閑話休題:万年筆で『書く』習慣

「万年筆に興味はあるけど、使える場面が思いつかない」


 そんな言葉をよく耳に、もしくは目にします。

 確かに、現代ではそもそも手書きの機会そのものが減ってますし、原稿だって、僕らほとんどパソコン打ちですものね。

 僕も最初は、日記を書くのに使う程度でした。

 でも、せっかくの万年筆。もっと日常的な場面で、どんどん使ってもらいたい。

 ということで、今回は万年筆を使うチャンスはどこにあるのか、についてお話しします。



 まずは、公的文書。

 たとえば、市役所に提出する書類などは、万年筆で書いてもよいことになっています。今だと「黒もしくは青のボールペンで」と注書きがされていると思いますが、かつては万年筆で書くのが常でした。

 高校生以上なら、誰しも万年筆を持っている時代があったためですね。


 次に、お手紙。

 僕は、好きな作家さんへファンレターを出すときは必ず万年筆を使うことにしています。

 現代においては、まずダイレクトメール以外のお手紙を受け取ること自体が少なくなりました。その中で、『手紙を書く』という行為は、僕にとって特殊で特別で格別な、一大イベントとして位置づけられています。

 ただでさえ、どきどきする手紙――しかも、送り先が憧れの作家さんであれば。

 それはもう、特別なペンとインクとでしたためるほかありません。


 そして、職場。

 職場ったってまあこのIT社会。手書きであれこれなんてあんまり無いかと思われます。僕の現職も、書類作成は原則パソコンです。

 とはいえ、上司の指示にメモを取ることはありますし、大事な事項は赤ペンでしたためて保管したりもします。

 この時。このわずかな機会を無駄にする手はありません。

 僕は、ささっとメモを取る時はボールペンで、そこに赤で注釈をしたためる時には万年筆で、と使い分けています。

 ちなみにカクノのクリアカラーに、エルバンのカーマインの組み合わせ。エルバンインクちゃんについては、後半戦でひと記事したためたいと思いますので以下割愛。


 最後に、我らが物書きの本領、作品執筆。

 短編以上の長さになると、手書きでやるのは本当冗談抜きで心底嫌になりますので、ノートに二、三頁ほどの掌編をおすすめします。

 僕は即興小説を毎日一編書くことにしています。養うペンが多い身ですので、使う子を日替わりで、ということにすれば、一週間程度で自宅待機の子は皆使ってあげられます。

 引き換えに、とてもじゃあないですがひと様には見せられないような、赤裸々に過ぎたり趣味に走り過ぎたりする作品が増えること増えること……。

 僕にもしものことがあったら、このノートは中身を見ずに燃やしてほしい。



 いかがでしょうか。皆さんの生活でも、案外使える場面があるのではないでしょうか。

 いざ、エンジョイ万年筆ライフ。

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