第33話 当たり前のようなことが実は難しい
私はミフネ、クロシマさんと一緒に映画館に来ていた。
ミフネ「ここは『二人でプリクラ!史上最大の決戦!』しかないと思うのだわ。美少女戦隊が悪いやつらをビームで吹っ飛ばす爽快ジュブナイル活劇なのだわ!愛と友情と宴会のワールドワイドエンターテイメントなのだわ!」
クロシマ「僕は『ド悪いスピード4狂おしいほどMAX』が気になりますね。世紀末を自動車で疾走しながらオレオレ詐欺のグループをサイバーテクノロジを駆使して追跡する本格ガンアクションムービーってしびれるじゃないですか」
……ミフネとクロシマさんには相手を思いやる心に欠けてると思う。自分の趣味を全開にしてるようにしか見えない……
私「私は『異世界は私を中心にして泣き叫ぶ』が良いわ。世界中の王子様が通ってる学園に転生したヒロインがチート能力を使って世界中の王子からイケメン執事を強奪していくのよ」
…………
結局、3人がそれぞれ自分の見たいものを見て、後で感想を言い合うことになった。
私「では2時間後にまた会いましょう」
ミフネ「おーっ!」
クロシマ「おー」
…………
夕暮れ時。3人の男女がとあるカフェに集っている。
私「王子もイケメンとか卑怯だわ」
ミフネ「宴会シーンにお酒が出ないのはどういうことかしら!」
クロシマ「指をパチンと鳴らすだけで敵のコンピュータを掌握できるとか、それサイバー関係ない、魔法だよっ(涙)」
全くもって話がかみ合わない。
私「おほん……わかった。私ももう大人なんだから、歩み寄るわ」
クロシマ「?」
私「クロシマさんは何が不満なの?スーパーパワーで困難を打ち砕くのは爽快ではないの?」
クロシマ「そうだなぁ。魔法なら魔法で疲れるとか、命削るとか、なんか代償を支払ったり、制約があったりするわけじゃないですか」
ミフネ「ないのだわ!少なくとも今日見た映画にそんなものなかった!無限のパワー!きらめけプリン・クロニクル・トルネード!」
私「おのれミフネ……」
クロシマ「ふふふっ……。でもまあ、何て言うか、ミフネさんのノリで楽しむ分には何ら問題ないんだけど」
私「なになに?もっと苦労しろみたいな?」
クロシマ「そうそれ!もっと苦労してほしい。わかるでしょ?毎日プログラム書いても実装できる量なんてたかが知れてるし、バグが1つ出れば何時間も悩むし!」
ミフネ「映画の話でしょー。奴はすごい!って言えればそれでいいのだわ!考えすぎだよぉー」
クロシマ「逆にすごくないプログラマって何がすごくないんだっていう」
ミフネ「宴会スキルね」
私「確かに宴会は苦手そうね」
クロシマ「ミフネさんかっけぇー」
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