第2怪 口裂け女

口裂け女。

口が裂けた女の妖怪で、都市伝説とされた現代怪談。

マスクをした女に話しかけられた後、「私、綺麗?」と問う。


私が口裂け女として、この業務についてから4年。

たくさんの男どもを殺してきた。なのに、最近スランプが続く。

死んだ両親からは、天国に来てお見合いでもしたらどうだと誘われるし、

この間は高校生に「え、おばさんキモいんだけど。」と軽くあしらわれ、

襲うどころか、普通に傷ついた。なぜだ。

私がもし生きていたら今年は30歳になる。

これがアラサー女になって、気がついたら自分の若さが失われているという

証拠なのだろうか。まじか。


いや、考えていてもしょうがない。

私は次のサラリーマン風の男に狙いをつける。

歳の頃は50代くらいだろうか。


「私、綺麗?」


男性は突然話しかけられ戸惑っていたが、こう答えた。


「はい。綺麗です。」


術中にかかった。私はマスクを取る。


「これでも。」


「はい。」


まっすぐな瞳で彼は答える。


「嘘をつけええええ」


私はいつも通り男に襲いかかろうとする。


「いや、私にかかれば、あなたは綺麗になる。口は裂けているが、

 顔の左右差も少ないし、肌も綺麗できめ細かい。君は綺麗になれる。」


これが私と院長の出会いだった。

それから3年、私は近所で評判の美人な奥さんとして、幸せな生活を歩んでいる。


ありがとう。院長。Yes、高須クリニック。

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