訪問者
その日、シリルはオリュンポス劇場にいた。
そこは踊り子に化けて単身ハウヤ帝国へ乗り込んで来た時に、トリスタンが潜んでいた場所だ。劇場の支配人は、シリルの昔馴染みでザイオン人だった。その縁でトリスタンは帝都ハーマポスタールでの居所としてそこを選んだのだった。
トリスタンはその後、正式に皇宮とハーマポスタールの貴族社会へ、ザイオンの第三王子トリスタンとして名乗り上げたので、居場所をザイオンの外交官官邸に移し、今に至っている。
シリルが隊商に紛れてハーマポスタール入りした時には、もうこのオリュンポス劇場の支配人がザイオン人であり、トリスタンが一時期そこに滞在していたことは大公軍団に露見していたから、シリルは劇場に入ることが出来なかった。
そこで、彼は郊外の宿に一旦入り、そこからトリスタンの計らいで、皇宮の今は亡きアイーシャの侍女だったジョランダ・オスナの実家である薬物問屋を籠抜けに使って、ザイオンの外交官官邸へ入ったのだった。
それからもう随分と月日は経ち。
トリスタンは皇帝オドザヤの皇配として、来月、六月に挙式することが決まっていた。
シリルの方は、偶然の驚くべき出会いからオドザヤの秘密裡に出産した子供、アベルを引き取ることとなった。大公宮でなんとか乳離れ出来るところまで育てられたのち、アベルはつい二週間ほど前にシリルの住む、コロニア・ビスタ・エルモサのアパルタメントに連れてこられた。
今はシリルと、そしてこれも大公宮から出て、シリル部屋の隣の部屋でいずれは「託児所」を開きたい、と決めた元高級娼婦のアルフォンシーナの二人によって世話されている。
シリルはアベルを「亡くなった自分の息子の子」で、自分しか育てる人間がいない、とアパルタメントの大家で管理人の夫婦に紹介したので、近隣住民は皆、何かとシリルを助けてくれるようになっていた。
シリルの踊りの技能、才能は、四十を過ぎた今でも立派に専門の舞踏家として通用するものだったので、彼は旧知のオリュンポス劇場や、そこをツテに頼まれた金持ちや貴族の宴会やパーティなどでの仕事を精力的に引き受けていた。
そして、五月一杯、シリルはオリュンポス劇場がこの月の興行として出している、歌と踊りを組み合わせたプログラムで役をもらっていたので、毎日、ここへ通って来ていた。
夜の部がはけた後、楽屋で衣装を脱ぎ、化粧を落とし、裏の井戸から汲んで来た水で汗を流していたところへ、劇場の下働きの小僧が「シリルさん、お客さんです」と、言ってきた。
夜の部が終わった後だから、もう時刻は普通の家なら食事が終わった頃合いの時刻になっていた。
それでも、一昨年に市内での凶悪事件などが続いたことによって夜間のコロニア間の移動が制限され、自警団が各コロニアに作られてからは、こうした劇場の夜の部の終わる時間は、それまでよりも早くなってはいたのだ。
「ええ? 私にお客さん……」
シリルはそそくさと自分が家から着てきた服に袖を通しながら、なんとなくその客の正体がわかるような気がしていた。それまで居た、ザイオンの外交官官邸から、大公宮から紹介された、今のアパルタメント・サントスに引っ越したのは随分前だが、そこへアベルを引き取ったのは二週間ほど前だ。
「支配人が、支配人室へ来てくださいって」
劇場の小僧は、この頼りなさそうだが踊りは確かなおじさんが、支配人の古い知り合いだということは知っているから、言葉遣いは丁寧なものである。
「ああ、そう。分かったよ、すぐ行く」
そうして、シリルが支配人室へ入って行くと、そこで待って居たのは、シリルが思い描いていたのと同じ人物だった。
「ごきげんよう、お父さん」
そこに支配人の姿はなく、代わりにシリルを待っていたのは、背の高い、黒っぽい目立たない身なりの女だった。夜の外出だからか、頭に黒っぽい少し透けるような布地のストールを被ってるが、その下の髪の色が金色なのは近くで見れば明白だった。
だが、身なりは女だが、シリルを「お父さん」と呼んだその声は間違いなく若い男のものだった。
シリルはため息をついた。
「……その様子じゃあ、みんな分かっていてここへ来たんだろうけれど。私やアベルの周りには四六時中、皇宮と大公宮から派遣されている『影使い』とかいう人たちの監視が付いているんだよ。……私はそんなのいても居なくても気にならないけれど、お前はちょっと困るんじゃないのかい?」
背の高い女は、その答えだ、とばかりに黒っぽいストールをさっさと取り、その下の顔をさらけ出した。
「それなら、僕にだって付いてるよ。ザイオンだけじゃない、各国の外交官にもね。……別に困らないよ。お父さんだって、そろそろ僕が現れるだろうと思ってたはずだ」
シリルは支配人室の支配人の机の前に突っ立っている、ああ、それは間違いもなく来月、皇帝オドザヤとの婚礼を控えているザイオンの第三王子トリスタンの変装に違いなかった……の側へ来ると、自分は先に部屋にある古い木組みのソファの一つに身を投げ出してしまった。
シリルの着ている服は、今住んでいるコロニア・ビスタ・エルモサにある古着屋で買い込んだもので、まさにこのハーマポスタールの中流市民そのもの、といった材質と仕立て、そして意匠のものだった。それでも、着る人の姿がいいので洒落て見える。それには先日、アパルタメントの隣人の一人の仕立て屋が「それ、ボタンを変えたら見違えるよ」と言ってボタンを付け替えてくれたことも一役買っていた。
大公軍団が探して来てシリルにあてがった、治安維持部隊の署の真隣りのアパルタメント・サントスは部屋の一つ一つが他より少し広いこともあって、家族はもちろん、家で仕事をする独り者の入居者も幾人かいた。託児所をやりたいというアルフォンシーナにもその点で合っていると思われたのだ。
劇場の支配人室はそう広くもないが、来客があればここへ通すので、簡単なソファとテーブルが用意されていた。
トリスタンはここへ来る途中で見咎められても困らないよう、ちゃんと念入りな化粧をしていたから、彼の方はストールを取ってもちゃんと、背の高いすらりとした若い女に見えた。
そんなトリスタンは、シリルの向かい側に静かに腰を下ろした。
「そうだね。私のところにアベルが来たら、お前が現れるだろうとは思ってたよ。……もう、あの子の顔は見た?」
トリスタンは、きれいに化粧した真っ白な顔の、眉間にしわを寄せた。
「あの子!? まさかと思うけど、お父さんは本当にあの赤ん坊が僕の子だと思ってるの? ……見てるわけないだろ! お父さんのアパルタメントの隣は治安維持部隊の巣だし、それ以外にも影使いが交代で見張っている。そんなところへノコノコ行くわけないじゃないか」
トリスタンの声はひそめられてはいたが、その声音は剣呑だった。
シリルの方は、不思議そうな顔をした。
「だったら、ここへ来るのはおかしいじゃないか。ここも同じだよ。今、こうして話している内容も、きっとすぐに大公殿下のところまで報告されると思うよ。大公殿下が必要だと判断されれば、皇宮の陛下のところへもね」
シリルのこの言葉を聞くと、トリスタンは信じられない、とでも言うような顔つきで一旦、呆れたように黙ってしまったが、その顔はすぐに怒りの形相に取って代わった。
「あのね! 僕はお父さんが僕のところから出て行ったのは、まあ、しょうがないと思ったよ。お父さんはそういう人だからね。骨身でもって知ってるよ。こんなハーマポスタールくんだりまで、わざわざザイオンのアルビオンの宮廷での安楽な暮らしを捨て去ってやって来た理由が、あの『火の鳥の踊り』を僕に教えるためだけ、ってのもね! そして、それがすんだ後の事なんか、なーんにも考えもしないでアルビオンの宮殿を飛び出て来たこともね!」
そこまで話すと、トリスタンはギリギリと歯嚙みでもしそうな様子になった。
「それでも、まさかと思ってたよ。あの女皇帝の、それも父親の知れない子供を引き取るなんて! 僕はお父さんがそんなに馬鹿だとは思わなかったよ。お父さんはこれからずっと、あの赤ん坊が成人するまで、ここのやつらに見張られ続けるんだよ! その意味が分かっているの?」
この質問に、シリルはいとも簡単にうなずいた。
「それくらいは、お父さんにもわかっているよ。でも、私は別に悪いことはしていないから、それほど気にはならないね。夜遅くに帰る時なんかは、かえって安心なくらいだ。……ああ、ああ、分かっているよ。お前は私がこの国に人質に取られたも同然だ、って言いたいんだろう。政治のわからない私でも、そのくらいは分かるよ」
「分かっててっ!」
シリルは怒りに緑色の目を光らせて、反射的に言い返して来ようとしたトリスタンを、やんわりとした声で黙らせた。
「でも、それならお前も同じじゃないか。オドザヤ皇帝陛下の皇配になったら、お前はザイオンからの人質同然だろう。それにそもそも、お前は最初っからオドザヤ皇帝の配偶者になるためにここへ来たんじゃないか」
今度こそ、トリスタンはシリルの穏やかな顔を、いらいらと憎しみを込めて睨みつけた。
「それは! それはあの女皇帝が、何にもわからない世間知らずの、男に手を握られたこともないようなお姫様だから、僕に首ったけになって、僕の言いなりになるだろう、って母上達は思っていたからだよ! 今まで、ザイオンの母上に逆らう生意気な貴族の娘だの、反抗的な東側の国の王女だのでは、僕はまんまとやり遂げて見せたからね! だけど、あの女、オドザヤだけは違ったんだ……」
トリスタンの声は、最後の方でやや勢いを失った。
「……あいつ、あの女はあの
トリスタンはオルキデア離宮に呼び出されて、オドザヤに一対一で今後のことを言い渡された、あの日のことを思い出して、憤懣やるかたない、といった様子になった。
「それは、お前がオドザヤ陛下に麻薬をお飲ませして、強制的にことを運ぼうとしていたからだろう。私ももう、知っているよ」
そう言うシリルのトリスタンを見る目は、やや悲しそうだった。
「お前のさせられていた、そういう事については、私も悪かったんだろうね。お前が王子であるのに、母上のチューラ女王陛下に利用されて、若い女性をたぶらかすなんて、王子にあるまじきいやらしい役割をさせられていたのを、あそこでの私は黙って見ているしか出来なかったからね。女王の愛人、ダヴィッド子爵でしかなかった私には、上のお二人の、王配ユリウス様のお子様達、ジョスラン殿下やリュシオン殿下とお前との扱いの違いに、抗議することなど出来はしなかった」
でももう、私はダヴィッド子爵じゃなくなったからね、とシリルはきっぱりと言った。
「私がお前の父親であることは、これからも変わらないよ。お前があの皇宮に住むようになっても、踊り手、舞踏家として私を呼ぶなら、そして、そして皇帝陛下がお許しくださるなら、いつでも私はお前に会いに行くよ」
(陛下も、アベルの成長については影使いやら、大公宮経由での話だけじゃなく、私の話も聞きたいと思われるかもしれないからね。何しろ、生みのお母様なのだから)
シリルはそういう思いを込めて、この言葉を言ったのだったが、残念ながらトリスタンに彼の慮りは届かなかった。
「母上が怪しいやつらと結託してここへ送り込んだ、あの奇術団を匿っていたとかで、モリーナ侯爵が領地に逼塞させられて、あのオルキデア離宮での破廉恥な行いも世間に暴露る前に消えちまった。だから、もう僕は皇宮へ入ったら、外部に働きかけるには、あの腰抜けのザイオンの外交官を通すしかなくなるんだ。ねえ、お父さんは分かってるの? 僕は来月、婚礼が済んだら、あの皇宮で一人ぼっちになるんだよ! 動かせる手足ももぎ取られてね」
(それはお前の自業自得の部分もあるんだよ。チューラ女王の命令には逆らえないとしても、実行するしないはお前の裁量に任されている部分もあったのだから)
シリルはそう思ったが、口にはしなかった。今の追い込まれたトリスタンに、そんな言葉が届くとは思えなかったからだ。
「トリスタン、もう一度言おう。アベルは、お前の息子かも知れないんだよ。それだけは、忘れてはいけない。その可能性がある以上、オドザヤ皇帝陛下もお前をむげに扱ったりはなさらないだろう」
トリスタンはそう言うシリルへ、冷ややかな目を向けただけだった。
「あの子が僕の? 信じられないね! あの女と関係があったのはあのたった一度きりだ。その後、あの女はあの親衛隊長やら、オルキデア離宮に呼び出した貴族どもだの、ちょっと気に入った男、自分の側に引き寄せたい男とは、誰とでも寝たんだろうからね。お父さんもこのハーマポスタールでは大活躍のあの、読売りくらいは読むんでしょう? 庶民どもが知らなくてもいいような情報を嗅ぎつけて来て、わざわざ暴露するあの野蛮な奴らの作った読み物! あの女大公とは実は姉妹なんだって言うけど、男漁りの派手なところはそっくりだよ。まるっきり、母上と同じだ。あの忌々しい思い上がった女どもを、来月からは妻と呼び、姉と呼ばされる僕の身にもなってほしいね!」
トリスタンはオドザヤとカイエンの顔を連想した後に、カイエンの「夫」であるエルネストの顔と、彼が自分の歓迎と新年の祝いの舞踏会……ああ、あれはもう一年以上も前のことなのだ……で、カイエンをからかって口づけをした自分に、即座にお返しだとばかり、同じ事をしてきたことを思い出してしまった。一国の皇子とは思えない言葉遣いで返された言葉の内容も。あのエルネストとも、来月の婚礼以降は皇帝一家の一員として、義理の兄として付き合わねばならないのだ。
「よく分かったよ、お父さん。お父さんはそのアベルとやらを僕の子だと信じて、僕の代わりに踊りでも仕込むといいや。結婚してもあの女は僕はお飾りの夫にして、他の男の子供を産み続けるつもりだって言ってたから、お父さんの本当の孫なんか、この先、期待できやしないからね!」
トリスタンはそう言うと、音を立てて古いソファから立ち上がり、もうシリルの方など見返りもせずに部屋を出て行ったのだった。
トリスタンが支配人室を出て言ってからも、シリルはしばらくの間、もうとっくに乱暴に閉められた扉を眺めていた。
「……私はあの子に踊りを強制したりはしないよ。お前のように、踊りの才能があると感じたらわからないけれど」
その後に続いた言葉は、ささやくような独り言だったのだが、その日の「シリル当番」だった、大公宮の影使い、シモンの鋭い耳には届いていた。
「それこそね。アベルに王者たる才能が発現でもしたら、私はそれさえも助けてあげるかもしれないよ。まあ、ただの踊り手の私に出来る事なんか、ないかもしれないけれど」
シリルがそこまで思うには、彼なりの理由があった。
「アベル。あの子、初めて抱いた時から、なんだか繋がりを感じるんだ。血のつながりじゃないのかも知れない。でも、あの子は私のところへ、『来るべくして来たんだ』ってね。それだけが感じられるんだ。縁ってのはこういうものなんだろうね。私がザイオンでチューラ女王に出会ってしまったのも縁なら、アベルを預かることになったのも縁なんだよ。オドザヤ様やカイエン様に出会ったのも、縁。踊りも同じなんだ。私だって振りを覚えている踊りのすべてを上手く踊れるわけじゃない。上手く踊れる踊りとは、縁があるんだ。繋がりが、あるんだよ」
トリスタンがオリュンポス劇場へ、父親のシリルを訪ねて行った日からしばらくして。
カイエンは皇宮のオドザヤのところへ上がっていた。
幸いなことに、オドザヤの妊娠発覚から秘密の出産、それからその頃までの一年ばかりは、モリーナ侯爵邸で奇術団コンチャイテラの残党を抑えたことが幸いしたのか、桔梗星団派の動きも特になかった。スキュラの平定が済んだこともあり、ハウヤ帝国の人民たちは安堵に胸をなで下ろしていたところがあった。
いくつか、その関与が疑われる事案はあるにはあったが、市民が危険に晒されるような事件は起こらず、「もう、危機は去った」と、心緩みそうになる自警団や市民たちを鼓舞するためにカイエンたちは苦労していたくらいだった。
でも、そのおかげでオドザヤの妊娠を隠し通すことも、秘密の出産も、計画通りにことを進めることが出来たのは間違いなかった。
オドザヤの婚礼衣装を手がけたのは、あの、ノルマ・コントだった。カイエンが紹介したのだったが、オドザヤは前からカイエンの身に付けている制服やドレスの意匠の洗練された様子に心惹かれていたので、この申し出には即座に応じた。
オドザヤにとって、トリスタンとの婚礼はもはや別にうれしいことでもなんでもなかったが、一人の女性として、花嫁衣装を整える、ということには女らしいうれしさを感じていた。この辺りは、エルネストと立会人だけの簡素な結婚式というよりは、「結婚契約式」を行って別になんとも感じていなかったカイエンよりも、オドザヤは女性らしい部分があったのだろう。
その日は、オドザヤの婚礼衣装の仕上げにかかっていた。
仮縫いはすべて終わり、カイエンと共に皇宮のオドザヤの衣装室まで上がったノルマ・コントは、もうこうして皇宮へ上がるのは何度目にもなるのに、頰を紅潮させていた。
大公カイエンの衣装すべてを手がけて来た彼女だったが、皇帝のオドザヤの衣装を手がけるのは無論、これが初めてだった。皇宮には専属の仕立て部屋があり、熟練の縫い子たちがいた。今回は、その仕立て部屋の頭である女官を説得し、納得してもらった上で、ノルマ・コントに婚礼衣装が任せられたのだ。
「本日は、最後の調整をさせていただきます。問題がなければ、このまま本縫いをさせていただきます」
衣装室は窓も大きく、広く明るく、部屋の窓と反対側はすべてクローゼットになっており、入りきれないオドザヤのドレスは次の間のこれは衣装を保管するだけの部屋に収められていた。
婚礼衣装は一着だけではない。
アストロナータ神殿の大神官ロドリゴ・エデン、海神オセアノの神官長マリアーノの立ち会う結婚式用のドレスの他に、その後の晩餐会でのドレスも用意されていた。
カイエンはそのどちらへも、新たにノルマ・コントに依頼した、紫色の礼服で臨む予定で、もうそっちの方は出来上がっていた。六月の婚礼なので、分厚い生地は避け、カイエンの衣装も大公軍団の夏服のような少し麻の混ざった薄い絹地で作られていた。形も大公軍団の制服や大公としての礼服の形に沿ったもので、ドレスではなかった。
ドレスではなかったし、襟元もきっちりとした立襟だったが、生地の紫色は明るいものを選び、まっすぐに前を留めたボタンは紫水晶の周りを金製の優美な花文様で囲んだもので、カイエンが今まで来て来た衣装の中ではかなり明るく、派手な印象を与えるものだった。
「結婚式用のお衣装は、皇帝陛下と大公殿下のご希望どおり、白い睡蓮を意匠としております」
衣装室の中央に、仮縫いの済んだ白い睡蓮の意匠のドレスをまとって立つオドザヤは、髪などは普段の通りに後ろで柔らかにまとめただけだったが、その美しさは格別のものだった。
売れっ子の仕立て屋として、貴族の中に多くの顧客を持つノルマ・コントであっても、これ以上に美しく自分の作ったドレスをまとって立つ人物を見るのは初めてだった。
「婚礼衣装の意匠は、白い睡蓮で」
そう、ノルマ・コントが聞かされたのは、今日と同じように、オドザヤとカイエンの立ち会っている場でのことだった。
優れた仕立て屋である、ノルマ・コントは花を意匠としたドレスを依頼されることには慣れている。だから、花の花言葉についてもほぼ完璧な知識を持っていた。だから、いくら美しい花であっても、不吉な花言葉を含むものは婚礼の衣装などにはしない。
その点で、今回の依頼である「睡蓮」には、やや問題があった。
その花言葉には、ただ一つ、恐ろしい意味があったからだ。
それは、「滅亡」。
ノルマ・コントはその花言葉の由来までは知らない。だが、今までの歴史の中で伝えられて来た意味については、書物を当たって調べ尽くしていた。
だから、ノルマ・コントはそのことをはっきりと、オドザヤとカイエンの前で説明した。後で花言葉の意味が知られるよりは、と思ったのだ。
だが、顔を見合わせたオドザヤとカイエンの返事は同じものだった。
「そう。それは白い睡蓮でも同じなの」
「そうか。それは白い睡蓮でも同じなのか」
ほとんど同時に、オドザヤとカイエンの口から出て来た音葉は同じだった。
ノルマ・コントはその意味はどの色でも同じであるが、白い睡蓮には、ことに「清浄」「潔白」、という意味が強いことを説明した。
それに対する答えは、オドザヤもカイエンも同じだった。
「それならいい」
と。
オドザヤが婚礼衣装に白い睡蓮を選んだのは、あの時、アベルを産むかどうするか、と思い悩んでいた時、オルキデア離宮の側の湖でシリルと会った。あの時の白い睡蓮からだった。
そして、カイエンがそれに同調したのは、リリとカイエンのこの世に生まれてこられないと最初から決まっていた娘が出会った、あの夢の沼の辺りに咲いていたのが白い睡蓮だったからだ。
たとえ不吉な意味を持っていたとしても。
彼女たちにとって、白い睡蓮のもたらした「縁」の不思議さは特別のものだったのだ。
「お姉様、どうかしら?」
ノルマ・コントの前で、オドザヤは大きな姿見に自分の姿を写しながら、柔らかく微笑んでカイエンの方を見ている。カイエンは今日も仕事の途中で抜け出して来たのだろう、真っ黒な大公軍団の制服姿だ。だが、髪のまとめ方がややいつもよりも華やかなのは、今日、皇宮のオドザヤのもとを訪ねることが分かっていたからだろう。
「とてもきれいですよ。本当なら
ノルマ・コントは実のところ、そう言っているカイエン自身の結婚式の衣装を依頼されなかったこと、カイエンの結婚式はほとんど秘密裡に行われたことには、とっくに気が付いていた。その理由が、シイナドラドの皇子を婿にしたその結婚式が、形式だけのものだったからなのであろうことは、ノルマにもその後、カイエンにまつわって出たいくつもの読売りの記事で見当がついてはいたのだ。
だが、今回は違う。
オドザヤの心の裏側はわからないが、皇帝である彼女の婚礼となれば、ことはこのハウヤ帝国自体の晴れ舞台でもある。その女皇帝の衣装を作るということは、このハウヤ帝国の臣民として最高の栄誉であることに間違いはなかった。
「お相手のトリスタン王子殿下のお衣装の方ですが……」
ノルマ・コントは、もちろん、新郎のトリスタンの衣装の方も依頼されていた。別々の仕立て屋が作ったのでは、並んで立ったときに人々に与える印象が大いに違ってくる。
「トリスタン王子殿下には、私にすべて任せる、とのことで一昨日、仮縫いを済ませ、最後の調整を済ませましてございます」
そう話しながら、ノルマ・コントはザイオンの外交官官邸でのトリスタン王子の様子を思い出して、なんだか暗澹たる心持だった。
カイエンの場合には、夫のエルネストの衣装のことなども頼まれもしなかった。それに比べれば、今回は彼女としては大いに腕まくりをして承った仕事だったのだが。
新郎となるトリスタンの反応は、「みっともなくなければ、なんでもいい」と言う彼の気持ちがありありとわかるものだった。それでも、ノルマは手抜きをしたつもりはない。
「そう。きれいに出来たかしら。ああ、トリスタン王子は長い御髪でしたわね。あれはそのまま?」
オドザヤはノルマ・コントの気持ちなどもう分かっている、と言う風に柔らかに微笑む。それを見せられては、ノルマももう、今度の婚礼自体については何も言えなかった。
「はい。せっかくのお美しい御髪ですので、あれはあのまま、長くお背中に垂らしていただいた上で、意匠を考えさせていただきました」
「そうか。それなら安心だな」
答えたのは、オドザヤではなくカイエンの方で、オドザヤもカイエンの顔を見ると、うなずいて微笑む。
「よかった。私の結婚はこの国とザイオンの結婚でもあるのですから。トリスタン王子殿下にも最高におきれいでいただきたいの」
このオドザヤの言葉には、裏に様々な色の事情が見え隠れしており、ノルマ・コントはカイエンの衣装を頼まれた時のような落ち着いた気持ちにはなれなかった。オドザヤの側では、侍女のイベットいうのが、かいがいしく世話を焼いている。
「……では、このまま本縫いに掛からせていただきます」
ノルマ・コントがそう言うと、オドザヤとカイエンは静かにうなずいた。
「頼むわね」
「頼むぞ」
これもまたほぼ同時に重なったオドザヤとカイエンの声に送られて、ノルマ・コントはオドザヤが気を付けて脱いだ婚礼衣装を押し頂いて、皇宮を後にした。晩餐会の方のドレスは仮縫いで問題がなかったので、そのまま仕上げることになっている。
「ねえ、お姉様」
ノルマ・コントが下がっていくと、オドザヤは普段着のドレスに着替え、カイエンを、彼女の一番くつろげる、寝室の隣の居間へ案内した。
そして、侍女のイベットが茶菓を出し、芳しい紅茶をカップに注ぎ入れて下がっていくのを見届けると、彼女は急にくだけた甘えた声でカイエンにそう呼びかけたのだ。
今、オドザヤの兄弟と言えば、カイエンとアルタマキア、それにまだ二歳のフロレンティーノがいるが、オドザヤは腹違いの妹のアルタマキアよりは、やはり母親を同じくし、従姉妹でもあるカイエンへの方に頼る気持ちが強いようだ。
だが、最初に話題になったのは、異母姉妹のアルタマキアのことだった。スキュラでの虜囚生活から帰国したアルタマキアは、オドザヤが皇太女時代に住み、その後、アイーシャが住んでいた皇子皇女宮に腰を据えてしまっている。
母親の先帝サウルの第二妾妃、キルケは後宮にいるのに、そちらへは時折挨拶に行くだけだという。
「アルタマキアったら、『こんな奴、ただのマトゥサレン一族からの人質よ』とか言いながら、あのリュリュっていうのを側から離さないんですのよ。私、アルタマキアが帰ってきてすぐ、心配で色々聞いたんですけれど、スキュラに捕まっていた間は恐怖で月のものも止まっていて、だから変な心配はないっていうんです。まあ、帰国して一年経っても間違いは無いようですから、あの子は私よりもしっかりしていると言えばそう言えます」
そう言うと、オドザヤは寂しげに笑った。アベルのことを思ったのだろう。
今日も、カイエンはシリルに預けたアベルの様子を、密かにオドザヤに伝えるつもりだったが、オドザヤの言うことを聞いてみれば、新たに思い至ることもあった。
「では、アルタマキア様はそのリュリュとやらを今も身近に置いている、というわけですね。……その、男女の仲では無いものの」
カイエンがそう聞くと、オドザヤは静かにうなずいた。
「はい。あの子はお姉様もご存知の通り、見た目と違って気が強い子ですから。世間体もあるから、そのリュリュとやらは他の場所で軟禁すべき、とサヴォナローラなどは言うんですけれど、ちっとも聞かなくて」
それでもう一年近くになるのだ。カイエンやオドザヤはアベルの出産の方で手一杯だったから、アルタマキアの方に進展が無かったのは、それはそれでありがたかったのだが。
「スキュラの統治は、もうすでにフランコ公爵に移りました。妾妃のキルケ様のご帰国は、まだ問題がありますが、アルタマキア皇女殿下がそのリュリュと言うマトゥサレン島の今の惣領たちの支持を得た男と一緒になられても、まあ、もう問題は起きないのではないですか。お二人をスキュラへ返すのは、マトゥサレン島の連中のこともありますから、まだちょっと時期尚早かと思いますが」
カイエンは考えながら言った。
「ええ、私もそう思いましたから、アルタマキアにはそう言いましたの。そのリュリュとやらが好もしいなら、一緒になったらどう、とまで。でも、あの、お姉様にはお分かりになると思うんですけれど、アルタマキアはこだわっているんですわ」
ああ。
カイエンは自分とエルネストのことを考えて、すぐに理解した。
アルタマキアは明らかにその、スキュラで二番目の夫として無理矢理にあてがわれたリュリュと言う男に気持ちがあるのだ。そばに置いておきたいと思うくらいには。だが、無理矢理に始めさせられた「関係」には抵抗があると言うことなのだろう。
「それは……時間がかかるかもしれませんね。他に好きな男でも出来ない限りは」
カイエンがそう言うと、オドザヤは口元へ持っていきかけた紅茶のカップを静かに受け皿の上へ戻した。
「あの。……私、結婚前にお姉様にお聞きしたかったことがあるんです。でも、それはきっとお姉様には嫌なことも思い出させてしまうことになる。だから、今まで聞けなかったのですけれど」
カイエンの方も、こっちは一口紅茶を口に含んだところだったが、それを飲み下すと、カップを置かないわけにはいかなかかった。
「……そうでしたか。そうですね。陛下も私と同じく、男女の関係はあっても気持ちの付いていかないお相手とのご婚礼を控えておられるのでしたね」
カイエンとエルネスト。それは加害者と虜囚という関係から始まり、決してこの世に生まれては来られない子供の流産を経て、形ばかりの婚礼を挙げた仲だ。
そして、今度のオドザヤとトリスタンもそれと似ている。オドザヤはトリスタンの子供「かもしれない」子を宿し、出産し、そしてこの度、正式に婚姻を結ぼうとしているのだ。
「あの。私、アベルのことはもう、お姉様やシリル様にお任せしております。あの子のことはもうこれ以上、どうしようもありません。……でも、来月、トリスタン王子と正式に結婚したのち、私はどうしたらいいのか……」
カイエンには、オドザヤの言いたいことがはっきりと分かっていた。
トリスタンと形ばかりの婚姻を結んだのち。自分は彼とどう接したらいいのか。
オドザヤはそれが心配なのだ。怖いのだ。
その点で、エルネストとの婚姻ののちも、先帝サウルの命令で持たされた男妾のヴァイロンと、そして、自分の意思で男女の関係となったイリヤを擁するカイエンにこの先の心の持っていきようを聞きたいのだろう。
「そうですね」
カイエンは一言、一言、考えながら語り始めた。これから彼女は、自分自身でもちゃんと答えが出るまで考えたことのないことについて、オドザヤに語らなければならないのだ。
「まず、エルネストとは、シイナドラドで別れた時以来、男女の関係はありません」
カイエンがまず、そう言い切ると、オドザヤは明らかに動揺して身を震わせた。
「あいつが私にしたことを赦せない、ということもあります。でも、それよりも強烈なのは、シイナドラドで連日、あいつに自由にされたこと、嫌だと言っても無駄だったこと、それをそのままに受け入れていた、あの無力で情けなかった自分を責める記憶なのです」
カイエンの声は静かだったが、その言っている内容は生々しい血をしぶかせるような陰惨さを伴っていた。
「お姉様、ごめんなさい! もう、もう、おやめになって。私が悪かったのです。もう、その事はエルネスト皇子殿下から直接、お聞きしているのですから!」
オドザヤはカイエンの顔色が、普段の病人のようなひどい土気色の顔色から、もう一段階、青ざめて酷くなるのを眼前で見せられて、それ以上、カイエンに話させることの残酷さにそう言わずにはいられなかった。
だが、カイエンはやめなかった。
「大丈夫。この事は私もいずれは自分ではっきりさせなければいけないと思っていた事です。それを先延ばしにしていただけで。……エルネストの気持ちが、もうとっくに変わっていること、あの時のことを後悔していることは知っています。だからもう私に酷いことをしないだろうという事は分かっているのです。それでも、私はあいつが私の体にちょっと触れただけでもう、駄目なんですよ。びくびくして、恐怖にとらわれてしまうんです。その理由がわかりますか」
カイエンがそう言うと、オドザヤは明らかに怯んだ。オドザヤも正式に夫となった後に、トリスタンと今一度、男女の関係を持つ、と思えば何がしかの抵抗があるのだろう。
「陛下は、あのモンドラゴン子爵とのご関係は今、どうなっておられますか」
カイエンが逆にそう質問すると、オドザヤははっとしたようだった。
「……あの。モンドラゴン、いいえ、ウリセスはアベルのことではきっと動揺したのでしょうけれど、良くしてくれました。私にはっきりと話してくれました。自分は妻との間に子供がない。だからと言ってアベルが自分の子ではないとは言えない。だから、今後も私にすべてを捧げて尽くすと、そう言ってくれたのです。でも、私の妊娠が分かってからは彼とは何もありません。だからこそ、私は悩んでしまうのです。トリスタン王子と結婚したのち、彼との関係をどうしたらいいのかと」
カイエンはここまでくればもう、気持ちは落ち着いていた。
「私と陛下は根本的に違うところがございます。私はこの体の中に巣喰った蟲によって、どうしても自分の血を引く子を産む事は出来ません。でも、陛下は違います。陛下が望むと望まざると関係なく、陛下は関係した男の子を産むことがお出来になるのです」
カイエンのこの残酷でそして真実を射抜いた言葉を聞くと、オドザヤは両眼から涙を噴き出させ、膝の上に顔を覆って、泣きじゃくるしかなかった。
「ごめんなさい。お姉様、考えの浅い私を赦して! お願いします。ああ、お姉様の苦しみを私は何も分かっていなかった!」
泣きじゃくるオドザヤの背中に、カイエンは静かに手を置いた。
彼女の心は、驚くほどに冷静だった。
「今、申し上げたように、陛下と私とは条件がまったく違います。それでも、陛下のお気持ちに少しでも寄り添えればと、私は思います。これはもしかしたら、アルタマキア皇女殿下にも同じかもしれません」
その時、カイエンの頭の中に浮かんだ顔は、もちろんヴァイロンとイリヤの顔だった。エルネストの顔もちょっと見えたが、カイエンはそれを無理矢理に頭の中から押し出した。
「エルネストには、私は彼の後悔をよくよく知ってはいますが、彼の心には答えられそうもありません。そして、ヴァイロン。彼は普通の人とは違います。彼にとっての私は、先帝サウル陛下の命令がなくても、きっと父のアルウィンの示唆の元で決まっていたのです。そして、私も彼とは些細なことではありましたが、気持ちの繋がりがあった。それに、あのことがあって以降の彼の私への献身と愛情は、私の心全体を覆い尽くして余りあるものでした。私も彼とのことがあって初めて知ったことです。人間は、無償の愛情に包まれて初めて、幸福を感じるのですよ」
カイエンの手のひらの下で、オドザヤの背中がびくっと震えた。
「ヴァイロンは獣人の血を引いています。彼にとって、私は唯一の配偶者なのだそうです。私も、もう彼の愛情を疑う事はありません。きっと彼は、私が死ぬまでそばにいて、私の最期を看取ってくれるでしょう」
カイエンはそこまで話して、ふっと息をついた。
これから先が、彼女にとっても話しづらい事だったから。
「それから。次はイリヤのことになりますね。これは、私自身も何年も気が付かなかった気持ちでした。イリヤの方も、墓の中まで秘密にしたまま、持って行こうとしていたようです。……実際、彼の命が失われ、私の前から永遠に飛び去ってしまう、と実感するまでは気が付きもしなかった。だけれども、あの『夢』がそうさせてはくれなかった」
カイエンは打ち伏したままのオドザヤの背中を無意識になんども撫でた。
「私が今、一番愛おしいと思っている男はどちらか……。これは私にも分からないのです。この一年以上、いくら考えても! 自分から発生した気持ちという意味では、イリヤなんでしょう。でも、私はもう、ヴァイロンなしでは生きられない。エルネストにされた事はまだ赦せない。でも、ヴァイロンとイリヤが私にする事は、私はきっと何でも赦せてしまうんだ。それに、彼らならきっと私に何かする前に、ちゃんと私を納得させてくれる。私はそれを信じている……この違いです。これが、そいつを『愛している』かどうか、って事なんじゃないか、って思います」
カイエンは、昨年、読売り三紙を賑わわせたあの、自分と愛人二人との朝帰りを報じた記事を思い出していた。
あの時のことだって、赦せたのは相手がすべてにおいて信用し、愛していたヴァイロンとイリヤだったからだ。それ以外の男が相手だったら到底、赦す事は出来なかっただろう。
オドザヤはそこまで聞くと、やっと顔を上げた。
「……信じる。分かりました。私、アベルのことで、ウリセスは信じられると思いました。あの後も変わりなく仕えてくれていますし。トリスタン王子とのことも、最初は、私が望んだことだったのに間違いはありません。それがザイオンの企みだったとしても。だた、あの方のとの間には、何も『繋がる心』がありませんでした。もう、手遅れかも知れませんが、私、トリスタン王子の気持ちも考えて、慮って行こうと思います。お姉様はきつい言葉で切り取ってしまわれたけれど、お姉様も、エルネスト皇子殿下を無下に扱っておられるわけではありませんもの」
カイエンはこのオドザヤの言葉を聞くと、もう、それに付け足す言葉はなかった。
「お互い、親の愛情に満足出来なかったせいか、不器用でいけませんね」
カイエンが最後に言えたのは、そんな言葉だけだった。
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