第31話 ミルフィーユをうまく食べられない
ミフネ「クロシマさんは私の愛人なのだわ」
ミフネ「冗談なのだわ」
ミフネの言動に振り回されて顔が真っ赤になってるのがわかる。頭の中がフリーズして、何を言っていいのかわからない。ぎこちなく首を回してクロシマさんの方を見る。クロシマさんはぽかんとこちらを見ている。
私「じょ、冗談はやめてくださいっ!」
ミフネ「本気なの?」
私「さあ!わかりません」
ミフネ「ごめんごめんごめん!ちょっとからかっただけなのだわ。スミっちのストーリー的にクロシマさんとどうなればいいわけ?」
私「ほっといてください!(むきーっ)」
その時、店の奥の方から声が聞こえてきた。
「おやおや、どうしたのかいー」
出てきたのは白髪のおばあさんだった。ゆっくり、ゆっくりとカウンターから出てきて、こちらへやってきた。
ミフネ「これはこれは、おばあ様。ご機嫌うるわしゅうなのだわ」
私「むすーっ…………こんにちは(しぶしぶ)」
「おっほっほ。これはこれは、こんにちは」
私「……店員さんですか?お茶のおかわりとか頼んでませんけど」
ミフネ「八つ当たりwwwww」
「こんなばあさんもお話に混ぜて頂いても良いですか」
私「そういうのはそこにいるイケメンにでも言えばいいんじゃないですか。レディとして」
「じゃあそこのイケメンも一緒にお茶しましょう。きっと楽しいですよ」
私「ちょっ……///」
クロシマ「すぐにお茶をお持ちします」
なんか変なことになってしまった。四角いテーブルに私とミフネが並んですわり、私の前にクロシマさんとおばあさん(?)が座っている。
私「私、別にクロシマさんのこと意識してるわけじゃありませんから!」
口を開くたびに墓穴を掘ってる感じがすごい。我ながら頭がおかしい。ミフネが声には出さず爆笑している。
クロシマ「なんか……ごめん」
私「クロシマさんが謝ることは無いでしょう」
クロシマ「僕の祖母です」
「祖母でございます」
私「なにこれ見合い?」
ミフネ「私とクロシマさんの見合いかしら?じゃあ今夜は私と飲むのだわ」
クロシマ「ミフネさん、お元気そうでなによりです」
ミフネ「貴方が居なくなってから、あのオフィスはものすごく寂しくなった。本当なのだわ」
クロシマ「ははは。そんなに言ってもらえるなんて感激です」
私が知らない、クロシマさんが居た頃の話。私が入り込む余地がない。
クロシマ祖母「カツミがお世話になったようで。ほんとすいません。おじいさんが倒れてしまって、他に頼れる人がいなくて、カツミに無理いってお店を手伝ってもらってるんですよぉ」
ミフネ「スミっちに言ってるのだわ」
私「へっ?ああ、うん……カツミって誰?」
クロシマ「僕のことです。クロシマ カツミ」
私「あ、ススキノ スミカです。よろしくお願いします。はい……ん?」
つい条件反射で名乗ってしまった。
クロシマ「はははっ」
私「ぷっ……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます