麗しの貴婦人、名月さん
ウォーターマンさん、無事に復活しました! やったー!
もうあんな目に合わせないように気をつけます……。
そんな懺悔冷めやらぬ中ですが、今回は新顔さんの紹介をしたいと思います。
彼女と出会ったのは昨年秋。
夏にほしくずさんと出会ってからしばらく満足していた万年筆欲が、にわかに再燃してきたころでした。
その時、僕はただ、漠然と思ったのです。
「そろそろ自分も『見立てペン』なるものに挑戦しても良い頃合いではないか?」と。
『見立てペン』に関しては前作第12話でも取り上げました。
要するに、推しのイメージに合う万年筆≒見立てペンです。
某刀剣が乱舞するゲームでの僕の最推しは歌仙兼定で、これはもう悩む余地なく、ほしくずさんがイメージぴったりなわけですが、それとは別に、白黒の兄弟キャラも箱推ししているんですよ源氏万歳。
そんな僕の目の前に現れたのが、彼女でした。
メーカーはセーラー。樹脂製の軸に14金のニブ。お値段、約13,000円。
その名も『名月』。『四季織 雪月空葉』シリーズ全4種のうちの一つです。
乳白色の軸には微細な金色の粒がひしめき合い、光を受けて輝く姿はまさに中秋の名月――その月光を表したかのよう。
書き味はさらさらさりさり系。太さは中細と中字から選べます。我が家のものを測ったところ、中細でおよそ0.1mmほどなので、細めの罫線でも書きやすいのではないでしょうか。
『四季織』は『雪月空葉』『月夜の水面』『ひさかた』の3シリーズからなり、それぞれ日本の四季をイメージしたデザインがされています。
上品さと美しさを兼ね備えたデザインは高級感こそあれ尊大ではなく、細やかなラメをまとい控えめに輝く姿はまさに大和撫子。老若男女を問わず魅了されること請け合いです。
シリーズごとに異なりますが、お値段が全体的にお手頃なので、万年筆初心者――特に、はじめての一本がほしいという人におすすめです。
メーカー特設サイトでわかりやすくまとまっていますので、ぜひ一度ご覧あれ。
さて、ペンだけのご紹介ならここまでなのですが、本日はもう少し続きます。
万年筆で見立てをするにあたって、一番重要なのは『キャラクターのイメージと合致するかどうか』です。
今回は兄弟キャラの見立てペンですので、『兄弟の片割れを、同じ見た目のシリーズから用意できるか』も重要になります。
その点で言いますと、名月さんは柔和な白といい金のペン先といい黒の天冠といい、イメージはばっちりです。
そして、ここでもう一本、セーラー『プロフェッショナルギアスリム 金ニブ』を取り出します。
なんとこちらのプロギアスリム、雪月空葉と首軸の互換性があります。公式に互換性を発表されているわけではありませんが、カタログで軸の太さを確認しますと、ほぼ同値なのです。この辺は実行する人間の自己責任というやつです。
そして――これら2本の首軸を……すげ替えると……!
ほら〜! 御覧ください! 名月さんが兄を! プロギアスリムが弟を! 見事に表現しているではないですか! 素晴らしい!!
「ほらって言われても訳がわからないんですけど?」という方は『髭切』『膝丸』で画像検索をしていただきたく思います。すると、僕の推しが出てきますので、ぜひご紹介したペンと見比べてみてください。顔のいい男と姿の美しいペンを同時に鑑賞することができます。
以上、クソオタクによる見立てペンのススメでありました。
しかしですね、この名月さん……。男の子キャラに見立てたはいいんですけど、もともとの姿がめっちゃ気品あふれているのでどうしても貴婦人然としてしまうんですよね。
なので僕は名月さんのことを『彼女』と表現しているのですが、そこにBやLの意味は特にこめていませんので、気にしないでくださいね。
それでは、本日はこれにて。
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