妖怪

ある日、妖怪に出会った

それは何とも面妖で明らかに人の形をしてはいなかった

欠けた顔半分、拉げた右腕、垂れ流された臓物

変な方向に曲がった足は、どうやって自立をしいるのだろう

首は九十度に曲がっているし、目は見開かれて焦点は真っ直ぐ

虹彩は真っ黒で口からは聞こえない呪詛が呟かれていた

よく聞き取れたと思う

きっと見つけてほしかったのだと思う

夕暮れ時の怪異

男か女かも分からない

きっとこの妖怪は、どこにもいけないのだろう

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