2. WELCOME TO DEFERENCE WORLD.

「ふーっ。食った食った。なのです。」

アフリカオオコノハズクはだらしなく座りながらそう言った。

そして、だらしなく座っているのは、アフリカオオコノハズクだけではない。

ワシミミズクもだった。

「ふ、二人とも、食べ過ぎだよ!」

サーバルはそんなアフリカオオコノハズクとワシミミズクに対し、そう言った。

「ハカセさん。なにか、異常はありますか?」

かばんはアフリカオオコノハズクにそう問うた。

「いえ。特にはないのです。それどころか、おかわりでもしたい気分なのです。」

アフリカオオコノハズクはそう答えた。

「そうですか。はい。サーバルちゃん。」

かばんはアフリカオオコノハズクの遠回しの「食べたい」という台詞を無視してそう言った。

「あ、ありがとう。」

サーバルがそう言い、その手に慣れていないスプーンに少量のカレーを乗せたものを持ち、その先を口に運んだ。

「う……、辛い! なんなの? これ。」

サーバルはカレーを食べて、そう言った。

「カレーですよ。」

かばんはそう答えた。

「辛いことは知ってるよ! この食べ物の名前を聞いてるの!」

サーバルはまたもそう問うた。

「だから、カレーですってば。」

かばんはまた、そう答えた。

「もー! 辛いのは知ってるってばーっ!」

サーバルはそう叫んだ。

「だから、カレーっていう名前なんです。……それよりサーバルちゃん。怪我の調子は。」

かばんはそう問うた。

「……あ、そういえば。もう大丈夫みたい! ほら。」

サーバルはそう言い、傷をかばんに見せた。

「これはもう、大丈夫そうですね。」

かばんはほっと胸を撫で下ろした。

「なら、一旦安全な所へ行くのです。」

「まだセルリアンがいるかも知れないのです。」

アフリカオオコノハズクとワシミミズクはそう言った。





















「かばん。そういえば、さっき『空中に現れた歯のような物が』って言っていましたよね。それって一体何なのです?」

「ハカセ、たしかに私もそれを疑問に思っていたのです。かばん、一体何なのです?」

アフリカオオコノハズクとワシミミズクはかばんにそう問うた。

「あー。よく分かりません。」

かばんはそう答えた。

アフリカオオコノハズクとワシミミズクは、目を合わせ、コクリと頷いた。

「なら、見に行くのです。そうしたら、それの状態もわかるはずなのです。」

アフリカオオコノハズクはそう言った。

そして飛び始めた。

ワシミミズクも、そのあとを追うように、飛び始めた。

「ほら、行くのですよ。かばん。サーバル。」

ワシミミズクはかばんとサーバルにそう言った。

「は、はい!」

かばんはそう答え、バスに向かった。

「え、ええっ! どこいくの!かばんちゃん!」

サーバルはそんなかばんに対し、そう訊いた。

「サーバルちゃんも、付いてきて!」

かばんはそう言った。













「ここなのです。」

アフリカオオコノハズクはそう言った。

「なるほど。いくつか足跡はまだ残っているし、まだセルリアンの欠片も残っているのです。」

ワシミミズクはそう言った。




「ピギャアアアアアアァァァァァァァ!」




「また声がしたのです。」

アフリカオオコノハズクはそう言った。

「たぶん、セルリアンだと思います。」

かばんはそう言った。

「……あれ? サーバルちゃん?」

「そういえば、助手もいないのです。」

知らぬ間に、かばん、アフリカオオコノハズクの二人は森へと来ていた。

サーバル、ワシミミズクを見失って。

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