佳人遠方より来る
「ねえねえ、大将、今日はなんか殿下と揉めたの?」
イリヤはヴァイロンが将軍を辞めさせられて大公宮へやってきてから、彼のことを「ヴァイロン様」とか「ヴァイロン殿」とかあやふやな呼び方をしていたが、最近、ヴァイロンのことはもう「大将」と呼ぶことにしたらしい。もう将軍ではないのであまり適当とは言えないが、同輩のことを「おい、大将元気か?」などということもないではない。
そんなイリヤの突然の問いに、ヴァイロンはとっさには答えられなかった。
八月の宰相府と元帥府、そして帝都防衛部隊の創設。その長の任命から数ヶ月が経過していた。
その後、皇帝サウルは第一皇女オドザヤを後継者に指名し、帝国の皇位継承典範の改正が行われた。
皇帝サウルはすでに秘密裏に皇位継承に関する典範の改正の準備を済ませており、典範の改正は粛々と行われた。
おそらく、新宰相サヴォナローラが、内閣大学士としてこの仕事を前から周到に準備していたのであろうと、もっぱらの噂である。
第一皇女オドザヤの皇太女冊立決定からすぐのこと。
十一月。
皇太女の立太子式は年明け早々に行われることになっており、帝都ハーマポスタールは政情が一新された雰囲気の中で冬を迎えようとしていた。
帝都の気候は基本的に温暖で熱帯の動植物も生息するが、冬には海流の影響で雪の舞う日もある。
窓の外は紅葉も終わりつつあり、落ち葉が物悲しい季節になってきていた。
場所は大公宮の表にあるカイエンの執務室である。
近日、皇宮にて行われる、とある集まりのために新しく衣装をあつらえたカイエンのところへ、あの仕立て屋のノルマ・コントがやってきたというので、カイエンは仮縫された衣装を合わせてみるために中座していた。
この頃、というかあの「春の嵐」事件以降、大公軍団は再編成に取り掛かっている最中である。
それに伴って、イリヤは前の自分の執務室を、副官から「治安維持部隊隊長」になった、マリオとヘススの二人に譲り、このカイエンの執務室の近くに引っ越してきたため、大公の執務室に入り浸る時間が多くなっている。
今日も大公軍団に新設される「帝都防衛隊」の方の編成についての話し合いだったのである。
これには宰相府との折衝も必要なので、宰相サヴォナローラの弟であるガラも引っ張ってこられている。
最初は、
「こんなやつ何に使えというのだ? 帰ってもらえ!」
と、カイエンに怒鳴られたガラであったが、大きな図体に似合わず、隠密行動に長けており、何と皇宮までどこからともなく入っていき、非公式に兄のサヴォナローラと連絡をつけてくるので、「それでいいんですか、皇宮の警備は!?」と皆に突っ込まれつつも宰相府との連絡に重用されつつあった。
と言うわけで、カイエンが中座した後に残っていたのはカイエンの側近たち、五名である。
軍団長のイリヤ、護衛騎士のシーヴ、治安維持部隊隊長の双子の弟の方のヘスス、それに男妾という名の秘書らしきもののヴァイロンに、宰相府との連絡係、ガラであった。
大公宮の執事のアキノは奥向きの所用で出かけていたので、今日は控えていない。
大公のカイエンが中座し、執事のアキノもいない、となるとそこに残ったのは全員男、それも若い男ばかりである。
仕事の話は進められないので、当然、話はたわいもないものにならざるを得ない。
そういう中でのイリヤの発言であった。
「ねえねえ、大将、今日はなんか殿下と揉めたの?」
仕事中は暗〜く淀んだ沼のような色合いの鉄色の目が、日に照らされた大公宮の緑の
「なんかあったよね。絶対あったよね。殿下、隠してたけど明らかに不機嫌だったし、大将の方見ないようにしてたしぃ」
イリヤの追求は厳しい。ひねくれた男だから、何か含みがあって言っているのだろうが、ややしつこい。
アキノがいたら言わないだろうが、今日はいないので言いたい放題だ。
横にいるシーヴとヘススが冷たい流し目でイリヤを見たが、そんなものにへこたれる性格でもない。
(ヴァイロン様に締め落とされちゃえばいいのに)
シーヴなどはそう思ったが、口にしては何も言わなかった。
自覚したくはないが、大公個人の護衛騎士である彼もカイエンのご機嫌が斜めなのには気がついていたので、理由が知りたかったこともあったかもしれない。
「……揉めた」
だが、イリヤも含めてみんな、ヴァイロンが認めるとは思っていなかったので、その返答に一瞬、その場が凍った。
ヴァイロンというのは本当に余計なことは一言たりとも言いません、と言うぐらいの思慮深さと言うか、クソ真面目さを持った男だ。
イリヤの質問は主人である大公殿下とその男妾との間のいわば、「秘め事」に関することであり、普段の彼なら黙殺したであろう種類のことだ。
「えっ……。認めちゃうの?」
さすがのイリヤもこれは予測していなかったのかどうだか、意外そうだ。
「お叱りを受けたので、やりなおすことにした」
そう言うと、ヴァイロンはもうこの件は終了、と言うかのように書類の整理を始めた。この辺り、若くして一軍を率いていただけのことはあり、有無を言わせない迫力である。
(お叱りって、なんで。それに、な、何をやりなおす、んだろう……?)
ヴァイロン以外の四つの頭から疑問符がふんわり浮き上がってきたが、その疑問をただす勇気はイリヤにさえ無かったようだ。
イリヤは、それ以上追求できない自分にちょっと腹立たしそうだったが、ちょっと目を眇めると、懲りずに別の話題を振ってきた。
これまた、恐れを知らぬ発言だ。
「そうそう、殿下ってさ、最近、美人になったよね」
これもまた、彼らの主人や上司に関する噂話であり、穏当なお話ではない。
でも、シーヴはイリヤがちょっとかわいそうになったので、話にのってあげることにした。
シーヴが思うところ、イリヤはガラを含めて、この側近たちの親睦を図ろうとしているのだ。
確かに、腹蔵なく意見が述べられるような関係になれれば、それに越したことはない。
「ちょっと待ってください、それを言うなら『最近、きれいになったね』でしょ」
ああ、今度はこんなんじゃなくて一杯入ってから話したい。そうだ、ちょっと暇になったら飲み会でも企画しよう、と思うシーヴも苦労人だ。
「同じじゃないのぅ」
案の定、イリヤはうれしそうだ。
「違います。最近、美人になった、じゃ前は不美人だったみたいじゃないですか」
ああ、もうこの二人漫才状態、きついなー、殿下、早く戻ってきてくれないかなー、と思いながら、シーヴは頭の中で槍衾の仕掛けられた野原とへ入って行った。
ヴァイロンの方は見ないようにしているが、それでも無言の圧力を感じる。
「……確かにそうだねー。殿下そっくりなお父上の、あのもてっぷりから言っても、前からきっと美人さんだったはずだよね」
とぼけたイリヤはシーヴの脳内風景の中、罠満載の戦場の中を悠々と歩いていく。
「前大公殿下がもてたのは……特殊な方々ばっかりのような気もしますけど」
シーヴは小声で、指摘した。
前の大公殿下、カイエン様の父上のたらしこんだ、あの桔梗館の面々は、みんな男ばっかりだ。
それも、美形のアルトゥールから、おっさんのグスマン、さえない貴族のウェント伯爵にモラエス男爵、獣人の血を引くサヴォナローラとガラの兄弟、と一貫性が何にもない。
「……そうですね」
「そうだな」
「そうかもな」
シーヴは、自分以外の三人、無表情のヘススに無駄口なしのヴァイロン、それに未だ人柄不明のガラまでもが同意したので、心底、びっくりした。
「ええ? そうって、何がそうなんですか」
「殿下のことでしょ」
そうなんだ。
シーヴはちょっとへこたれた。
「そう言えば」
へこたれたシーヴがかわいそうになったのか、未だ人柄不明の男が助け舟を出してくれた。ガラだ。
ここにいる五名のうち、イリヤとシーヴ、ヘススは大公軍団の黒い制服を着ているが、ヴァイロンとガラは私服である。
ヴァイロンは大公の男妾化してずいぶん経つので、動きやすい意匠ではあるが、貴族の男子が普段着るような衣装をまとっているが、ガラの方は貴族の従者のようななりのままだ。
巨大な二人が並んでいると、そっちだけ部屋が小さく見える。目の錯覚だが。
「美人といえば、もうそろそろ、来るんだろう。ベアトリアの王女が」
ガラの話し方は相手構わずぶっきらぼうだ。
これは、もうここにいる面々にも周知されてきている。
「そうそう、それですよ!」
イリヤが早速、話に乗ってきた。
「皇帝陛下がわざわざ、王太子の持ってきた若い妹王女との縁談を断って指名したっていうベアトリアの第一王女様ね」
「王太子の姉君なんですよね、おいくつなんですか」
イリヤの情報は早い。
「御年二十四歳であられるそうですよ」
「え?」
ガラ以外の三人が、イリヤの方を見た。
二十四歳では、新しく入る妾妃としては若いとは言えない。
兄が宰相のサヴォナローラであるガラは、とっくに知っていたらしい。
「それも、出戻り!」
「えーっ。どうして妹王女じゃなくて?」
シーヴの疑問はこの時代人としては当たり前の疑問である。
「最初の嫁ぎ先で、子供を生んでいるからだよ」
その時、部屋の扉の向こうから聞こえてきたカイエンの声に、シーヴは弾かれたように振り返った。
仮縫いされた衣装の補正が終わって戻ってきたカイエンは、銀の柄の黒檀の杖をつきながら、ゆっくりと入ってくる。ヴァイロンが揉めてはいてもさすがの気遣いで、手を貸す。
よっこらせ、と執務室の椅子に腰を下ろすと、カイエンは五人の男たちへ向き直った。
「ベアトリアの第一王女、マグダレーナは十代で国内の有力貴族に嫁いでいるんだ。でも、死別したらしい。死んだ夫との間に二人の子供があって、一人は男だったので、その貴族の跡取りとして育てられているそうだ。娘の方も嫁ぎ先に残して来るそうだ」
カイエンは、執務室付きの女中に合図して、お茶を持ってくるように伝えてから続けた。
「……皇帝陛下はオドザヤ皇女を皇太女に冊立することを決めはしたが、男子の出生を諦めてはおられないんだよ」
「なるほどねえ」
イリヤは手を打った。
「若い未婚の王女じゃ、子供が産めるかどうかわからないけれども、すでに子持ちの王女なら、ってことですかあ」
「その通りだ」
カイエンはうなずきながら、皇帝サウルのこの立て続けの決断の裏にいる、あのサヴォナローラの油断ならなさを思った。
「今からでも皇子が生まれれば、皇帝陛下にすぐにもしものことがあっても、一時的にオドザヤ皇女を女帝として立て、皇子の成長を待つという策もあり得る。その場合には女系のオドザヤ皇女の子が次の皇帝になることもないから、話は穏当だ」
カイエンは続けた。
「今日の衣装もその関係なんだ」
「と、おっしゃいますと?」
「来週末には、マグダレーナ王女が到着する。妾妃としての輿入れだから、国を挙げての挙式はしないが、お披露目はある」
カイエンは皆の顔を見回した。
「それまでにこの大公軍団の新編成を決めておきたい」
「帝都に入るまでの警護はどちらが?」
これはイリヤ。
「国境まではベアトリア国軍だ。東側国境からこちら、帝都まではクリストラ公爵の軍勢と、トリセファロ将軍のドラゴアルマが警備する」
「なるほど。東側の軍勢を使うんですね」
「うん。そして、帝都に入ってからは治安維持部隊の管轄に変わる」
「ややこしいですなあ」
「それが帝国の秩序ってものだよ」
イリヤは頭をかいた。
軍隊や政治組織の管轄が細分化されるのは厄介だが、それだけその国が成熟した国家だという証拠でもある。
「だから、ヘスス、お前とマリオが今度の仕事では中心になるぞ。早速、例の予備役を引っ張ってきて、警備以外の通常任務に支障のないようにしろ」
予備役とは、「春の嵐」事件後に大公軍団退役者で構成された、ベテラン部隊である。
ヘススは黙ってうなずいた。
「トリセファロ将軍は来週すぐに出立されるから、それまでに打ち合わせをしておくように。私も同席する」
「承知いたしました」
さて。
カイエンは、改めて五人の顔ぶれを見回した。
「ところで、そろそろ、新設の大公軍団帝都防衛隊の隊長を決めねばならん」
こほん。
カイエンは女中がお茶を運んできたので、それが配られるまで、待った。
「みんな知っている通り、私の大公軍団は帝国軍の所属ではない」
皆がうなずく。
「あくまでハーマポスタール大公の私設軍隊という位置付けになっている。これは、大公の位が世襲ではないことと関係している」
前の大公であったアルウィンはカイエンの実父であったが、現在の皇后アイーシャの事件があったため、公的にはアルウィンもカイエンも皇帝サウルの弟と妹ということになっている。
「それゆえに、団員もまた傭兵ギルドとの取り決めにしたがって一般から募集されている。……まあ、そこにいるイリヤみたいに帝国軍軍人崩れも多いが」
イリヤはえへへ、と気持ち悪く笑った。
「新設の帝都防衛部隊だが、これは帝都の内部での紛争の解決のためのものだ。であるから、帝国軍のような外征先での戦闘はしない」
「その通りです」
これはイリヤとヘスス。
「想定される戦闘地域は帝都ハーマポスタール市街の中となる」
これは、この帝都防衛隊構想をサヴォナローラから聞いた時に、カイエン自身、初めて教えられたことだ。
「つまり、編成及び訓練は全て市街戦に対応したものに限定される」
あっ、とヴァイロンが息をついた。
「これは、全く新しい発想での軍隊なのだ」
皆が、黙り込んだ。
「え、でも今までの治安維持部隊でもそういう訓練はしていましたよ」
シーヴが言う。
「帝都内での不穏分子の制圧の訓練とか」
「それじゃ足りないってことだねえ」
イリヤが引き取った。帝国軍と大公軍の治安維持部隊二つの経験がある彼にはわかるのだろう。
「市民が起こした事件への対応が、今までの俺たちの仕事でしょ。でも、今度の帝都防衛部隊の構想は、それと違うんだよ」
イリヤは続けた。
「あ、シーヴくん、聞きたそうだね。どうして今頃、そんな集団が必要なんだって、聞きたいんだよね」
シーヴはうなずいた。
「俺も今度、サヴォナローラさんに指摘されて気がついたんだけどさ。この帝都に危機が迫った時ってどういう時かな、って思うのよ。他の国から軍勢が押し寄せたってんなら、帝国軍の出番でしょ。それはいいのよ。問題は市民の中に不穏分子が混ざってて、そいつらが大量蜂起するようなことが起こった場合の処置なんだよね」
「他の国の首都はこのハーマポスタールの何分の一、下手したら何十分の一の規模の広さなんで、そういう危険性はあんまりないんだけど、ここは広いからね。市内のあっちとこっちで軍隊がにらみ合い、なんてことも起き得る規模なのよ。でね、そうなれば市民の家だの財産だの命だのが、両軍の盾になるわけよ。そういう戦闘ってのは今まで帝国軍でもうちの治安維持部隊でも想定してないわけ」
ここでカイエンが話を引き取った。
「市民や市街地への被害をなるべく出さずに帝都を防衛するために新設される部隊だそうだ」
カイエンもイリヤも何度かサヴォナローラの宰相府に呼ばれて説明を受けた。
サヴォナローラがこういう部隊の必要性を感じたのは、皮肉にもかの桔梗館の一党にいたからだという。
アルウィンの発想は所詮、皇子様の発想で宮廷闘争としては成り立ったかもしれないが、武力を背景とした簒奪を行うには現実味が全くなかった。
神官でありながら、サヴォナローラにはそういう鬼才があったのだろう。彼は、少年の頃から彼一人で帝国貴族の一党が武力で帝都を制圧し、皇帝を引き摺り下ろすにはどうしたらいいのかを考えていたのだという。
それを聞かされた時には、カイエンもイリヤも腰を抜かしそうになった。
皇帝にもそれを話したのか、と冗談のつもりで聞くと、
「もちろん、話しましたとも。それだから、こうして宰相にしていただいております」
という返答が帰ってきた。
カイエンは改めて、父アルウィンでは皇帝サウルにはかないようもなかったであろうことを実感した。
「ですが、市街戦に長けた方などおられますか」
ヘススが言う。
「そこだ」
カイエンは、指で机を叩いた。
「いないんだよ、そんな人材」
「いるのは、戦場での軍事経験者と、治安維持部隊の叩き上げだけ」
と、すると。
カイエンは目をつぶった。
深呼吸。
「これから、作るんだ!」
沈黙。
「作るんですか」
沈黙を破ったのは意外にもヴァイロンだった。
「作るの!」
これはカイエンとイリヤ。
「そこで、人選はもう、済ませた」
カイエンは、ゆっくりとヴァイロンの方を見た。
皆の視線もそれを追う。
「さっきも言ったが、大公軍団は私兵集団であるから、帝国軍をクビになった元軍人が偉そうにしていても問題ない」
今度はみんながイリヤを見た。
ここにいるわ。
イリヤは元帝国軍人。今や大公軍団軍団長である。傭兵ギルドの総長でもある。
「そこで、ヴァイロン」
カイエンは、そこでおもむろに執務机の引き出しを開けた。
ごぞごぞと一枚の書類を取り出す。
「ヴァイロン、お前にこの任命状を持って、任命する」
今朝から機嫌の悪かったカイエンは、その元凶に向かって、にこやかに命令した。
「帝国軍をクビになった、元将軍閣下、ヴァイロン・レオン・フィエロを、大公軍団帝都防衛部隊長に任じる」
硬直するヴァイロンに、イリヤのにこやかな笑顔が追い打ちをかけた。
「副官として、おっさんじいちゃんの予備役から、屈強の治安維持の叩き上げの専門家をくっつけます。頑張って市街戦を想定した部隊を構成、創設してください」
ヴァイロンは黙っている。
「いいな、ヴァイロン」
カイエンは、にこやかに任命状をヴァイロンの大きな手に握らせた。
「期待しているぞ」
うわ。
イリヤさんは前からオニだったけど、カイエン様まで。
この春から変な苦労しちゃって一皮も二皮も剥けちゃったよ。
シーヴはその場から逃げ出したくなった。
大公カイエンの名で新設する帝都防衛部隊の部隊長が任命され、それが公表されると、それは帝都市民にヴァイロンが男妾に落とされたこの春の事件以上の驚きを持って迎えられた。
傭兵ギルドを通して、屈強の隊員候補が選別され、新しく雇い入れられた。同時に、既存の治安部隊からも候補者が選抜される。
まだ、実際の任務につける日は先のことだが、大公宮には新しく、帝都防衛隊の宿舎と訓練場も設けられることになる。
それには、大公宮の裏庭の一部が当てられた。
その昔の神殿の修道院跡の噴水や池はそのまま残され、隊員の憩いの場となることになる。
時代は確かに変わろうとしていたのかもしれない。
「確認はまだだが、東の螺旋帝国で、王朝が変わったらしい」
ガラから宰相サヴォナローラからの情報が大公カイエンへと伝えられたのはそれと同じ日の夜のことであった。
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