給仕キッシィ

 (かせぎの小人ドワーフから聞いた話)


 庭付ききゅうのキッシィは、

 猫のすがたに、山羊のつの

 いつでもリボン・タイをして、

 黒い制服を着てるのさ。


 ある日、巨匠ルミナスの庭師がね、

 五十の百合ゆりの赤んぼう、

 みんなに乳水ミルクをやりながら、

 あずまへとこう言った。

 

  給仕キッシィや、給仕キッシィ

  働きものの小人ドワーフたちに、

  生姜酒ゴールデン・ジンジャーのおかわりを!


 こんときゃえらいひとのため、

 門扉もんぴづくりに、煉瓦レンガみ。

 庭師だけでは手が足りなくて、

 おれたち小人ドワーフが山といたのさ。


 呼ばれてすぐきた、それからだ。

 給仕ときたら、おれは本当おどろいた。

 草かげで居眠りしているやつらまで、

 だれもひとりも残さずにだぜ。


 あせひとつぶも見せないで、

 すずしいあをいひとみでさ、

 そりゃあ手早く丁寧ていねいに、

 氷の泡が立つように、

 飲みものをそそいでくれたんだ。

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