色彩雫は虹に似て
さて、時は遡り、僕がウォタ子さんに出会ってから一年が経つ頃のこと。
初めはカートリッジに頼りきりだった僕も徐々に万年筆の知識を得てくると、ひとつコンバーターというものを使ってみたくなりました。「色とりどりの中から、自分好みのこだわりの一色を探し出す」――なんだかわくわくしてくるじゃあありませんか。
そこで出会ったのが、
メーカーはパイロット。そのカラーバリエーションなんと24種類。
王道のブルーブラックから茶に若草に
また、これは色彩雫に限らずすべてのインクに対して言えることなのですが、インクの濃淡をぜひ見ていただきたい。
インクが溜まっている箇所と、薄く伸びている箇所、だいぶ色合いの違いがあります。そしてそのグラデーションが、書き文字に表情を作り出すのです。
例えば、それが『夕焼け』の色であれば。
名前そのままで恐縮ですが、僕は故郷の夕焼けを思い出します。
橙色の夕日が、海に沈んでいく。水平線の向こうへとその身を沈めて消えていく刹那に、彼は我々の目をくらます輝きを失い、ほんとうの色を、濃く、深く、暗くすらあるその色を顕すのです。
その溜まりから、すらりとのびる線の軽やかな色合いは、まさに傾きゆく夕日を覆う輝きそのものの色。
そんな想像を掻き立てられるのです。それが、24色も。
今にしてみれば、インクの濃淡の見やすい、舶来品のウォタ子さんが初めての万年筆で本当によかったと思います。そのおかげで、僕はすっかりインクの魅力に取り憑かれてしまいました。
いかがでしょうか。
こと色合いの幅広さに関して、色彩雫の右に出るものはないように思います。
スタンダードなブルーブラックに至っては、濃淡色混じり種々様々、実にバリエーション豊かです。
暖色の鮮やかさを見せつけつつ、王道の奥深さも魅せてくるとは、あなどれませんね、パイロット。
あなた好みのお色も、きっと見つかりますよ。
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