第28話仕組まれたコンサート③
様々な質問に答えている楠木魅子。
彼女が様々な答えを出す度に笑い声や冗談地味たブーイング等があちこちから湧き上がる。
そんな様子を友姫と龍護も笑って見ていた。
◇◆◇◆◇◆
『それでは!残念ですが次が最後のプログラムとなります・・・最後はおなじみのぉ~!マンツーマン談笑会抽選~!』
再びウオオオオォォォォォオオオオ!!!!!!!!と歓声が湧き上がる。
スポットライトが2つ現れ、不規則な動きを始めた。
『さぁ・・・この中で私と2人だけの座談会を開けるのは誰か!そのお相手は~・・・』
スポットライトがファンの間を縫ってあちこちを照らし出す。
ファン達は自分が当たるようにと手を握り締めて拝む者もいた。
そして・・・その相手が決まった。
『今日の座談会の相手はこの人!』
その相手は・・・奪木龍護だ。
そして本人は楠木魅子を見て察した。
何かを仕込んでくると。
楠木魅子に呼ばれ、龍護は壇上に上がる。
龍護にマイクが渡り、龍護は一言だけ話す為に口を開いた。
『えーっと・・・運良く選ばれました。この座談会を期に楠木魅子さんとの距離が縮まればいいと思います』
ファン達からは拍手が送られた。
マイクを楠木魅子に渡して龍護は壇上から降りてきた。
「良かったね」
(どこがだ・・・)
恐らく楠木魅子は友姫を狙っている。
その為に間接的な関係のある龍護を巻き込んだのだ。
だが1つ疑問がある。
(なんで俺と友姫が付き合ってる事を知ってんだ?)
友姫に手を出すならこの座談会を狙って本人を指名すればいい。
だが相手はそれをしなかった。
それが心残りな龍護は変な緊張感が拭えない。
(考え過ぎか・・・?)
とにかく警戒しておくに越したことは無いなと判断し、いつでも【強欲の龍】の力を使えるように準備する。
握手会が始まり、少ない時間にも関わらずファン達は満足していた。
自分達の番になり、2人が立ち上がる。
龍護は紋章に気付かれないように右手を差し出した。
「えっと・・・今日初めてライブに来ました」
「あ!初めてなんですか!?嬉しいです!この後も宜しくお願いしますね!」
えぇはい・・・と少し警戒しながらも龍護は手を繋いだ。
◇◆◇◆◇◆
全員の握手会を終え、終了の時間がやって来た。
『皆ー!今日は来てくれて本当にありがとー!!!!またライブは開くから楽しみにしててねー!!!!』
オオオオオォォォォォオオオオオ!!!!!!!!
大歓声が体育館を包み、解散となった。
龍護はマネージャーに呼ばれ、体育館の放送室に案内される。
友姫にとある事を受け取ってから席を立つ。
友姫は、行ってらっしゃい。と手を振っていた。
◇◆◇◆◇◆
マネージャーが放送室に案内して、ここに座って待ってて下さい。と龍護に着席を促し、部屋を出る。
放送室はあまり飾られていなかった。
暫くして楠木魅子が入ってきた。
「すみません~お待たせしました?」
「いえ、大丈夫です」
楠木魅子が龍護の対面に座る。
「それでは短いですがマンツーマン座談会を開きましょう!では龍護さん。貴方の事を教えて下さい」
「その前に楠木魅子さん、1ついいですか?」
「・・・?はい何でしょう?」
「────貴女は七天龍の遊戯についてどこまで知ってますか?」
龍護の言葉に楠木魅子はピクッと反応した。
◇◆◇◆◇◆
七天龍の伝説と聞いて反応する楠木魅子。
だがすぐに惚け始めた。
「えっと・・・私あまりそういう類は勉強してなくて・・・────」
「七天龍の能力はそれぞれ七つの大罪に似通った能力を持ってます。【憤怒】、【怠惰】、【傲慢】、【強欲】、【嫉妬】、【暴食】、【色欲】、現在七天龍の遊戯では【憤怒】、【嫉妬】が何者かに殺されています。そして貴女に聞きます────貴女は【色欲の龍】の所持者ですね?」
「・・・」
龍護の言葉に楠木魅子は黙ったままだ。
数秒して漸く笑顔のまま口を開く。
「・・・仮に私がその【色欲の龍】の所持者だとして何がその理由になったのかな?」
この反応は当たりか・・・?と龍護は感じた。
笑顔はそのままだが明らかに先程の雰囲気とは違う。
先程はおおらか雰囲気が楠木魅子にはあった。
だが今は違い・・・
どのようにして利用するか────
そんな思いが楠木魅子の笑顔とその目から龍護にヒシヒシと伝わる。
「根拠は簡単です。確かに貴女を初めて見た時は惹かれました。ですが俺の彼女が持つ【怠惰の龍】の身体に触れた途端、貴女に惹かれる理由が無くなり、その際に貴女を見たらただの人でした。なので────っ!?」
龍護が説明する中、その口は楠木魅子の口によって塞がれる。
(ちょっ!?なんだ急に!?)
龍護がパニックになってる中、楠木魅子は”離さない”という意思の現れなのか、龍護を抱き締めながら口内を犯し続ける。
そして少しづつ龍護の抵抗も少なくなってきた。
頭が楠木魅子をという存在を受け入れ始めているのだ。
(やべ・・・なんだこれ・・・?)
甘い────
気持ちいい────
様々な甘い感覚が龍護の頭と龍護自身を包み、抵抗力を削ぎ落とす。
そして楠木魅子は漸く離れ、楠木魅子の口と龍護の口に銀色の細い橋が掛かった。
「貴方の名前は?」
楠木魅子が名前を聞くが龍護は黙ったままだ。
「へぇ・・・【色欲の龍】の力を使っても抵抗できるとはね・・・なら────」
楠木魅子が自分が身に付けていた服のボタンを外すと、その胸元には桃色に輝く龍の紋章があった。
(桃色の紋章・・・!!!!やっぱり楠木魅子は【色欲の龍】!!!!)
龍護はこの部屋からの脱出を試みようとするが身体に力が入らない。
【色欲の龍】の能力に身体の抵抗が失われつつあるのだ。
(くそっ!友姫を連れてスヴェンさんか雪菜さんに連絡して増援しなきゃいけねぇのに!)
龍護の抵抗も虚しく再び龍護の口を楠木魅子が塞ぐ。
少しづつ意識が朦朧とし始め、今自分がどんな状態かすらも分からなくなっていた。
そんな龍護に楠木魅子が話し掛ける。
「いい?今から貴方は私の為に動くの。貴方の全てを差し出し、自分の手で友姫・S・ラジネスを殺しなさい」
そんな命令に従える訳が無い。
だが今の龍護の意思は【色欲の龍】の持ち主である楠木魅子が握っている。
今の龍護は楠木魅子にとってゲーム内のプレイヤーそのものになっていた。
そんな龍護に・・・
「・・・・・・はい・・・・・・・・・」
決断の猶予は無かった。
◇◆◇◆◇◆
コツコツ・・・と何者かが体育館の檀上に歩いてくる。
その者は楠木魅子だった。
そしてその後ろから追従して龍護が現れる。
「ふぅ・・・一応彼との取引は成功しそうね」
龍護が少しづつ頭を上げるとそこには多くのファンに身柄を押さえ付けられた友姫がいた。
友姫は格闘技等をしているものの10代の女性が大勢の巨漢の男性達を退かすなとほぼ不可能だ。
「貴方が先に来てくれて良かったわ。恋人同士で争うなんて見ものだもの♪」
楠木魅子が龍護に向き直り、黒い何かを差し出され、受け取りなさいと言われる。
龍護はそれが何かを知っていた。
手に取るとズッシリとした重さが伝わり、これが人を殺す道具なのだと理解させられる。
そして再び楠木魅子が友姫に視線を移し、言い放った。
「殺しなさい」
その言葉にピクッと反応するが微動だにしない龍護。
その龍護を見て楠木魅子は苛立ったのかパァン!と龍護の頬を叩く。
「聞こえなかったの?”殺しなさい”と言ったの・・・おかしいわね・・・【色欲の龍】の力ならすぐに動かせるのに・・・」
再び楠木魅子が【色欲の龍】の力を使い、龍護自身の制御を奪おうとした時だった。
ゆっくりと龍護が歩き出す。
その姿を見て怪しい笑みが浮かぶ楠木魅子。
「そう・・・それでいいの」
だが楠木魅子の顔は優れない。
【色欲の龍】の力を使い過ぎているのだ。
(今はまだ制御出来てるけど恐らく後1回か2回相手の身体の制御権を奪おうとしたら暴走するわね・・・)
【色欲の龍】の能力は”自分の姿や声を見たり聞いたりした者の身体の制御を奪う”能力だ。
そしてその制御を奪われた対象は例え骨が折れようともその命が尽きるまで【色欲の龍】の所持者に動かされる。
だがこの【色欲の龍】も万能ではない。
制御を多重に奪われる事でその対象は自我を失って暴走を始め、龍の能力の支配を外れる。
その支配外になった者は敵味方構わずに攻撃するのだ。
そしてその攻撃対象は【色欲の龍】の所持者も含まれる可能性がある。
龍護が友姫に近付き、襟元を掴んで持ち上げる。
「りゅう・・・ご・・・?」
止めて・・・!と友姫の目は訴えている。
「友姫・・・」
すると龍護は足先を楠木魅子に向けた。
そして・・・自身の身体を無属性魔法の強化魔法で強化し、友姫を持ったまま振りかぶった。
「ぶっ飛ばせえええぇぇぇぇええええ!!!!」
「なっ・・・!?」
さすがの楠木魅子も驚いた。
確実に【色欲の龍】の能力で龍護の身体の支配は奪ったはずだ。
だがここにいる龍護はどうだ。
楠木魅子の持つ龍の能力を振り切っている。
一般人に出来るはずはない。
七天龍同士は能力が効かないか相殺される。
・・・ならば・・・
(彼も七天龍の遊戯の参加者だったの!?)
だが一つのおかしい。
龍護が七天龍の遊戯の参加者であるなら他の龍の能力は効かないはずだ。
それが何故効いていた。
そんな楠木魅子の考えを他所に友姫は近付いていて気付いた時には遅かった。
【怠惰の龍】の【無効化】を持つ友姫には龍の能力は愚か、魔法の何も効かない。
そしてその友姫は既に右腕に雷を纏って楠木魅子の胴体に右拳を叩き込んだ。
「があああぁぁぁぁああああっっっ!?!?」
全身に強力な電気が駆け巡り、その場で座り込む楠木魅子。
胸元にあった龍の紋章は消え、【色欲の龍】の能力が消えた事によりファン達の制御も切れ、ファン達は一斉に倒れた。
「龍護!」
自分の恋人が心配になって駆け寄る友姫。
龍護は立ち上がって無事であることを見せた。
だが龍護も疑問があった。
(【怠惰の龍】の能力を俺の能力で強化した筈なのになんで効いたんだ・・・?)
龍同士なら能力は効かないはずだ。
遊戯参加者である龍護は楠木魅子に会う直前、【怠惰の龍】の【無効化】を友姫から予め借りて対面した。
そして龍護は【強欲の龍】の所持者。
能力は自身の強化、龍化である。
能力強化は他の龍の能力も含まれているので【無効化】も強化出来たはずだ。
(やっぱ他の龍の力は【強欲の龍】を使ってもあまり強化されないのか・・・?いや、だとしても俺の龍の能力強化で【無効化】を少し位は強化してるはずだ・・・【色欲の龍】の能力が打ち破った・・・?だとしてもそれも【無効化】を更に強化すれば回避出来るからこの結論は辻褄が合わねぇ・・・どうなってんだ?)
自身に何が起こっているのか・・・それが不明のままだ。
友姫に呼ばれ我に戻り、楠木魅子がいた壇上を見るが既にいない。
恐らく状況的に不利と考えて逃げているのだろう。
だが先程友姫の雷魔法を受けて弱っているだろうからあまり遠くには行ってないはずだ。
とにかく・・・とスマホを取り出して雪菜に連絡を取ろうとした・・・のだが・・・
「まだ妨害電波残ってんのかよ・・・」
スピーカーから聞こえるのはツーツーツーという音のみ。
ハァ・・・と溜息を漏らしながらも友姫と共に楠木魅子を追う為に走り出した。
◇◆◇◆◇◆
「ハァッ・・・ハァッ・・・」
楠木魅子が覚束無い足取りで体育館から離れ、教室が連なっている廊下を歩いている。
後ろからタッタッタッと2つの足音が時折重なって近付いて来ている。
すぐにあの2人だと分かり、近くにあった空き教室に転がり込んだ。
『どこ行った・・・!?』
『手分けして探そう!』
再び駆け出して遠のく足音。
完全に消えたのを確認して安堵の息を漏らした。
そしてその間に対策を考え始める。
(恐らくあの奪木龍護って奴のコントロールが効かなくなったのは友姫・S・ラジネスの【怠惰の龍】の力ね・・・ったく何よ!あの人に脅迫された挙句、糞ガキ共に計画の邪魔をされるなんて!)
楠木魅子は今の現状にイラつき始めている。
実際に楠木魅子に【色欲の龍】の能力が付き始めた前はあまり同性からは好まれていない人物であった。
というのも男性俳優や声優に明ら様な媚びや自分の呟きが特定されないように作った裏アカウントで番組の裏話や他の女優達への愚痴などが多かったからだ。
そして【色欲の龍】の能力が身に付き、周りが思い通りになったのを見て今の自分ならなんでも出来る。なんでも叶うと思っていた。
その証拠に有名な俳優と交際を始め、異性同性問わずに尊敬されていた。
だがそれは【色欲の龍】の能力による相手のコントロールがそうさせていたのだ。
そしてとある人物に目を付けられ、その交際相手に浮気させるように仕向けさせられた。
楠木魅子はその俳優に想いを寄せていたが七天龍の能力が露になれば自分の身に自由は無い。
だが上手くいけば自由にしてやると聞いて仕方なくその俳優に浮気をさせるコントロールを施して悲劇のヒロインを演じていた。
その挙句その人物から「友姫・S・ラジネスの交際相手を利用して紋章を奪え」と命令が下った時はもう心身共に疲れていた。
途中まで順調だったのが一瞬にしてボロボロになったのだ。
見ていた夢は無理矢理掻き消され、現実に戻された時の放心状態と言ったらなかった。
だが自分の自由の為に、能力をバラされたく無いが為に2人を襲撃した。
その結果がこれだ。
「最悪最悪最悪最悪最悪最悪、本っ当に最悪!!!!!!!!」
怒りが堪えきれず、ガン!!!!と積まれていた机を蹴ってしまった。
その音に気付いた2人が戻ってくる。
(ヤバッ!!!!)
【怠惰の龍】に【色欲の龍】の力は効かない。
そして楠木魅子は魔法適正がCと低い。
Cランクの魔法なんざたかが知れてる。
友姫のポテンシャルは既に聞かされていて魔法による攻撃は不可。
その上魔法のコントロールもイマイチ。
龍の力も使えないとなると今は逃げるしかない。
楠木魅子は窓を開け、外に出る。
窓から逃げたのを悟られないように閉めてから外の壁に固定されているパイプの上に立った。
時折ギッ・・・ギッ・・・と鳴る鉄パイプに折れてしまうのではないかと気が気でない楠木魅子。
クライミング等のスポーツをやっていればパイプや手すりを伝って下に行けただろう。
だがこの方、スポーツすらも未経験の為そんな勇気は無かった。
無属性魔法の飛行魔法を使えば楽なのだが本人はCランクで魔力も少なく、学生の頃に魔法の授業で暴発して後頭部を3針縫う大怪我をしたのを思い出して全身が震える。
左の方にバルコニーがあるのを見付け、意を決して足をずらしてバルコニーに向かう。
そして漸くバルコニーに足が着いたと同時に先程いた教室の窓が開き、そこから友姫が顔を覗かせた。
「いたか?」
「ううん・・・ちょっと飛んで見てみる」
友姫の言葉に楠木魅子は焦り出し、近くにあった室外機に身を隠す。
友姫が魔法を使って浮遊し、辺りを飛び回る中、楠木魅子は口を手で抑えて息を殺していた。
「だめ。見当たらない」
「おかしいな・・・こっちの方で音がしたのに」
その時だった。
ピリリリリ・・・ピリリリリ・・・
楠木魅子が持っていたスマホに着信が入り、なんでこんな時に!?と動揺しながら着信音を消し、バレないように声も殺して電話に出る。
「ちょっと!今電話しないでよ!今彼等に追われて・・・」
『もういい。君の役目はもう終わりだ』
「・・・え?それって・・・」
遠くから一機の軍用ヘリが見える。
それを見て楠木魅子の顔から血の気が引いた。
「あなた・・・まさか・・・!?」
『言っただろう?自由にしてやる・・・と』
自由にしてやる・・・その言葉の意味がやっと分かった。
「ね・・・ねぇ!?嘘でしょ!?だって私、あなたの言う通りに!!!!」
『あぁ、私の思惑通りに動いてくれて感謝するよ。だから・・・さっさと死んでくれ』
ブチッ!と通信が切られ放心する楠木魅子。
その頬に涙が伝う。
「なんでよ・・・なんで私がこんな目に・・・」
既に軍用ヘリは近付いていていつでも射撃可能な距離にまで迫っていた。
そして・・・遂に機関銃が回転し、1つの銃弾が楠木魅子の近くの窓を突き破った。
それを合図に無数の銃弾が学校の壁に突き刺さる。
楠木魅子は当たりたくないが為に必死に頭を抱え、身を低くする。
一旦射撃音が止んだ。
だがそれは諦めた訳では無い。
確実に楠木魅子に当たる位置に移動している。
その証拠に・・・軍用ヘリに搭載されているライトが楠木魅子を照らし出した。
ああ・・・終わった・・・
楠木魅子が全てを諦めた・・・その瞬間だった。
巨大な白い龍の身体がヘリの銃弾の全てを弾いた。
「えっ!?」
突然の事に楠木魅子はポカーンとしてその様子を眺める。
その横から友姫が楠木魅子に近付いてその身体を持ち上げ、白い龍になった龍護に乗った。
「リューゴ!早く離れよう!」
友姫の言葉に龍護は頷き、翼を広げて天高く飛び上がる。
その様子はヘリに乗っていた男性も見ていた。
「白い龍!?【強欲の龍】か!!!!おい!あの龍を追え!!!!絶対に逃がすな!!!!」
男性の言葉に操縦者は急いで方向転換し、白い龍を追っていった。
◇◆◇◆◇◆
暗い街中の上空を白い龍と黒いヘリが飛んでいる。
「リューゴ!ヘリが追って来てる!もっとスピード出せない!?」
白い龍になった龍護は『これ以上は無理だ!』という意味を込めて首を横に振る。
実際にはもっとスピードを出せるのだがそうしてしまうと友姫と楠木魅子を振り落としかねないのだ。
龍護はある事を思い付き、友姫と楠木魅子に手を差し出す。
友姫は頷いて楠木魅子を抱えたままその手に乗った。
2人が手に乗ったのを確認して落とさないように抱え込み、龍護は宙返りしてヘリの後ろに着く。
追う側と追われる側の立場が逆転した。
「!?くっ!スピードを上げろ!!!!奴らを撒くんだ!!!!」
だが龍護は追わなかった。
その様子を見た男性は下に待機させていた陸軍に通信する。
「今からドローンで奴らを追う。白い龍と女子生徒は一旦無視して楠木魅子の身柄だけ確保しろ」
通信を受けた陸軍は『了解』とだけ言って通信を切った。
そして男性は通信を切った後で考えていた。
(あの龍・・・突然の事なのに【怠惰の龍】と団結していたな・・・だとすると【強欲の龍】は【怠惰の龍】と距離が近い関係なのか?俺は楠木魅子には友姫の彼氏を・・・まさか・・・)
辿り着いた答えにククク・・・と笑みを見せる男性。
「そうか・・・そういう事か・・・だから奴の姉も・・・」
これは使える・・・と見た男性は操縦者にお前はこのまま帰還しろ。楠木魅子は私が始末すると言ってその場を離れていった。
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