参、「水無月に照らされて」
水面、月の下。
月光に照らされ輝く他、自ら月が映し出されていた。
余りにも綺麗で、見るだけで吸い込まれそうなその水と月を、手に取るようにすくい上げ、その冷たさを体感した。
余りにも冷たいが、そこには「想い」という温かさがあると思った。
濡れた手を乾かし、今一度水の中に手を滑るように入れ、水をすくうと、先程のような温かみは無く、ただただ冷たいだけの冷水であった。
誰かの思いが消えたのだろうか。
いや、そもそも誰がどんな想いでこの水を温めていたのだろうか……と、濡れた自身の手を凝視し、思考した。
────数瞬の間、手に温かみが戻ったが、直ぐにそれは失せてしまった。
手で触れてさえもその輝きを失わせないその水。
正にその輝きは、金剛石のよう。
月と合わされば、宇宙に浮かぶ星のようだ。
綺麗、の二文字では表現できない、素晴らしいものであった。
やはり、月とは不思議で不可解だが、いいものだ。
また、ここに来よう。
そう、思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます