第32話 ミルフィーユをうまく食べられないんだけど(怒)

望めば何にでもなれるし、どこだって行ける。私の眼前には広い広い海が広がっている。でも何を望む?何かを望むには、私は何も知らな過ぎたし、私の心や信念みたいなものが正常なのかどうかもわからない。


ここはイケメンが接客をやっているスイーツ店。ランチもあるよ(はあと)。私とミフネはイケメン店員であるクロシマさんとその祖母とよくわからないティータイムとしゃれこんでいた。


私「そうそう、クロシマさんに聞きたかったんだけど」

ミフネ「なになに」


私「ミルフィーユをうまく食べられないんだけど」

ミフネ「そもそもミルフィーユって何?」


私「何でもスパスパ切れるナイフないですか?」

ミフネ「何を悩んでるの?」



クロシマ「ごほん。ミフネさん。ミルフィーユはですね、クリームをパイ生地で挟んだお菓子なんですが、フォークで刺したり切ったりするとすごく壊れやすいんですよ」


ミフネ「欠陥商品なのだわ」

私「私のように繊細で美しい女性しか食べられないのよ」


ミフネ「今さっき『うまく食べられないんだけど』って言ってたのにw」

私「物事には順序というものがあるのよ」


クロシマ祖母「おっほっほ。でも、よく切れるナイフというのも難しいわね」


私「ミルフィーユは欠陥商品ね」

ミフネ「wwwww」


クロシマ「パイ生地の厚みや硬さによって食べ方を変えたら良いんじゃないかな。うちのはパイ生地が薄くて柔らかいから、そのままザクザク食べやすいんだ」


ミフネ「スミっち。彼は食べやすいって言ってるのだわ」

私「そう。でも、他のミルフィーユを食べ比べてみないとわからないわ」


クロシマ「これはこれは手厳しい」



クロシマ祖母「この後はどちらへ行かれるんですか?」


ミフネ「居酒屋スイーツめぐりなのだわ。ドーナツは食べたから、あとはアイスとパンケーキとクレープを攻めるのだわ」


私「だが待ってほしい。私はもうお腹いっぱい」

ミフネ「ちょwww」


ミフネ「じゃあ映画見るのだわ。イケメンと美女が恋に落ちるやつ見るのだわ。クロシマさんも来るのだわ」

私「!?」

クロシマ「えっ、僕もですか(汗)でもお店があるので…ね」


クロシマ祖母「行ってらっしゃいよ。貴方の大事なお客様でしょうし。たまには、ね」


ミフネ「じゃあ決まりなのだわれっつごー!」


ミフネに反論する間もなく私は手を引っ張られる。同じにようにクロシマさんもぽかんとしながらミフネに手を引かれている。


ミフネの考えていることはわからない……いや、何も考えずノリだけで行動してそうな気がする。

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