第37話 そんなの聞いてない

私「クロシマさんち、今日定休日だったんだけど?」

クロシマ「そうだけど?」


私「そんなの聞いてない」

クロシマ「常連なのに知らなかったの?」


ここはとある喫茶店。私とクロシマさんと……なぜかキリモが座っている。


私「えっと、キリトくんだっけ。まだいるの?」


ちょっといじわるしたくなったので名前覚えてないフリしてみた。


キリモ「え、僕の事!?ちょっとちょっと!キリモです。名刺も渡しておくね!」


―――

株式会社オーケストラコミュニケーションズ

タイプA ボーカル担当

キリモ サトシ

―――


私「わーすごーい。名刺とかあるんだ。じゃあ、これ私の名刺」


ふふっ。社会人としての圧倒的パワーを見せつけてやる。


―――

株式会社グラントプリビレッジ

エンジニア

ススキノ スミカ

TEL: xxx-xxx-xxxx

mail: yyy@yyyyy.co.jp

―――


キリモ「エンジニアって何?自動車とか整備してる人?」

私「私の仕事はプログラムを書くことよ」


キリモ「へー、なんかイメージ違う。もっと事務のおばさん的な……」

私「もっと私を喜ばせる表現を使おうと思わないわけ?」


私「クロシマさんは名刺ないんですか?連絡先交換しませんか?」

クロシマ「えっ、ああ、そうだね」


さりげなくクロシマさんの名刺ゲットだぜ。


私「あとLINEもいいですか?ま、毎日LINEしますから必ず30秒以内に返事してください///」

クロシマ「えっ(汗)」

キリモ「うわっ(汗)」


私のスマホからLINE登録用のQRコードをクロシマさんに見せた。


クロシマ「あ、えーっと、よし。登録しました」


なんだこの美少女アニメアイコンは…………おい……イケメン……



キリモ「僕も登録しよーっと」


ん?なんか余計な奴が…………自撮り写真かぁー、オシャレにキメてやがるぜ……かっけぇー。



私「さて早速…………っと」



                    ̄ ̄ ̄ ̄フ

                 こんにちは

                乀___


< ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  こんにちは

   _____ノ


ふふふ。クロシマさんとLINEでつながったわ。


キリモ「ちょっと僕にもLINEしてよ!」


                    ̄ ̄ ̄ ̄フ

               しかたないわね

              乀___


< ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  よろしくマネージャー!

         _____ノ


私「ま、どれだけつながりを持ったところで、本当に欲しい言葉はなかなか引き出せないけどね」


キリモ「銀行口座の暗証番号のこと?」


私「あらやだ怖いわこの子」


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