3. WELCOME TO DEFERENCE WORLD.Ⅱ
「うーん。とくに何もないようなのです。」
ワシミミズクはそう言った。
「あれ? かばんちゃんは?」
サーバルは、周りを見回しながら、そう言った。
「そういえばハカセもいないようなのです。」
ワシミミズクも同じように、周りを見回しながら、そう言った。
「サーバル。いつ頃から、ハカセとかばんは居なくなったのですか?」
ワシミミズクは、サーバルにそう訊いた。
「知らないよ! でも、今まで前にいたはずだよ!」
サーバルはワシミミズクの問いかけにそう答えた。
「でも、前には居ないのです。」
ワシミミズクは再びサーバルにそう訊いた。
「でも、前にずっと進んでいってたよ!」
サーバルはそう返した。
ワシミミズクはサーバルのその言葉に対し、「うーん。」と声をあげながらこう話した。
「たしか、前にギンギツネに聞いた話なのですが、この世には複数の『じげん』という物があるらしく、我々はその複数の『じげん』の中の、『さんじげん』という場所にいるらしいのです。そしてその『じげん』を行き渡る『さけめ』がまれに出現するらしく、以前そこに入った事があると言っていたのです。……サーバル?」
サーバルは俯き、少し考えたような顔をしながらこう言った。
「うーん。よく分かんないや!」
ワシミミズクはそんなサーバルの言葉に、「はあ。」とため息を吐いてこう言った。
「まあ、とにかく、ハカセとかばんはその『じげん』の『さけめ』に入った可能性が高いのです。そしてもしかしたらその『じげん』の『さけめ』は、今、我々の目の前にあると思われるのです。」
サーバルはまたも少し考えた表情をしてからこう言った。
「よく分かんないけど、前に行けばいいんだね!」
そして走り始めた。
「うみゃみゃみゃみゃー!」
「待つのです。そうと決まった訳では……、サーバル?」
ワシミミズクは、消えたサーバルを見て、確信した。
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「うみゃみゃみゃみゃみゃー!」
サーバルが闇雲に走り、ドンッ。とかばんにぶつかった。
「う、うわーっ! 食べないで下さーい!」
「た、食べ……、食べないよ!」
「なんだ。サーバルちゃんかー。びっくりさせないでよー。」
かばんがそんな台詞を言い、二人は目を合わせた。
「フフッ。あはははははっ。」
そして笑い合った。
「あ、ハカセ。」
「助手も来たのですね。」
ワシミミズクも、その裂け目より来て、アフリカオオコノハズクと話し始めた。
「あ、そうだ。ハカセ。ここに我々が来た原因が分かりました。」
「? どんな理由なのですか?」
ワシミミズクは「実はですね」と耳打ち、アフリカオオコノハズクにゴニョゴニョと話し始めた。
「……! 本当なのです!? これはジャパリパーク一番の『とくだね』なのです! レポートを書くのです! ……あれ。戻るにはどうすればいいのです?」
アフリカオオコノハズクはそう言った。
「それはあそこの『さけめ』から……、あれ。」
「どうしたのです?」
「戻るための『さけめ』の位置を、忘れてしまったのです……!」
その言葉で、アフリカオオコノハズクの表情は固まり、後ろで戯れていたかばんとサーバルも、唖然とした表情でワシミミズクを見つめた。
そして。そんな三人は一言。
「えええええええぇぇぇぇぇぇーーーっ!?」
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