切らない。


私「クロシマさん。あなたは私と神社とどっちが大事なんですか?」

クロシマ「????」


私「私が歩くときは車道側をガードしてください。私が欲しいと言ったわたあめはクロシマさんのポケットマネーで買ってください。私を見るときは笑顔で!」


クロシマ「これは困ったお嬢さんだっ!」


私「私の彼氏としての自覚が足りないんじゃないですか?」

クロシマ「……俺がそばにいるだけじゃダメかい?」


ミフネ「キャー!クロシマさんかっくいーっ!私のそばにいてほしいのだわ」

私「ミフネさんは黙ってて。これは私たち二人の問題なの!」


クロシマ「ちょっとちょっとスミカさん。なんでそんなにワガママ言ってるの?」

クロシマさんは目をぱちぱちさせて、驚きとあきれの入り混じった顔をして私を見る。


私「お互い、受け身のままじゃダメだと思うの。それにこのミフネさんを出し抜くには私たちが協力しあうことが不可欠よ」


ミフネ「おーおーおー、スミっちやる気だね」


私「クロシマさんはどうしたい?私は二人っきりで花火見たい。ワインとかチーズとかあってもいいから」


ミフネ「湾岸ハーバーホテルの最上階にあるラウンジは景色も良いし、ワインもあるのだわ」


私「よし、そこにしましょう。クロシマさん走って!ミフネさんを出し抜くのよ。ほら、ダッシュ!ダッシュ!」


クロシマ「お、おう……(ちらっ)」


ミフネ「私を出し抜けると思ってるのかしらーん」


なんか変な感じがするけど私はクロシマさんの手をつかむとダッシュした。目指すは湾岸ハーバーホテル最上階ラウンジ。全速力でミフネさんをけば私の勝利!浴衣によく合うスリッパ?っぽい何かを履いてきているミフネさんと違って私とクロシマさんはカジュアルな靴。足力で負ける気がしない。


クロシマさんを引っ張る手が熱いぜ。

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