第30話 スイート☆ストリート☆スイート
私はスミカ。ゲームを作る天才美少女プログラマ。最近の悩みはUnityって一言で言うと何なんだろうって自分でもよくわかんなくなってるところ。時にはゲームエンジンって言うし、ある人は開発環境って言うし、ゲーム制作ソフトって言ったり、もうわけわかんないZE。でも一つだけ言えることは、Unityを使ってゲームを作れるってこと。そこだけはブレない価値観イエーイ(ラップ調)。
とある金曜日の夜。私はミフネに近所の飲み屋に連れて行かれていた。
ミフネ「かんぱーいwwww」
私「いえーい」
そこは大衆酒場の座敷。周囲にもいろんな客がわいのわいのやってる。
私「ミフネさんってビール好きですね」
ミフネ「うん、好きなのだわ。これぞ大人の味なのだわ」
ショートな金髪の彼女はジョッキのビールを飲み干している。対する私はライムチューハイ。これはバトルが成立してるのかな。
店員「からあげでございます」
私「ふっ、ついに来てしまったようね」
ミフネ「いえーい(ぱくっ)」
あっ、私のからあげ……
ミフネは私の一瞬の動揺を見逃さない。
ミフネ「…………からあげ1人前お願いしまーっす!」
私「私、気にしてませんから!そんなめんどくさい人じゃないですから!」
ミフネ「うははははwwwwwwww」
ミフネ「そういえば、スミっちのゲーム的にはこういう街の居酒屋でイケメンと仲良くなるんだったかしら?」
私「スイーツのお店で感動の出会いを果たすんです」
ミフネ「この店もスイーツあるのだわ。アイスとかパンケーキとか」
私「恐るべし居酒屋スイーツですね」
ミフネ「つまり取材のために街中の居酒屋にレッツゴーしないとだわ!」
私「うう……いやそれはちょっと……」
ミフネ「明日は土曜日なのだわ。レッツゴーなのだわ!」
…………そして次の日の朝。ギラギラと晴れた空である。
私よりちょっと背の高い金髪碧眼の女がこちらに駆け寄ってくる。
ミフネ「やっほースミっち!」
なぜか私は駅前でミフネと待ち合わせていた。
目の前の大きな道路(大きいと言うからには片側3車線!)には車がこれでもかと走りまくっている。周囲を背の高いビルが視界を遮っている。
ミフネ「まずは焼き鳥屋から攻めるのだわ」
私「!?」
1ブロック歩いた先に焼き鳥屋は実在した。
中に入ると焼き鳥屋というだけあって普通に目の前で焼き鳥を焼いているような焼き鳥屋だった。それなのになぜか「名物ドーナツ」と書かれた張り紙が見える。
ミフネ「ドーナツお願いします」
焼き鳥屋「まいどっ!」
店の奥で「じゅわー」とドーナツを上げる音が聞こえる。
ミフネ「そういえばさぁ、スミっちのゲーム製作はどう?」
私「まず画面にイケメンを表示させてるところ」
ミフネ「へえ、そうなんだ」
私「ていうか画面づくりよね。Unity独自の画面レイアウトの機能を使って、ステータスバーとか、イケメンを表示するパーツとかを画面に配置していくわけ」
ミフネ「”イケメンを表示するパーツ”って地味にパワーワードなのだわ」
私「モブや他の女に侵略されない聖域と言ってもらいたいわ」
焼き鳥屋「こちら名物ドーナツになります」
私「(もぐもぐ)」
ミフネ「(もぐもぐ)」
私「おいしい……」
ミフネ「でしょ」
私「でもミフネさんはイケメンじゃないし」
ミフネ「……焼き鳥屋さん、イケメンある?」
焼き鳥屋「目の前にいるかと」
ミフネ「だそうなのだわスミっちさん」
私「……私のお父さんと同じくらいに見えるんだけど」
焼き鳥屋「イケメンだから仕方ない」
ミフネ「仕方ないのだわ」
私「却下!」
ミフネ「ふぅ、次はランチなのだわ。サンドイッチ食べるのだわ」
私「えっ、それって……」
ミフネが次に向かったのは私の知ってる店……クロシマのスイーツ店だ……。以前、コンドーに連れられてランチにサンドイッチを食べたことがある。
ミフネ「クロシマさん、ランチをいただきに来たのだわ」
クロシマ「あ、ミフネさん。めずらしいね……あれ?」
最近会ってなかったのでどういう顔をすればいいのかわからない。しばらくフリーズしてる私に構わずミフネは話を進める。
ミフネ「二人分頼むのだわ」
クロシマ「承知いたしました。こちらの席でお待ち下さい」
私はギクシャクしながらあたりをキョロキョロしていた。
ミフネ「何緊張してるのだわwwwちゃんとイケメンのいるスイーツショップに連れてきてあげたのだわ。感謝してほしいのだわ」
私「こ、この店知ってるし。クロシマさんも……」
ミフネ「んー?もしかしてスミっちもクロシマさん狙ってるのかなー?」
私「も?」
ミフネ「クロシマさんは私の愛人なのだわ」
私「ぶはっ」
ミフネ「wwwwww」
私「えっ?えっ?」
ミフネ「冗談なのだわ」
私「(激汗)」
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