第4話 ハローワールドは突然に

自分の知らない言葉というものは見るだけで苦痛になる。なぜなら、何が重要で何が重要でないかがわからないからだ。私は美少女天才プログラマだからわかる。下のプログラムは全部重要ではない。


using UnityEngine;

public class IamPrettyGirlsProgrammer : MonoBehaviour {

  void start()

  {

    Debug.Log("美少女天才プログラマは");

    Debug.Log("眠りから覚める。");

  }

}


眠りから覚める理由があるとしたら、もう十分に寝たからという理由で目覚めたい。少なくとも今日の目覚めはそのような目覚めだったと思う。ただ一つ不満があるとすれば、朝食のパンに塗るマーガリンが切れていたことだ。


プログラマの格言にこういうものがある。


「マーガリンが無ければ、バターを塗ればいいじゃない」


ベターな選択肢をとれる。とてもいい言葉だと思う。今さっき私が思いついた。



私はマグカップにコーヒー(牛乳)を注いでいた。紙パックだ。近所のコンビニで売っている。


コンビニにコーヒー(牛乳)を並べたのは店員だ。店に納品したのはトラックの運転手さん。トラックに引き渡したのは工場の人たち。


私が飲んでいるこのコーヒー(牛乳)、これこそ神が作り出した因果の連鎖。必然という名の奇跡。


それぞれが自らに課せられた使命を果たす。それがつながり、世界が回る。


Unityをはじめとするゲームエンジンも基本的にはこの考え方にならっている。画面の中に物を置くと、それに対して使命(プログラム)を課すことができる。すると物は野獣のような戦士になったり、スコアをお知らせしたり、障害物となってゆく手を阻んだりする。


ゲームを作るプログラマはみんな神様なのだ。思わず下品な笑いがこぼれそうになるがここは少し我慢しておく。


私は画面の中に四角形を置いた。この四角形に使命を与えよう。くるくるとコマの様に回転させてみる。


void update()

{

  transform.Rotate(10,0,0);

}


くるくるくるくるくるくる・・・・・・



・・・・・・おかしい。世界観がおかしい。どこぞの若社長は遊んでるように見えるが努力家で今の事業を大きく成功させているだとか、死んだ元カノのことを引きずってるだとか、自分にその元カノを重ねて見てるだとか、そういう世界で私は生きているはずなのに。


男「あなたは私が昔飼っていたネコに似ている。これはやはり運命」


私「!?」


男「私はね、if文もfor文も得意なのさ」


私「あなた、私をバカにしてるでしょう!」

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