1. EAT CURRY.
「……助手。なにやら静かになったようなのです。」
山のざわめきが消えた。
「そうですね。……どこに行くのです? ハカセ。」
「少し、様子を見に行くのです。」
「痛っ! かばんちゃん! 手! 手が痛いよ!」
「ど、どうすれば……。」
二人のフレンズがいた。
そのフレンズはもちろん、かばんとサーバルである。
「何かあったようなのです。話しかけるのです。」
アフリカオオコノハズクは二人を見てそう言った。
「ハカセ。追いかけてることはバレてはいけないのではないのです?」
ワシミミズクは、アフリカオオコノハズクの言葉に対し、疑問を浮かべた。
「いまはそんなことを言っている余裕も無いようなのです。早くするのです。」
「かばん。サーバルの手、どうしたのです? 何があったのです?」
「あ、ハカセたち! ……なんでここにいるのー?」
サーバルはアフリカオオコノハズク、ワシミミズクにそう聞いた。
「サーバルは黙っているのです。私はかばんに聞いているのです。」
「……かばん。」
「あ、話しますね。」
「なになに。山の方だよね。……その時、僕とサーバルちゃんは何かの音がして、それを見るために、山へと来ました。『ヴーーーーーーッ!』そこには、セルリアンが居て、そのセルリアンは大きな呻き声を上げました。『セルリアンだ~~~~ッ!』僕たちは、そう叫びました。すると、大きく、真っ黒なセルリアンが、追いかけて来ました。そのまま僕たちは追いつめられました。そして、その真っ黒なセルリアンが自らの体で何かを形作り、振り下ろしてきました。その時は、もう、本当にダメかと思いました。でも、タイミング? が良く、近くから爆発音がしました。その音は、だんだんと遠ざかって行きました。真っ黒なセルリアンはその音がする方へ、従うように付いて行きました。同時に、僕たちからは、遠ざかっていきました。そして、セルリアンがある程度遠ざかった時。『ピギャアアアアアアアアアアアアア!』そのセルリアンは、突然空中に現れた、歯のようなものによって、粉砕されました。大きく、高い、唸り声を上げて。そして、そのセルリアンのかけらは、勢い良く飛んで、サーバルちゃんの腕に刺さりました。」
「……なるほど。それでサーバルがあの怪我を。」
ワシミミズクがサーバルを見て、そう言った。
「はい。」
「どれ、サーバル。ちょっと見せるのです。」
アフリカオオコノハズクがそう言いながら、サーバルの掌を見た。
「い……っだ!」
サーバルは、痛みを感じ、それを堪えながら、そう呟いた。
「サーバル、ちょっとくらい我慢するのです。でないとジャパリパークの掟を守れませんよ。」
ワシミミズクは、痛がるサーバルに対し、そう言った。
「あー。この傷を修復するのには、何かサンドスターを供給できるものが必要なのです。かばん。何かないのです?」
アフリカオオコノハズクはかばんにそう訊いた。
「うーん。……あ、この前、ハカセさんたちに振る舞った、カレーなら袋に入れて取っておいてあります。」
かばんはそう答えた。
「なら、それを食べさせるのです。そうすれば、サーバルの傷は癒せる筈です。」
アフリカオオコノハズクはそう言った。
「でも、大丈夫でしょうか……。この前、図書館で読んだ本で、『作ったものは安全のため、早く食べるように』って書いてあったんです。」
かばんはそう訊いた。
「なら、我々に食べさせるのです。そうすれば安全かどうかも分かる筈なのです。」
アフリカオオコノハズクはそう答えた。
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