『インク』という沼のお話

 万年筆探訪記<番外編>も折り返し地点を過ぎました。予定では、残り3,4記事で終いとなります。早いものですね。

 更新再開してからというもの、本編並びに番外編双方とも評価、ブクマ等いただいております。皆さま大変ありがとうございます。

 レビューで万年筆愛を語っていただけるのも、とっても嬉しいです。

 僕のもとに届いた文章から、サイト掲載時にはなぜかその部分が削れてしまっているのが残念でなりません。皆に読んでほしい、この熱いパッション。



 さてさて、ここからは、インクについてのお話をしていきます。

 探訪記本編連載中にいただいたレビューで、「インクの話もしてほしい」とリクエストいただいておりましたので、いつか書きたいなとは思っておりました。


 万年筆のインクには、大きく分けて『染料系』と『顔料系』の、ふたつの種類があります。

 『染料系』は、現在販売されている万年筆用インクの中ではもっともメジャーな種類です。鮮やかな色彩を表現しやすい反面、耐水性をもたないため、水の一滴で用意に書き文字が消えてしまいます。また、インク自体長期保存には適していません。なるべく早めに使い切りましょう。

 『顔料系』は、現在でこそメインの座を顔料系に奪われていますが、万年筆が日常的に使用されていた時代には、顔料系こそが主役でありました。ボールペンのインクと同様に、乾いたあとは強い耐水性を持ち、文書の長期保存に適しています。また、インク自身も長期保存に耐えます。

 僕が現在所持しているインクは、ほぼすべて染料系です。これは色の好みによって偶然、というわけではなく、意図的に顔料系の使用を避けています。

 それというのも、顔料系の利点にして大きな特徴のひとつ、『耐水性』――そう、水に耐える……水に耐えるんですよ、顔料系は……。

 水に! 耐えるんですよ!!

 うっかりペンの中のインクひからびさせちゃった時、気軽にペン先洗いたいのに!!

 顔料系は!! 水に!! 耐えてしまうんですよ!!!

 そんな代物、僕が使った日にはウォタ子さんの息の根を今度こそ絶ってしまうに違いありません。間違いない、絶対やる。僕はそういうやつだ。

 そういうわけで、これからご紹介するインクは特別に言及がない限りすべて染料系ですので、あらかじめご了承ください。



 それでは次回より、万年筆沼のお隣さん、インク沼へとご招待いたします。

 皆さまどうぞ、沼に足をとられて溺れたりなどなさいませんよう――。

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