第12話 私が私であること
クロシマはスイーツショップのイケメン店員であり、私の出張先のエースプログラマだった人である。ときどき彼の店でミルフィーユ(生クリームをパイ生地で挟んだもの)を買うのが私のちょっとしたお楽しみになっている。
クロシマ「会員カード、作りませんか?」
私「ファンクラブのですか?」
クロシマ「いえ、このスイーツショップのです」
私「袋いらないって言ったら2円引きしてくれるアレですよね」
クロシマ「ちょっと違うかな(汗)」
私「何でもいいですから。会員カード作ります!作らせてください!」
そんなこんなで会員カードができてしまった。私とクロシマさんとの絆の証だよねこれ。どきどき。。。///
会員カードは赤と白のプラスチック製。磁気カードかな?私のどんな秘密が書き込まれてるんだろう///
私「クロシマさんに私の個人情報を握られてしまいました。これをもとに脅したりストーキングしたりするわけですね。『この店の買い物履歴をネットで拡散されたくなければ〜』みたいに(くすくす)」
クロシマ「そんなことしたら僕の信用問題ですよ」
クロシマさんが笑っている。
クロシマ「でも、買い物履歴を記録しているのは正解です」
私「このカード自体には私のIDが記録されてるんですか?」
クロシマ「まあ、そういうことになりますよね。レジで精算するときにID○○○の人が何をどれだけ買ったかとか、ポイントが付与されたとか、そういうのをデータベース(DB)に記録していくわけです」
はっはーん。私は気づいてしまった。私以外の人にこのカードを渡して、毎日ミルフィーユを買ってもらう。そうすればかんたんに買い物履歴を捏造(?)できる。それなら、クロシマさんは私のことをミルフィーユのお嬢さんとしてちやほやしてくれるかもしれない。
クロシマ「あ、悪だくみしてるね。でも俺の店のセキュリティは硬いよ?」
私「ふふふw私の前では紙切れ同然です」
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