魔女の箒は秋空に飛ぶ
秋っつーかもう冬の足音聞こえてくる季節ですが、皆様こんにちは。
僕の地元はもういつ雪が降ってもおかしくないので、日々Xデーを恐れながら冬支度に勤しんでいます。
去年までは純粋に楽しみだったんだけどね……今年は日常的に車を運転する人になってしまったからね……。
今年の四月に転職叶い、少々懐に余裕が出てきた紫藤さん。さっそく初任給をプロギアスリムさんにぶっこみました。
が、今回の主役は彼ではありません。っていうかプロギアスリムさんのお話はしません。なぜなら彼の使用感は名月さんとほぼ同じだから。お値段も(たしか)同じだし、導入の経緯もご紹介済みだから。
じゃあなぜわざわざ名前を出したのかというと。
今回ご紹介するのが、彼のお仲間『プロフェッショナルギア レアロ』だからです。
さてさて。セーラーさんちのプロフェッショナルギアは、実は『出張』の多い子なのです。
どういうことかと言いますと、企業やメーカーが発売するオリジナル万年筆、その素体として、プロフェッショナルギアは頻繁に利用されている、ということです。
たとえば、日本橋高島屋。ネット上の万年筆クラスタには有名なこちらのお店では、毎年オリジナルデザインの万年筆が発売されています。今年の九月にも、リニューアルオープン記念のものが出たばかりですね。
その素体となっているのが、プロフェッショナルギアです。
高島屋さん以外にも、店舗限定デザインや企業オリジナルデザインということで発売される万年筆は
今回ご紹介する子も、そんな『プロギアを素体としたオリジナル万年筆』のひとつです。
その名も『Witch the Third』。
デザイン・販売するは、ブングボックス。毎年、ハロウィンの時期に発表してきた『魔女』をモチーフとする万年筆、そのシリーズ三作目にして最後のモデルとなります。
ブングボックスさんは静岡県浜松市と表参道に店舗を構える万年筆専門店です。オリジナルのインクを山と扱う、万年筆ファン憧れのお店なのです。例によって僕は店舗に行けないので通販でおせわになりました。
お値段は僕史上最高額です。商品ページでお値段を見て正直指が震えましたが、もはや後戻りはできなかった。来月の冬のボーナスは、先んじてこの子の支払で消えることが確定しています。いらっしゃいませ魔女様。
軸色は黒……のように見える濃赤。天冠には青貝で魔女の帽子マークが。キャップの輪部分には本来『SAILOR JAPAN ……』の刻印があるはずですが、このペンには『Hocus Pocus』――英語で「ちちんぷいぷい」の意味を持つ言葉が刻まれています。
黒のように見える濃赤は、同店で販売されている『魔女のインク』をイメージした色合いとのこと。こちらのインク、見た目は赤いのに、書いてみると黒(しかしインクの濃淡によって赤が覗く)なのだとか。僕もほしい。悲しきかな、『魔女のインク』は現在品切れ中なのですが、気長に再販の機会を待ちたいと思います。
さてさて、見た目だけでも非常に魔女ファンの心をくすぐるこちらの万年筆。実は実用面でも面白い機構を採用しているのです。
今までご紹介してきた万年筆はことごとくカートリッジ・コンバーター兼用タイプでしたね。ですが、レアロは『吸入式』――カートリッジ、コンバーターともに使用不可、となっています。
なんと、レアロは世にも珍しい(と僕は思う)、コンバーターが内蔵された万年筆なのです。
他の万年筆では可動しない、軸臀部の『尾栓』を回すと軸内のコンバーターが動く仕組みになっています。
軸を回そうとしても回りませんし開きません。もし開いたらそれは壊した、ということです。僕はうっかり壊しそうになりました。皆は触る前にちゃんと説明書読もうね。
コンバーターを後付にした場合に必要になるはずのスペースを確保する必要がないためか、レアロには、セーラーの標準的なコンバーターの倍量インクを入れることができます。
また、持ち手部分近くに一部透明になっている箇所があり、そこからインクの色が見える仕様になっています。
僕は現在、パイロット『色彩雫 深海』を入れているのですが、これは灰色がかった濃青色なので、ぱっと見あまり栄える姿ではありません。
そう、ぱっと見では。
もしお手に入りましたらぜひ、強めの光をあてて、透かしてみてください。
軸のふちが透けて、穏やかに上品に赤く輝く。それとともに、黒々とした中からわずかながら澄んだ光を放つ青の美しいことと言ったら。
きっと、深海に暮らす魔女が、陽光に透ける海面を見上げたならこんな景色なのだろうと、想像せずにはいられません。
僕は海に取り憑かれた人間なので『深海の魔女』を想像しましたが、きっとこの万年筆は、手にする人によってそれぞれ、違った『魔女』の姿を見せてくれることでしょう。
あなたの『魔女』は、はたしてどんな方なのでしょうね。
今年、秋空を飛んで人間たちの世界にやってくる魔女様は限定百本。出会いをお求めならば、ぜひブングボックスさん公式サイトをご覧ください。
追記:
肝心の書き味の話をしていませんでしたが、我が家の魔女様はインクフローたふったふで書き味するするです。
ですが、それを『レアロの書き味』としてご紹介してはいけない気がしたので、今回はあえて省いています。
その理由は、お次の記事にて。
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