第5話 サバサバしてない?

私は自分のことを熱血系だと自負している。だってタイピングがマッハな気がするから。


ぱちぱちぱちぱちぱち!


うーん、気持ちがいい。朝からツイートしてる私ってなんて清楚(?)なんだろう!灼熱と極寒をすり合わせてにゅるにゅるしたような、アイスクリームの表面が溶けかけてる感じ。そんなフクザツな内面を持ち合わせた私に書けないプログラムは無いに違いない。


定例の朝ツイートに力が入る。思わず語尾に「!」をつけてしまった。熱血と清楚のギャップがキュートすぎる。


―――――――――――――――――――

すみちゃん@xxxxxxx ×月〇日

おはよう!今日もいい天気だね!

お花がきれい。

―――――――――――――――――――


ちなみに外は雨が降っている。うるおい成分はバッチリだね。


ここは私の自室。すべての小物に「かわいい」をつけてもいい程度に私はハイセンスのカタマリである。例えばそう、マウスには目と口をマジックで書き足してある。超かわいくて興奮する♪


ぴんぽーん♪


ドアのチャイムが鳴った。誰か来たようだ。イケメン彼氏候補かな?


「スミカさん、今日も来ましたよ」


スミカ、それは私の名前だ。なれなれしく呼びやがって。苗字が同じになったつもりかよ。私は夫婦別姓にしたい、、、、ちがうちがう


私「おはようございます自称いいなずけのコンドー様。お勤めご苦労様です。どうして私の部屋がわかったんですか?教えてないですよね。教えてません」


コンドー「ふっふっふ。スミカさんツイートしたでしょう?『おはよう』って。それでスミカさんの住んでいる地域のタイムゾーンがわかります」


私「ふむふむ……(私が海外に住んでる可能性があると本気で思ってたのかしら)」


コンドー「あと、『いい天気』という言葉からピンときましたね。今日の天気図から、このあたりだということを目ぼしをつけたんです。」


私「へえ……(窓の外は雨が降ってるようにしか見えないんだけどなぁ)」


コンドー「そして最後の『お花がきれい』。これはまさしくスミカさん自身の可憐さを称えた言葉だ。そうですね?スミカさん自身の強い力を感じました!今すぐ結婚しましょう」


私「ごめんなさい。私、自分自身の気持ちがまだよくわからないの。だから今すぐお返事はできません。とりあえずキープから始めませんか?本命に全部フラれたら苦虫をかみつぶしたような顔で考えさせてください」


コンドー「はっはっは。なんて誠実な人だ。でもまだ若い。建前でもいいからOKしておけばいいんですよ。それとも怖いですか?私と合わなかった時のことが」


私「コンドーさんは建前で私に結婚のこと言ってるんですか?」


コンドー「それはスミカさん。あなたが判断することですよ。私から出てくる言葉は『いつだって真剣に考えています』しか無いのだから」


私「……それで、結局、この部屋へはどうやって?」


コンドー「お母さまから教えて頂きました」


私「あーはいはい。いいなずけだもんね。それくらい当然ですよねー」


コンドー「私はいつだってスミカさんのことを真剣に考えています」


私「どうせ私にエッチなコスプレさせてコミケで見世物にするつもりでしょう?」


コンドー「ぎくっ」


おい……考えてたのかよ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る