第18話 奪木龍護の黒歴史

「友姫ー!早くしねぇと遅れるぞー!」

「その時はリムジンで・・・」

「却下だ!」


龍護は個人的にリムジンが苦手で最悪走って行くつもりだ。

奥から友姫が来たが、その手には水色の包みが握られている。


「何それ?」

「私が作ったんだけど・・・リューゴに食べて欲しくて・・・」


友姫は弁当を作っていたのだ。

はいっ!と笑顔でその水色の包みを渡す。

龍護は頬を軽く赤に染めながらもその包みを受け取った。


「・・・ほら行くぞ」

「うん!」


無論、2人揃って遅刻して、担任からお叱りを受けたのは言うまでもない・・・



◇◆◇◆◇◆



昼休みになり、龍護達は食堂に向かう。

その途中だった。


「あ、龍護先輩」

「ん?お、ネストか。そっちも食堂で昼か?」

「まぁ、そんな所です・・・ご一緒しても?」


龍護達はOKして食堂へと歩いた。



◇◆◇◆◇◆



食堂に着いて適当に席を取る。

龍護が食券を買いに行ってない事に白が気付いた。


「あれ?龍護、早く券買わないと品切れになるよ?」

「心配ねぇよ。今日は友姫が作ったんだ」


誇らしげに龍護は友姫から受け取った弁当の包みをテーブルに置いた。


「先輩、お弁当なんですね」

「ん?まぁ今日はな」


ネストも弁当を袋の中から取り出す。

赤い弁当箱だ。

野武、雫、白が受け取りカウンターから品物を持って帰ってきたので揃って昼食を食べた。


「そういえばリューゴってさ・・・」

「ん?」


食べてる途中で友姫が龍護に話し掛ける。


「リューゴと白ってよく口喧嘩っぽいやりとりしてるけどどうして?」


その質問に龍護と白は顔を見合わせた。


「友姫ちゃんには言ってなかったわね。私と雫、ダッチーは小学校とクラスが6年間同じだったのよ」


白は既に昼食を食べ終えて小学校の話を始めた。


「最初はアンタも変に目立ってたわよね。テストでは毎回満点取るし、喧嘩売られたら軽く否して向こうが言い訳考えてダッチーを悪者にしようとしたらダッチーも事細かく遭ったことを話して結局向こうが謝るハメになったし・・・なんというか・・・小学生っぽくない小学生って感じだったわね」

「へー。リューゴって昔からこんな感じ?」

「だね。変に頭が回って理屈っぽくって・・・口喧嘩だったら当時は相手が勝てなくって泣いた時だってあるんだよ?」

「それは向こうが揚げ足取るからだろ・・・」


それにしたって口喧嘩で泣かせるってありえないっしょ!と白は笑っていた。

龍護としては前世とこの世界の年齢を足したら軽く30歳は超える。

その時点で口喧嘩でも相手の言ってる事が矛盾してるのはすぐに理解出来た。


例えばこんな口喧嘩があった。


『何時何分何秒地球が何回回った時に言った?』と聞かれた時は『質問を質問で返すけど公転?自転?それと地球が出来た時から数える?それとも人類が誕生した時から?』と質問攻めで言い返し、『じゃあ出来なかったらお前の恥ずかしい事言い触らしてやる』

『んじゃ成功したらお前が俺の邪魔した事、フルネーム+写真付きでネットにバラ撒いとくよ』


等、小学生に対して行動が必要なら有言実行し、口喧嘩なら一方的のような言葉で尽くを論破し続けていた。

・・・精神年齢からすると大人気ないが・・・

そしてそんな事があってか、当時の龍護の渾名は【屁理屈野郎】となっていた。

それが悔し紛れのせめてもの仕返しによるものだったということは龍護は分かっていながらもシカトしていた。


「あの時はどれだけの同級生を泣かせた事か・・・」

「向こうは精神的に幼いんだよ。言う事や図体ばっかデカくて、やるとなったらビクついて・・・結局は目立ちたいだけだったんだろうよ」

「本当容赦無いわね・・・」

「暴力振らないだけ良かったろ」

「・・・そういえばあれ覚えてる?」

「あ?アレってなんだよ?」

「ほら、小学3年生の時の」


んー?と龍護は顎に手を付けて記憶を遡る。

そして、あっ!と思い出した後で、それは言うな!?と龍護も焦っていた。


「あの・・・アレってなんですか?」

「ほらー?ネストちゃんは知りたいみたいよ?」

「テメェ・・・」


龍護の状態を無視して白が話し出す。


「原因は・・・簡単に言えば嫌がらせね。私と雫とこいつでコンビニに行ったのよ。その時に私は龍と話してたんだけど6年生とぶつかったの。その時にお店の商品を入れられたのよね」



☆★☆★☆★



今から8年前。

龍護達がコンビニに行った時にそれは起こった。


「何買うー?」

「俺はいつもの10円ガムでいいや」

「えーダッチーいつもそれじゃん。たまには他のお菓子も食べてみよーよ。じゃが〇ことか」

「いや、10円ガム結構気に入ってんだぞ?苺味で真ん中割れてるから兄弟いる奴なら分けられるし」

「はいはーい。つべこべ言わずに今日は別のね」

「人の意見無視っすか・・・」


龍護は呆れながらも他のお菓子と10円ガムを買おうとしていた。

その時だった。


ドン。


龍護は6年生とぶつかってしまったのだ。


「あ、すみません」

「いいよ。気を付けてね」


普通ならここでよく上級生はイチャモンを付ける筈だが、虫の居所が良かったのかすぐに立ち去った。


ドテッ!


後ろでも音がして振り向くと白が太った6年生にぶつかってしまい、転んでいた。


「あ~ごめんね。大丈夫?」

「は・・・はい」


白はすぐに立ち上がって6年生はどこかに行ってしまった。


「・・・大丈夫か?」

「うん大丈夫。さてと買いに行きますか!」

「おー・・・って待て、雫は?」

「雫はずっと本読んでるよ」


なら大丈夫か。と龍護と白は会計を済ませる。

そしてドアの近くまで行って雫を呼ぼうとした時だった。


「ドロボーーーーー!!!!!!!!!!!!」


先程の6年生が叫んでいた。

急な事に白は驚いて腰を抜かしてしまう。

だが龍護は”?”と疑問符を浮かべていた。


(・・・あの時か・・・)


龍護は先程の行動を思い出していた。

彼等は龍護と白を万引き犯にする為にぶつかってきて、どこかに店の商品を入れたのだ。

犯人として執務室に連れて来られた龍護と白。

そして証人として先程の6年生2人も同行した。


「君達かい?万引きをしようとしたのは」

「違います!私達は6年生の人達に嵌められたんです!」

「はぁ?何言ってんだ?俺達は見たんだぞ!お前とこいつが商品をバッグに入れてる所を!」

「違うって言ってるでしょ!あなた達が入れたんじゃない!」


脅す為か、1人の男子が龍護の襟を掴み掛る。


「おい、さっさと認めろよ犯罪者」


脅してる事にすぐに龍護は気付いた。

恐らく本来の小学生であれば泣いてしまうだろう。

その証拠に横にいた白は違うのに・・・私達じゃ無いのに・・・と泣き出してしまう。

だが龍護は違う。

龍護は肉体的には小学生だが精神や頭脳的には既にこの時から20代。

どこの店にでもある、とあるシステムで解決出来る事を知っていた。


「ねぇ、店員さん」

「なんだい?」

「監視カメラ・・・動いてたよね?」


監視カメラ────その単語を聞いて6年生達は途端に顔が真っ青になった。

すぐに確認され、6年生達が龍護と白にわざとぶつかった瞬間に商品を入れている所がバッチリと映っていた。

店員は6年生3人の家に電話をして事情を説明すると向こうが来るとの事。

白が双子の妹がいる事を店員に伝え、白は雫に先に帰ってていいよ?と優しく言って雫は帰っていった。

数十分が過ぎて母親達が店に来た。

ところがその母親達も癖のある親だった。


『子どものした事なんだから多めに見ろ』

『買い物を撮影するのはプライバシーに反する』

『どうせ捏造だろう』


どの世界の親もこんな感じなんだな・・・と龍護は呆れていた。

そして龍護が動き出した。


「店員さん。彼等の親を呼んで下さい」

「え?呼ぶも何ももう来て────」

「俺が呼んでほしいのは彼等を躾られる歴とした親です。恐らくあの大人達は親戚か何かでしょう」


龍護の言葉に母親達は喚き始めた。

ところが・・・



ダァンッ────!!!!!!!!



龍護が待合室の壁を裏拳で思い切り殴る。

急な出来事に母親達や6年生、店員、白すらも驚いていた。


「小せぇ親だなぁ?こいつらがした事を棚に上げて悪びれもしねぇアンタらがこいつらの親か・・・へぇ?いいねぇおい。つまりアンタらの家庭では『万引きを演じさせる』ってのが普通な訳だ?つまりこいつらはそのアンタらの家庭のルールに則って店でもそのルールを守ったって訳だ?いい子達だなぁ?だろ?」

「えっ・・・いや・・・違・・・────」

「あぁ!?違ぇの!?だったらこいつらのやった事は何だ!?犯罪でも家のルールでも無けりゃ何!?新しいルールでも作ったって訳!?そりゃすげぇなぁ!?こいつらはこの歳で新しいルールを作れる力があるんだ!?なら万引きでも窃盗でも大いにやれよ!!!!アンタらもそれで正当化されんなら喜んでこいつらはやると思うぜ!?なぁ!?どうだよ!!!!」


龍護の突然の変わりように6年生はガタガタ震えていた。


「今すぐにどっちかで答えろ。犯罪を押し付けたのか、親の躾に従ったのか」


6年生は泣きながら、ゴメンなさい・・・と店員に頭を下げる。

親達も顔を赤くしながら、子ども達にはよく言い聞かせます・・・と遂に折れて頭を下げ、彼等は店を後にした。


「君・・・凄いね・・・」

「へ?」

「いや・・・なんというか・・・迫力も言動も小学生には見えなかったよ」


軽くボロが出てしまった龍護はヤバいと思い、両親が俺に何度も人の迷惑になるような事はするな。と言われていたので・・・と言うと店員は納得していた。

その後、その6年生達は龍護をすれ違う度にビクッ!として逃げていくように龍護から離れていった。



☆★☆★☆★



「────ってのか私にとっては1番の伝説かなぁ?」

「伝説って・・・あんなの俺にとっては黒歴史だっての・・・」


龍護達は昼食を終えて食堂で雑談していた。

その雑談が龍護の過去話だったが・・・

白も当時は龍護の変わりように驚いて一言も横から口出しが出来なく、ただただ見守ることしか出来なかったのだ。


「正直言うとあの時は私、内心ビクついてたからね?上級生に口喧嘩とかで勝てたのアンタくらいでしょ?」

「・・・そんなに?」


そんなでもねぇと思うけどなぁ~・・・と龍護は明後日の方向を見る。

そんな龍護を見て呆れた目で白は見ていた。

無自覚なんだな・・・と内心でツッコミを入れる。


「3人はどこの小学校出身なの?」

「私達?榊枝(さかえ)小だよ。・・・そういえばあそこからは中高一貫校のここに行けたのになぜかダッチーは他の中学に行ったのよね~。なんで?」

「別に、理由なんかいくらでもあるだろ。なんか知らねぇけど急に俺の家にここの教員が来て勧誘されたんだよ」

「親は何て言ったの?」

「親・・・っつうか姉が・・・あれ?」


龍護は自分の言葉に引っ掛かりを覚える。


(そういや俺・・・今までこっちの両親に会ってねぇな・・・)


突然黙ってしまった龍護に心配の視線が集まる。


「・・・リューゴ?」

「ん?あぁ、その時は姉が行ってほしいらしくてな・・・ちょっとした制度を使ってここに入ったんだよ・・・白はスポーツ推薦だっけ?」

「まぁね。昔から動くのは好きだったから」


キーンコーンカーンコーン


チャイムが昼休み終了を告げる。

龍護達はネストにまた後でと言って一旦教室に戻った。


「・・・私もそろそろ行こう」


ネストも弁当を袋にしまって自分の教室に戻った。



◇◆◇◆◇◆



再び合同授業の時間になり、それぞれで魔法の練習を始める。

ネストは魔法の複数発動に関しては難なく出来るようになっていた。


「へぇ、結構練習したんだな」

「というよりも龍護先輩の教え方や例え方の方が1番の理由ですよ」


さいですか・・・と龍護は友姫や白達の様子を見回す。

友姫は相変わらず直感派で伝え、白は根性論、雫は筆記、野武も無難な教え方をしていた。

ネストに呼ばれ次の課題を考える。

思い付いたのは2属性での魔法の複数発動。

今までは土属性のみを使用しての魔法発動だった。

今度は2属性による魔法の複数発動となる。

だがこれに関してはネストはすぐに出来た。

というのも複数の魔法を発動させる時に魔力に色分けをしてそれぞれを発動させたのだ。

出来た事でネストが振り向くと龍護は軽く拍手を送る。


「アドバイス無しで出来るとはな・・・」

「龍護先輩がなんて言うか・・・それを考えてやりましたから!」


全てお見通しです。と言わんばかりの笑顔を作る。

そんなネストを見ていて龍護自身も少しだけ喜ばしかった。


キーンコーンカーンコーン


チャイムが鳴って授業が終わる。

教師が生徒達を集めて解散の音頭を取ると生徒達はすぐに教室へと帰っていった。



◇◆◇◆◇◆



龍護も帰り支度をしてる中、白がまだ教室に残ってる事に気付く。


「お前部活は?」

「今日はクールダウンで休みなの」

「・・・よく分かんねぇけど分かった」

「いやどっちよ?簡単に言えば身体を休ませるの」


あ~そういう事・・・と納得した龍護は友姫を呼んだが友姫は先に行ってて。と言われ、龍護は校門で待つ事にした。



◇◆◇◆◇◆



「今日・・・龍護先輩お弁当だったんだ・・・いつも買ってたのに・・・」


ハァ・・・とため息が出てしまう。

そこに1人の女子生徒がやってきた。


「ネストさん。今日って空いてる?」


どうやら遊びに誘うようだ。

だが・・・


「えっと・・・今日はちょっとね・・・」

「あ~・・・うん!全然いいよ!また明日ね!」

「うん。また明日」


少しだけ気まずそうにクラスメイトは他の生徒達の元に戻って楽しく話していた。

そんな子達を見てネストから再びため息が出てしまう。


(帰ろ・・・)


ここにいても虚しいだけだ。と思いながらネストは玄関に向かう。

その間もずっと頭の中を埋めていたのは龍護との合同授業の事。

少しづつだが実力も上がっているのだ。

それはネスト自身も手に取るように分かっていた。


(明日も褒めてくれるかな・・・)


ネストは今まで魔法に関しては褒められた事が全くない。

それ故唯一褒めてくれた龍護にかなり心を許してしまっていた。

外に出ると校門に寄り掛かっている龍護を見付けた。

見付けたネストはすぐに走っていく。


「先輩!」

「?お、ネストか」

「先輩も帰りですか?」

「まぁな、けど悪ぃ、先約がいてそいつを待ってんだ」

「そう・・・ですか・・・」


一緒に帰れない事を知って少しシュンとしてしまうネスト。

だがネストは切り替えて、それでは失礼します!と元気に言って帰っていった。

その数分後に友姫が来た。


「何してた?」

「リューゴは知らなくていいんだよ・・・いや・・・知ってはいけないの・・・」

「・・・どうせ野武から借りてたゲーム返してたんだろ。あいつさっきはクラスにいなかったからな」

「・・・リューゴのくせに鋭い」


もう帰る!と頬を膨らまして帰路に着く。

おいちょっと待てー。と友姫の後を追うように龍護は走り出した。



◇◆◇◆◇◆



2人揃って帰っている時にふと龍護が友姫に話し掛ける。


「なんというか・・・始まったって気がしねぇな・・・」

「【七天龍の遊戯】の事?」


まぁな・・・と龍護は橙色の空を眺めながら歩く。


「なんつーか・・・もっとドンパチするかと思ってさ・・・拍子抜けっつーか・・・皆ピリピリするもんだと思ってな。ネストも所持者だったのに対戦する気が無いみてぇにさ」

「期限が6ヶ月だからじゃない?1週間とかなら必死に探すと思うし、それに────」


ビーッ!!!!


後ろからクラクションが聞こえた。

道路の端に避けて道を空けると車は2人の真横で止まる。

窓が開いて運転手の顔が見えた。


「龍護さんに友姫さんじゃないですか」

「あれ?雪菜さん?どうしたんですか?」

「いえ、買い物の帰りだったんですよ」


乗って行きますか?と聞かれ、龍護達は乗せてもらう。


「お2人は学園ですか?」

「えぇ、先程終わったんです」

「そうですか。お2人は優秀な方ですからね~勉強なんて余裕じゃないんですか?」

「友姫にはキツいかもですね」

「ギクッ・・・」


あはは・・・と雪菜は苦笑するしか出来なかった。



◇◆◇◆◇◆



友姫の家に着いた。

車を降りて龍護は礼を言う。

泊まっていかないの?と友姫が聞くも、アパートを借りてるとの事でここで雪菜とはお別れとなった。



◇◆◇◆◇◆



「フゥ・・・フゥ・・・んッ・・・」


部屋にくぐもった声が充満している。

その声の主は布団に潜ったネストだった。

だがその顔は赤く、吐息も甘い。


(先輩・・・先輩・・・)


ネストは妄想で龍護に襲われていた。


「~~~~~っ!!!!!!!!」


ビクン!ビクン!と身体が大きく震える。

その目は何かをもっと欲しがっている様な目をしている。


「・・・足りない・・・」


再びネストは始める。



欲しい・・・



今まで褒められた事が無かったネストにとって龍護という存在は影響を与え過ぎた。

今では龍護に褒められたいが為に魔法を使ってるという方が正しいと思えてしまう程だ。

それもそうだろう。


誰も自分を認めてくれた人を手放したくないと思う筈だ────



欲しい、欲しい・・・



ネストの中で黒い感情が湧き上がる────



欲しい、欲しい、欲しい・・・



ネストの部屋の台所には空の赤い弁当箱と中身が入った青い弁当箱が置いてあった。

龍護に渡そうとしていた弁当だ。

だが今日の龍護は友姫が作った弁当を持っていた。

ネストは龍護が友姫から受け取った所は見てなかったが、その弁当が誰かからの貰い物だというのは直感で分かった────



欲しい、欲しい、欲しい、欲しい・・・



そして次第にネストにとって龍護は”認めてくれる存在”から”手放したくない存在”となり、独占欲が強くなっていく────



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だからこそ気付けなかった。


ネストが実力を付ける理由が徐々に”家族に認められる”事ではなく、”龍護に褒められる”という事に変わっていた事を。



だからこそ”彼を欲しい”と思ってはいけなかった。



そんなネストの想いに反応してしまい、うなじにある【嫉妬の龍】の紋章が現れ、紫色に鈍く輝き出していた────

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