第15話 タッチタイピングのシンクロ率(前編)
―――――――――――――――――――
すみちー@xxxxxxx ×月〇日
私ってば天才ね!
―――――――――――――――――――
私のキーボードさばきは今日も冴えている。言いたいことをその瞬間にそのまま打ち込むことができる。
書くべき言葉がすらすら出て来る快感。ツイッターに今日の一句を書いた私は謎の高揚感に満ちていた。この一言にたどり着くために今日までを生きてきたかのよう。
そう、思えば初めてキーボードみた瞬間はまったく覚えてないけれど、タイピングゲームとツイッター(とプログラミング)で鍛えるたびにPCとのシンクロ率が上がっていく。思うように動かせるとそれはもう体の一部のような感覚になっていく。
ミフネ「ぬわはははははっ!」
私「!?」
カチカチカチカチッ
ミフネ「打てるわ!今日もキーボードをマッハで打てるのだわ!そう、この圧倒的に高価なメカニカルキーボードさえあれば、どんな文章も瞬間!
ぱちぱちぱち
とりあえず
私「
ミフネ「私のは青軸よ!あおじく!この打鍵音の破壊力を聞いて!そしてひざまづくのだわ」
メカニカルキーボードは軸の色によってうるさい度が変わる。青軸はいちばんうるさいやつだ。
私「会社にそんなうるさいキーボード持ち込まないでください。そもそもミフネさんはプログラマでしょう?そんなパチパチ打つ仕事ではないはずです」
ミフネ「ぬわははははっ!そんな1500円の安物キーボードを使ってるあなたに言われても説得力が無いのだわ。私のキーボードは15000円(※15万→1万5千に訂正)もするのよ?わかる?あなたの人生の10倍なのだわwwww」
だめだこれは……きっと新しいキーボードを買ってハイテンションになってるに違いない。そっとしておいてあげよう…………
カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチッターンターンカチカチカチ
……そして昼休み。ここは平日のいつものオフィス。部屋中でキーボードがカチカチ鳴ってるので、ミフネさんが多少イキったところで大きな問題はない。私は空腹を満たすために外へ出た。
ミフネ「スミっちぃぃぃぃっ!私と一緒にハンバーガー食べるのだわ。一人だと口の周りがケチャップだらけで女子力下がるけど、二人で食べれば問題無いのだわっ!」
私「すいません。意味不明です。私はオシャレな食堂でチキンを食べるんです。ついてこないでください」
ミフネ「Oh... スミっち、そんな無理して女子力上げなくても、私はスミっちの魅力に気付いてるわ!」
私「じゃあ、私の魅力3つ言ってください」
ミフネ「一緒にハンバーガー食べたら教えてあげる」
私「良いでしょう。勝負です」
ミフネが私の魅力を3つ挙げられるか勝負が始まった。
とりあえず華麗に髪をかき上げてみる。さらり。
……チラッ。
ミフネ「どうしたの?頭かゆいの?でもかいてあげないのだわ」
私「……」
そして私とミフネはハンバーガー屋にやってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます