第32話 長い!
翌日。
只今ギルド内でヨシュアさんと部屋の隅で話し合い中…
「嬢ちゃん、なんか今日は人が多いな?」
「すみません…心配だからついて来るって聞かなくって」
2人で後ろをちらりと見る。
そこには4人の団体が…それだけでも私たちを含めると6人と、結構な数になる。
普通、冒険者がパーティを組む時は4~5人ほどだ。
それがどうだろう、今回のパーティメンバーは、ヨシュアさん、私、兄×2…ここまでならまだ4人だから良かった。
そこにさらに隠密×4、騎士×2が加わった。兄様達の仕業だ。
「逆に目立っちまって危ねぇぞ?これ、」
「ですよね、予想はしてました」
「…減らすとかは……、」
「兄様達に直接お願い致します…」
――――――――――――――――――
兄様達とヨシュアさんが数分ほど話し合った結果…。
隠密と騎士は帰された。
兄様達をどう説得したかは分からないけど、
途中ヨシュアさんの殺気が少しだけ漏れていたから多分脅しだ。
領主の子供相手に殺気出すとか、度胸あるね
ちなみに私はゆっくりお茶してた。
「さて、嬢ちゃんそろそろ行こうか?」
「説得は終わったみたいですね!」
「いや、あれは説得じゃなくって脅…すみませんなんでもないです。」
余程脅されたのか、ヨシュアさん相手にめっちゃビビっている兄様達。
大人しくてイイネ!
「そういえば嬢ちゃん、今日はアイツ連れて来なかったのか?」
「はい、今日はお留守番です」
「フィア、あいつって誰のこと?」
あ、兄様達には言ってなかったな
ヨシュアさんの言うアイツってのはフォレストウルフの事なんだけど、あの子は家では小型化してもらっている。
だから兄様達はあの子が大きくなれることを知らない。はず。
「うちに居るフォレストウルフのシロちゃんですよ」
あ、ちなみに毛が白っぽいから『シロ』という安易なネーミングです。センスないんで…
「シロってフォレストウルフだったのか?!」
「フォレストウルフって白毛じゃないよね?」
ヴァルト兄様もラウレル兄様も、シロがフォレストウルフだと思ってなかったらしい。
まあ言ってないからね。毛の色も違えば大きさも違うし…わかる方がおかしい。
「私がテイムした子で、大きさが変化できるんです。
本来は私が乗れるくらい大きいですよ?」
「フィアはテイムも出来るのか!さすが俺の妹!すごいなぁ!」
「ヨシュアさんに弱体化でもしてもらってやったのかな?すごいね」
わしゃわしゃと頭を撫でるヴァルト兄様と、微笑んでいるラウレル兄様。
激しいのと紳士なのと…性格が出るね。
でもひとつ、訂正を。
「俺は弱体化なんてしてねぇよ?
1からぜーんぶ嬢ちゃんがやったんだぜ?」
「「え?……いやいや〜、」」
「ちなみにあいつは特異体だったな。
俺の打撃が通らなくてな…、嬢ちゃんが魔法で氷漬けにしてくれたんだよ。」
「「………」」
ポカーンとした顔でこちらを見てくる兄様達に満面の笑みで頷く。
「だからさっき言ったろ?問題ねぇって」
なかなか聞かなかったから脅したけどな、とヨシュアさんが小声で続ける。
聞こえてますよ〜
「取り敢えず、そろそろ行かねぇと時間が遅くなっちまうし出発しようか?」
「はい!」
こうして兄様達の監視(?)の元、私とヨシュアさんの冒険が始まった。
始まるまでが、長かった〜!
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