第21話ネストという人形

「ネスト・・・?」


龍護の呼び掛けにビクッ!と身体を震わせる。

少しづつネストは龍護に視線を向けた。


「龍護・・・先輩・・・?」


その表情は『なんでこんな目に・・・』と言いたそうな表情だった。


「違うんです・・・私・・・こんな・・・!先輩・・・信じて下さい・・・!」

「落ち着けって・・・疑ってねぇよ」


言葉通り、龍護はネストの事は疑って無かった。

この表情から【嫉妬の龍】の暴走である事は確定出来る。


ならば────


「ネスト、解除方法は分かるか?」

「え?」

「お前が解除出来るなら、解除してこの監獄を壊したと同時に俺はお前を抱えてこの場を離れようと思う」


龍護の作戦はこうだ。

まずネストがこの監獄の制御方法を探る。

見付けたらわざと破壊して龍護と元に行く。

そして龍護は自分の闇属性の魔法を使ってカモフラージュを行いながらこの場を離れる。

他に方法は今の所考えられない。

ネストはやってみます。と答えるもこの監獄を操作する方法が見付からない。

取り敢えず・・・と目の前にある大きな半球体に触れる。

すると、ジジジ・・・と横に割れ目が現れて、開き出す。

今まで龍護が見てきた”眼”と変わらない色の眼だ。

その”眼”は指示を待ってるかのようにネストを見ていた。


「えっと・・・ここの制御をしたいんですけど・・・」


眼を閉じる。

すると壁つたいに上へと”眼”は上がっていき、下から紫色の触手で出来た椅子と楕円で湾曲した台が現れる。

その台の手前には2つの筒があり、その先端に穴があった。


「ここに・・・座るの?」


ネストを見詰める”眼”は優しく眼を細めた。

試しに座ってみるとブヨブヨな感触もそれがクッションとなって身体にフィットし、案外座りやすい。

穴に関しては理解出来る。

ネストは両手をその穴に入れた。

中には歪だがボタンやレバーのような物があった。

試しに握ってみるとグニャリ・・・と握った手の形に合わせて変形する。

嫌悪感を感じつつも2本のレバーを前に傾けた。

すると突然、監獄内がガタガタと揺れ出す。


「な・・・何・・・!?」


ネストが立ち上がろうとする。

だが穴に入れた手を抜く事が出来ない。


────フフフ・・・♪


「っ!?」


ネストの脳内に誰かが笑いかけた。


────やっと思い通りに動ける♪


「誰!?」


────誰って・・・さっきから貴女と一緒にいるじゃない。


ネストがハッ!として上を見上げる。


”眼”だ。


”眼”がネストに話し掛けてくる。


────私は【嫉妬の龍】・・・宜しくね?ネストさん?



◇◆◇◆◇◆



異変は外でも起きていた。

病院が揺れ始め、友姫は姿勢を低くする。

目の前には【嫉妬の龍】の能力で創り出された繭。

それが少しづつ動き出している。

新しく触手が生え始め、繭は病院の外壁から剥がれて浮かび上がった。

そして繭と病院を固定していた触手の先は鋭利になったり、穴が現れたり、その1本1本が巨大な槍や刀や銃口となる。

友姫は気付いた。

これは監獄なんかじゃない。


浮かぶ要塞なのだと────



◇◆◇◆◇◆



「待って!?私はこれを抑えたいの!!!!協力してよ!」


────嫌よ。そんな事したら私のお気に入りに傷が付いちゃうじゃない。


ネストの必死の説得は【嫉妬の龍】に届いていない。

だが龍護がある事に気付く。


「おい・・・【嫉妬の龍】」


────ん?なぁに?


「何で・・・お前は意志があるんだ?」


そう。

龍護が気付いた事、それは────この【嫉妬の龍】には意志がある点だ。

龍護も友姫もそれぞれの龍の声は聴いていない。

だとしたらなぜこの龍は自分で動き、話せるのか・・・?


────そうねぇ・・・端的に言うと、私は7頭の龍の能力の中で唯一私だけが自分で動ける龍だから・・・ってところかしら?


(この口調・・・性別は女って事か・・・)


先程からの【嫉妬の龍】の口調的に声のトーンは男だが、性別は女性のようだ。


「ネストはお前の主だろ?なら────」


────だから嫌って言ってるでしょ?確かにこの子は私の能力を持った子よ?でも相性が合わなければ私は私が思うように能力は使わせてもらうわ。


(どうやら難儀な龍をネストは受け取ったみてぇだな・・・)


この間にも監獄・・・いや、要塞は空中を進んでいる。


────う~ん・・・私は本体だから外の様子を見れてるけど貴方達は見れてないわよね・・・どう?見てみたくない?


突然の提案。


その提案に龍護は素直に応じる。

外がどうなってるのかを知る為だ。


────なら、はい♪


”眼”は1度目を閉じて再び開く。

すると黄色い目から光が照射され、ネストと龍護の前にあった紫色の壁に映像が映った。

だが龍護はその光景に驚愕する。

既に繭型の要塞は街の上空を渡っていたのだ。

すると龍護のポケットに入っていたスマホに着信が入る。

相手は友姫だ。


「どうした?」

『リューゴ!大丈夫!?』

「こっちはな・・・そっちはどうだ?」

『こっちはちょっとヤバいかな・・・色んなテレビ局のヘリコプターが飛んでるんだけど少しでも近付いたら撃ち落としてるの!』

「は!?」


友姫の声に龍護は【嫉妬の龍】の”眼”を見る。


────当然でしょ?あの飛んでる訳の分からない金属の塊は私のコレクションに近付こうとしてるのよ?折角綺麗な状態で集めたのを汚されるのならそんなの撃ち落としてもいいじゃない。


【嫉妬の龍】は独占し、自分の欲求を満たす為に相手が誰であろうとも破壊する気だ。

紫色のモニターに映された映像に黒くて大きな戦闘機が現れる。


空軍だ。


戦闘機から何かが落ちるが途中で浮上し、こちらに近付いてくる。


(特殊魔導隊か・・・)


特殊魔導隊────優れた攻撃系統の魔法を持つ集団であり、その集団に入る条件も厳しく、魔法適正がB以上無いと入る事は出来ない。

そんな彼等が近付いてくる。


────へぇ・・・私のコレクションに近付く気なのかしら・・・?


【嫉妬の龍】の声は少し怒気が宿っている。

恐らく、相手をする気だろう。

彼等が自分の持っている様々な属性の攻撃魔法を撃ってくる。

その全ては当たりはするものの、誰一人龍の力で出来た繭型の要塞に傷を付ける事は出来なかった。

1本の触手が繭から伸びて1人の隊員を捉えた。

隊員は逃げ出そうとするが触手はそれを許さない。

少しづつ触手が締まり始めていく。


『・・・ろ!!!!やだ・・・!!!!』


要塞内に声が響いた。

恐らく【嫉妬の龍】が映像だけでなく音声も入れ始めたのだろう。


『止めてぇー!!!!誰か・・・誰かぁー!!!!やだ!!!!死にたくない!!!!ごめ────』


ボリュッ────!!!!プシッ────!!!!


全身の骨が砕け、肉が潰された音の後に隊員の身体から血が弾ける。

そして隊員の四肢はダラン・・・と垂らし、その先からポタポタと血が流れ落ちていた。

そしてそれを離すと隊員は地面に落ちていった。


「殺した・・・のか・・・!?」


────当然でしょ?私のコレクションに傷が付くなら何人潰してもいいじゃない。


そう言うとすぐに何本もの触手が繭から伸びて隊員達を捉えては潰し、捉えては潰し────を繰り返した。


ガッ!!!!ガッ!!!!


ネストは筒を蹴って自分の腕を抜こうとしていた。


「このっ!このっ!」


だが何回蹴っても筒はビクともしない。


────ちょっと、止めてくれない?


要塞の内側に触手が現れてネストの両足を固定する。


「離してよ!言ったでしょ!私はこれを止めたいの!」


────それは無理よ。貴女の心の中の想いに反応して私は動いてるんだから。それに貴女はいいの?


「・・・え?」


【嫉妬の龍】の言葉にネストは止まってしまう。


────貴女・・・捨てられたんでしょ?


「っ!」


【嫉妬の龍】は今、ネストが1番言われたくない事を掘り出してくる。


────これを解けば確かに貴女とそこの男は自由になれる。でもいいの?今、私はこれで貴女の故郷に戻る予定よ?その様子を貴女の家族が見たらどう思うでしょうね?七天龍の1つ、【嫉妬の龍】の力を宿してるって知れば貴女はもしかしたら尊敬され、誇られ、家に帰れるかもしれないのよ?


「・・・・・・あ・・・・・・」


ネストは迷ってしまった。

確かにこのまま故郷行けば伝説の七天龍の力の1つを持ってるとして家族に尊敬されるかもしれない。



自分の居場所に戻れる。



ネストの心の天秤は揺らいだ。



この要塞を止めて独りで生きていくか────



このまま進めて家族の元へ戻るか────



「ネスト」


龍護がネストに呼び掛ける。


「頼む。これを────」


────あ、貴方は口出ししないでね?


突然、龍護を捉えていた檻の前に壁が下から現れて、龍護の姿が見えなくなっていき、同時に声も聞こえなくなっていく。

そしてとうとうお互いに声や姿を認識出来なくなった。

龍護は壁越しにネストへ何かを訴えているようだがネストには全く聞こえない。


────さぁ、選んで?もし貴女が帰るのなら私は協力するわ。


「・・・家族の所に・・・帰れる・・・」


ネストの心は揺らいだままだった。

今すぐに止めれば自分達はここから抜け出せる。

でもそこからは独りで生きて行くしかない。


だがこのまま家に帰れば伝説の七天龍の1つを宿してるとして家族に迎え入れられるかもしれない。


「先輩・・・────」


ネストの心は────


「────ごめんなさい」


帰る事に傾いた。


「私は・・・家族の元に帰りたい!!!!」


────そう?なら任せて。


ネストは【嫉妬の龍】の口車に乗せられた。



◇◆◇◆◇◆



「こんのっ!!!!」


必死に龍護は壁に体当たりを続けている。


(頼むネスト・・・早まるなよ・・・!!!!)


ピリリリリ・・・ピリリリリ・・・


ポケットの中のスマホに着信が入った。

相手は友姫のようだ。


「どうした!?」

『リューゴ!すぐにネストちゃんを止めて!!!!さっきからヘリコプターや人が落ちていってる!!!!』

「なっ!?」


止まらずに進んでいる────という事は、ネストは【嫉妬の龍】の話に乗った事を意味していた。

友姫は今、途中で合流した雪菜の車に乗って、街中で【嫉妬の龍】の下を走っていた。

そして上からはヘリコプターの残骸や人が落ちてきている。

街にいる人々は悲鳴を上げながら逃げ回っていた。

そして雪菜も必死に避けながら運転している。

誰が見てもその光景は地獄絵図だった。


「クソがッ!!!!」


ガッ!!!!と龍護が床に拳を叩き付ける。

そんな中でも龍護は必死に考えていた。



◇◆◇◆◇◆



龍護が要塞内で考えてる中、友姫も下から【嫉妬の龍】が作り上げた要塞を見て打開策を練っていた。

1人の隊員が下に潜り、繭型の要塞に近付く。

なんと、隊員は繭型の要塞に近付けていた。

だがすぐに要塞も気付けたのか、触手が隊員を握り潰して隊員は落ちていく。

その様子に疑問を感じた友姫。


(まさか・・・)


友姫の中でとある結論が出た。

だが確信は出来ないのも事実。


「リューゴ」

『何だ?』

「私・・・やってみる」

『・・・は?』

「見付けたかもしれない・・・あの要塞の弱点」


友姫の言葉に龍護の声は驚いていた。


『待て!?まさかお前・・・』

「雪菜さん!あの高いビルで車止めて!」

「えっ!?はい!」


友姫は龍護の声が響いている電話を切って雪菜に指示を出した。

雪菜は交通網が混乱してる中を走って、友姫の指示したビルの横に車を停める。


「行ってくる!」

「は・・・はいお気を付けて!」


友姫は走ってビルの中に入る。

中は監視員も誰もいなかった。

それをいい事に仕切られている所を飛び越えてエレベーターのボタンを押す。

すぐに扉が開き、友姫は最上階である45階のボタンを押した。

扉が閉じて上に上がっていく。


ピンポーン


扉が開いた途端に友姫はすぐに走り出し、屋上に続く階段を駆け上がる。

屋上に着くと繭型の要塞はすぐそこまで近付いていた。


(落ち着いて・・・私なら出来る・・・)


友姫はポケットに入れておいた包帯を顔に巻いて素性を隠し、無属性魔法の浮遊で浮き上がる。

それと同時に【怠惰の龍】の能力無効化を発動した。

準備は万端だ。

その様子をまだ浮いていたヘリコプターが撮影している。


「ご覧下さい!包帯を顔に巻いた正体不明の女子高生が浮遊する要塞に近付いています!」


その声は要塞内にまで届いていた。



◇◆◇◆◇◆



────あら、あの子【怠惰の龍】の所持者だったのね。


【嫉妬の龍】の言葉とスクリーンに驚くネスト。


「嘘・・・ラジネス先輩もだったの・・・!?」


【嫉妬の龍】が何本も触手を出現させ、友姫を襲わせる。

だが友姫も紙一重で避けて近付いてくる。

そこで再び【嫉妬の龍】は何かを思い付いた。


────ねぇ主?


「な・・・何?」


────さっきの男子って想い人?


「え・・・?」


恐らく【嫉妬の龍】は龍護の事を言っているのだろう。

その事に気付いて顔を赤くするネスト。


「えっ!?いや・・・その・・・」


────もしも彼が優秀なら家族の元へ帰った時に両親に説得すればお婿さんにさせてもらえるかもね?


「・・・・・・・・・え?」


確かに龍護は魔法適正がSランクで闇属性の魔法の所持者。

友姫やその父親以外は知らないが【強欲の龍】の所持者だ。

もしもこの2つが明らかになったら家族からの期待度はより一層高まるだろう。


「先輩が・・・私の・・・」


ネストの頭は既に【嫉妬の龍】によって正しい判断が出来ないでいる。


────そう。だって貴女・・・あの男が欲しいんでしょ?


その言葉を聞いてネストの心は再び揺らいでしまう。

本来のネストなら、龍護を巻き込みたくない。と却下するはずだ・・・だが今は違う。

この要塞に、【嫉妬の龍】の可能性に酔ってしまい、正しい判断が出来無くなり始めている。


「先輩・・・私の彼氏になってくれるの・・・喜んでくれるかな・・・?」


────そりゃそうよ。後は貴女がどうしたいかだけ。人はより有能な人を好むのよ?なら今、ここで、貴女が優秀な子である事を示してあの男を独り占めしちゃえばいいじゃない。


ネストの心に響く【嫉妬の龍】の甘く危険な誘い。

完全にネストは【嫉妬の龍】の人形になっていた。


「私と・・・先輩・・・」


フラフラと先程の椅子に座る。


「私の家族に紹介しないと・・・」


ネストとネストの心は完全に【嫉妬の龍】に掌握され、完全な操り人形となってしまった。


────なら、あの子、排除しないとね。


「そう・・・だね・・・私の先輩を奪う気なら────殺さないと」


ネストの敵意は完全に【嫉妬の龍】から友姫に切り替わった。



◇◆◇◆◇◆



友姫は【怠惰の龍】の能力無効化によって触手による攻撃を無効化して霧のように霧散した。

すると1本の触手の先が筒状になる。


(何が来る・・・?)


そう考えた時だった。

その筒から炎の弾が飛んできたのだ。

だが友姫の周りにある無効化の範囲に入ると炎の弾は消えてしまう。


(今の所・・・大丈夫・・・)


友姫は少しづつだがゆっくりと要塞の下に近付いている。

その時だった。

触手の1本が無効化の範囲に入っても細くなるだけで友姫の身体に近付いた。

友姫は咄嗟にその場を離れる。


(っ!?何が・・・!?)


要塞の本体を見ると表面は波のようにしなり、形が変わっていく。

と言うよりも全体から鋭利なブレードが繭から生えてきている。

そしてそのブレードは長くなっていき、繭は回転を始めた。

それに伴い、ブレードも回っている。

これでは迂闊に近付いたら切り刻まれるだろう。

だが自分には【怠惰の龍】による能力無効化がある────そう信じたからこそ友姫は【怠惰の龍】の力に関わる最大の弱点に気付けなかった。

友姫は浮遊状態から加速し、繭に接近する────がその前に繭が作ったブレードが友姫の腕の皮1枚を切り裂いた。


(え・・・!?)


そこで止まるべきでは無かった。

無効化が効かない事に戸惑った友姫に対して回転していたブレード達は止まり、一斉に友姫に襲い掛かり、友姫の身体を切り裂いた。


「っぐぁ・・・・・・!」


全身に切り傷が入り、血が滲み出る。

痛みに意識を取られて【怠惰の龍】の能力が一時的に解除される。

そして下からの触手に気付けなかった。

友姫の足を捉えた触手は友姫をビルへと投げ飛ばした。

投げられた友姫は窓ガラスを割ってビル内を転げる。


「ゲホッ・・・ゴホッ・・・ッ!」


全身がズキズキと痛む。

だが同時に不思議に思った。


(なんで!?なんで無効化出来ないの・・・!?)


先程までは無効化出来ていた。

なのに何故急に出来なくなったのか。

理由は簡単である。


【嫉妬の龍】の力が【怠惰の龍】の力を上回ったからだ。


そして理由は他にもある。

当時の彼等は世界各国で暴れていた。

ならば確率が低くとも偶にであればお互いが遭遇する事はあるはずだ。

そんな時になぜ味方の力を無効化する必要があるのか────

【怠惰の龍】の能力は相手の能力の無効化。

でもそれには制限がある。

無効化出来るのは魔法かあるいは同胞以下の者のみ。

だが【七天龍の遊戯】ではお互いに能力を使って相手を倒す為、相手が持つ龍の力を自分より使いこなせていない時に限る。

つまり、その者が能力を引き出せば引き出す程【怠惰の龍】の無効化の効果は薄れていってしまう。

今になって漸くその事に気付けた。


(どうすれば・・・?)


咄嗟に電話をした。

相手は龍護だ。


「もしもし・・・リューゴ・・・?」

『どうした!?何があった!?』

「ちょっと・・・キツいかも・・・」

『え・・・!?』


友姫は龍護に【嫉妬の龍】の能力が無効化出来なくなっている事を素直に話す。


『嘘だろ・・・!?クソッ!どうすれば・・・』

「私は私なりに色々やってみる・・・だからリューゴもお願い・・・私をサポートして・・・!」


友姫はそう言って電話を切った。


「ネストちゃん・・・もしもあなたが【嫉妬の龍】に利用されてるなら後で謝ったらちゃんと慰めてあげる・・・でも・・・」


友姫の目に怒りが宿る。


「これがあなたの選択なら・・・私はあなたを絶対に許さない!!!!」


龍護が中で打開策を練ってる中、友姫は再び繭へと挑もうとしていた。



◇◆◇◆◇◆



要塞内の檻に囚われている龍護も必死に頭を回転させていた。


(どうすればいい!?友姫の龍の能力は効かねぇ・・・考えろ・・・考えろ考えろ考えろ考えろ!!!!何か打開策があるはずだ・・・使えるのは龍の力じゃなく・・・て・・・・・・も・・・・・・?)


龍護の頭の中でとある提案が浮かぶ。

だが


(これをするなら両方の意識を一時的にこっちに向けねぇと・・・)


龍護はスマホを取り出す。

そこに友姫宛のメッセージを送った後にとあるメッセージを打ち込んだ。



◇◆◇◆◇◆



ブーブー、ブーブー


ネストのポケットに入っていたスマホに着信が入る。

【嫉妬の龍】に読みたいと頼むと左手を筒から出させてくれた。

メッセージの送り主は龍護のようだ。


《ネスト、1つ提案がある。少しだけでもいいから話がしたい》


「・・・ねぇ、【嫉妬の龍】」


────ん?なぁに?


「龍護先輩と・・・話していいかな?コントロールはそっちに任せるから」


────・・・まぁ、少しくらいなら・・・


ネストは筒から両手を出して龍護の囚われている壁に向かい、壁に触れると真ん中から裂けて龍護の姿が見えた。


「ネスト・・・」

「先輩・・・」


だがまだ【嫉妬の龍】の意識は壁のモニターでこちらを見ていない。

そこで龍護はある提案を出した。


「お前らに協力する」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る