8. BAG AND “YURI”
「ここは……。」
サーバルはそう呟く。
「かばん、ちゃん……?」
そう言って、その場所を、彼女が、夢の中で倒れていた場所を、少しずつ、視界に入れる。
「……いない。」
かばんはそこには居なかった。
それを見て、サーバルは安心した。
「良かった。かばんちゃんはまだいなくなってないみたい。」
サーバルはそう呟いた。
そして、その背後から、近付いてくる者がいた。
「サーバル……ちゃん?」
「うみゃっ!?」
その声に驚いたサーバルは、そんな声をあげながら、後ろを振り向く。
そして、そこにいたのは……。
「かばんちゃん……!」
紛れもなく、かばんであった。
「うみゃー♪」
サーバルはそう言いながら、かばんへ抱きついた。
「ちょっ! サーバルちゃん!?///」
かばんは、そう声を上げる。
「あはっ。あははっ! あははははっ! かばんちゃんだ! いつものかばんちゃんだ!」
サーバルは、笑顔でそう言った。
「なんなの!? サーバルちゃん! なんか今日おかしいよ!?///」
かばんは戸惑いながらも、少し照れたような表情でそう言う。
「えへへ♪ かばんちゃん、大好き~。」
「ボクも大好きだよ! だから離して!」
「あはは! 離さないも~ん。」
「ちょっと、サーバルちゃーん!」
その頃、テントに居た、アフリカオオコノハズクは。
「腹が……、減ったのです。」
食べ物を探すのに、明け暮れていた。
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さて。また、時間は遡り、昨日の夕方。
「お前たちも、ここにいたのですね。」
アライグマの前にあったのは、皆が思っている通り、ワシミミズクの姿だった。
「助手……? ハカセはどこなのだ?」
アライグマはワシミミズクにそう聞く。
「……。」
ワシミミズクは、無言で俯く。
「わわっ。なんか悪い事でも聞いたのだ!? なんだか知らないけど、ごめんなさいなのだ!」
アライグマは慌ててそう言う。
「いえ……。良いのです。……あれは全部、私が悪いのです。」
ワシミミズクは、最後の言葉を濁してそう言った。
「アラーイさーん。ここなんかいいんじゃなーい? あ、じょしゅ~。あれ、ハカ……んむ」
フェネックがそう話しかけた。
「フェネック! それは、今聞いちゃいけないのだ。」
アライグマがフェネックの唇を指で塞ぎ、そう言う。
すると。
「……。」ペロッ。
フェネックは、何気なくアライグマの指を舐めた。
「ふぇ、フェネック!? なにをするのだ!」
アライグマはフェネックに向かって、そう指摘する。
「あ、ごめんごめん。ついつい……。」
「『ついつい……。』じゃないのだ! 何で舐めるのだ!」
アライグマはそう言う。
その横で、その様子を見ているワシミミズクは思った。
(……百合なのです。)
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