5. WELCOME TO DEFERENCE WORLD.Ⅲ


「……あれ? ここはどこなのだ?」

 アライグマは、目が覚めて最初にそう言った。

 ――見慣れない景色。

 アライグマは辺りを見回す。

「……フェネック、いないのだ?」

 そう呟くと、アライグマは地に足を着き、ゆっくりと立ち上がる。

「……。」

 アライグマは何も言わず、歩き始めた。

 その瞬間。

「わっ!」

「ぴゃあ~~~~~っ!?」

 アライグマに気付かれないよう、木陰に隠れていたフェネックが姿を表し、そう叫んだ。

「アワワワ……!」

 その叫びを聞いたアライグマは、驚愕し、後ろへと倒れ、尻餅をついた。

「アハハハッ! アラーイさーん。驚き過ぎだよー!」

 フェネックがそう言い、悪戯に微笑む。

「ふぇ、フェネックなのだ!? 驚かさないでほしいのだ! 心臓が止まるかと思ったのだ!」

 アライグマはフェネックに、怒りの感情を少し混ぜながらそう言った。

「ごめーん。ごめーん。アライさんは、相変わらず可愛いなー。」

 フェネックはアライグマを見つめ、そう言う。

「……それよりも、ここ、どこなのだ?」

 アライグマはフェネックにそう言う。

「そーいえば。たしかに、ここ、いったいどこなんだろーねー?」

 フェネックがそう言い、二人はしばらく辺りを見渡す。

「まあ、このままここにいても仕方ないしー、アラーイさーん。とりあえず歩こーよ。」

 フェネックがそう言うと、アライグマが「分かったのだ!」と言って、二人で歩きだした。

***********

  ▼■■■■■▼

  ■  ■  ■

  ■  ■  ■

   ■■  ■

***********

「ハカセたち、行ってしまったのです。」

 ワシミミズク、かばん、サーバルに取り残されたワシミミズクは、さけめがあった場所から少し離れた場所にいた。

「もうすぐ日没……、なるべくはやく、この森から出なきゃなのです。……ハカセたちは大丈夫なのでしょうか……。」

そのあとしばらく、静寂の音が鳴る。

「……とにかく、行かなきゃなのです。」

***********

  ▼■■■■■▼

  ■  ■  ■

  ■  ■  ■

   ■■  ■

***********

「大分暗くなってきたのです。かばん、何かばすてきなものは作れませんか?」

アフリカオオコノハズクはかばんに、そう話しかけた。

俯いていたかばんは、その言葉に耳を傾け言う。

「あ、はい。ありますよ。……。」

「どうしたのです。かばん。早く出すのです。」

「……はい。」

かばんは暗い表情をしながら、四角錐のテントを取りだし、その準備をし始めた。









「準備できましたー。」

かばんはそう言った。

「……という訳で、今日はここで野宿なのです。あまり騒がないようにお願いするのですよ。」

アフリカオオコノハズクはかばんとサーバルの二人に対してそう言った。

「……分かりました。」

「分かったよ……。」

二人はそう返した。

そして、ワシミミズクを置き去りにしたアフリカオオコノハズクを、止められなかった事を悔やみながら、眠りに着くのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る