遊睡の星図

 草辺の鳩が 柔らかな

 まぶたを閉じて 眠っている


 ふっくらとした 輪郭りんかく

 波止場に宿る 銀の舟


 (心臓は灯って夢を見ている。

  生に値する夢。


  春はかん。夏の水路。

  秋に葫蘆ころ。冬と懐炉。


  巡れども戻らぬ一夜のなか。

  忘れえぬ感傷と安息のなか。)


 やがて ながい遊睡ゆうすいのあと

 たまひらいた 両の眼は

 とおく とうく 南天を見る


 星ときらめく 潔白の帆を

 清らかな古庭に 張るために

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