6. PROLOGUE?
『ん……。』
森のなかで、サーバルは目覚めた。
『どこ? ここ……。』
辺りを見回し、そう呟く。
『かばん、ちゃん……?』
かばんがいない事にサーバルは気付き、歩き始める。
『う、うわあああアアァァアアア!!』
どこかで叫び声が聞こえ、サーバルは「ビクッ。」と声がした方向へと耳を向ける。
『かばんちゃんの声……? 叫んでる!?』
その声の正体に気付き、サーバルは脚の動きを早める。
『かばんちゃん!? どこにいるの!?』
サーバルはそう叫び、走り回る。
『……ここだよ。サーバルちゃん。』
サーバルは、その声がした方向へと再び耳を向け、そして振り向く。
そこには、腸を深く抉られ、血塗れで横たわるかばんの姿があった。
『……かばんちゃん!? どうしたの!? 今、ジャパリまん出すから、ほら、食べて!』
サーバルはそんなかばんに対し、そんなことを言った。
『サーバルちゃん、良いんだよ。それは、サーバルちゃんが食べるものでしょ?』
かばんはサーバルへと、そんな言葉を返した。
『え……、でも、かばんちゃんは……』
『だから、良いんだよ。サーバルちゃん。そんな事より……。』
『ここから……、早く、逃げて!』
『え、でも、かばんちゃん!』
『いいから、早く逃げるのです。じゃないと……。』
アフリカオオコノハズクはサーバルに言い、上を向き……
『ヴァァアアアアアァァァァアアアアアァァァ!』
『殺られてしまうのです。』
アフリカオオコノハズクはそう言い、サーバルを抱き上げ、空へと舞い上がった。
『……お願いします。ハカセさん。』
かばんがそう言うと、辺りは砂煙に包まれた。
『そんな……! かばんちゃんが……!』
『もう、いなくなってしまったのです。いなくなってしまったものは仕方がないのです。』
『かばんちゃん!かばんちゃん!』)
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「かばんちゃん! かばんちゃん!」
「なんだかサーバルがうなされているのです。うるさくて寝られないのです……。」
アフリカオオコノハズクはそう言い、布団へと潜り込む。
「か……ちゃ……! か…………ん!」
「やっとうるさい音が軽減したのです。……でもまだうるさいのです。」
アフリカオオコノハズクはそう言うと、上半身を起こし、サーバルの体をユサユサと揺すぶる。
「サーバル。うるさいのです。静かにするのです。」
「……ん。ここは……。あ、ハカセ。」
サーバルは目覚め、そう返事を返した。
そして、あることに気が付いた。
「あれ? かばんちゃん?」
すぐ、横で寝ていたはずのかばんが、まるで何もなかったかのように、
姿を消していたのだ。
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