エルフ姫、呼びにくる
134-①
武光達がエルフの隠れ里、カライ・ミツナに招き入れられて、五日が経過した。
この世界では、基本的に人間以外の知性を持つ種族は《魔族》という
基本的にエルフ達は警戒心が強く、エルフ達の長である《大賢者》の一族であるソフィアが招き入れたとは言え、武光達も最初はかなり警戒されたが、武光が里の子供達と仲良くなったのをきっかけに里のエルフ達とも少しずつだが打ち解けてきている。
ナジミも、武光達の看病もあってすっかり元気を取り戻していた。
そして、その日の夕方、武光達に
「こんにちは」
ソフィアの突然の来訪に対し、ナジミとミトが応対に出た。
「これは……ソフィア様!!」
「よくいらしてくださいました!!」
「ナジミさん、お身体の具合は如何ですか?」
「おかげさまで、すっかり元気になりました!!」
「助けて頂き、本当にありがとうございました」
深々と頭を下げたナジミ達に対し、ソフィアは笑顔で手を振った。
「いえいえ、私達の里を守る為に最善の手を打っただけ……と、いう事にしておくので、そんなに
「ありがとうございます」
「ところで……武光さんはいらっしゃいますか?」
「ああ、武光様なら今──」
武光は今、出かけているとナジミが言おうとした丁度その時、玄関のドアが開いた。
「ただいまー!!」
武光が あらわれた!
エルフの男の子A〜Hが あらわれた!
エルフの女の子A〜Hが あらわれた!
帰ってきた武光の周りには、里の子供達がくっついていた。全員泥だらけだが、全員楽しそうに笑っている。
子供達の一人がソフィアに気付いた。
「あっ、ソフィア様だ!! こんにちはー!!」
子供達は元気良くソフィアに挨拶した。
「はい、こんにちは。みんな、どうしたのそんな泥んこになって……」
「畑仕事の後、みんなで《さっかー》してたの!!」
「さっかー……?」
「うん!! 球をね、蹴って相手の《ごーる》に入れるんだよ!!」
「武光のおじちゃんが教えてくれたの!!」
「お……おじちゃん……」
地味にヘコむ武光を見てナジミ達はプッと吹き出した。
「ソフィア様も一緒にやろうよ!!」
「楽しいよ、さっかー!!」
ソフィアはしゃがみ込んで、近くにいた少女に目線を合わせると、少女の頭を優しく
「そうね、また今度ね。今日はね、武光さん達に大切なお話があるの」
そう言って、ソフィアは武光に視線を向けた。
来たか、と武光は思った。争いに巻き込まれるのを嫌っているエルフ達がどうして火種であるはずの自分達を里に招き入れたのか……その理由を知る時が。
「……この前言うてた『予言』がどうのって話ですね……分かりました、聞かせてくださ……痛てててて!?」
武光はミトに耳を引っ張られた。
「ちょっ、何すんねんジャイナ!?」
「……『何すんねん』じゃありません!! ソフィアさんは高貴なお方なのよ? 高貴なる者の前にそんな泥だらけ汗まみれの姿で……貴方ももう『おじさん』なんだからしっかりしなさい!!」
「ちょっ、おまっ……!?」
「それに、高貴とか関係なく、武光おじ様……汗臭いし泥臭いですよ!?」
「誰が『おじ様』やねん!! って言うか俺、そんな臭い……?」
武光がソフィアに視線を向けると、ソフィアは少し困ったような笑みを浮かべて、親指と人差し指で『ちょっと』というジェスチャーをした。
「お……俺、ちょっと体洗って来ますっ!!」
「おれも行く!!」
「僕もーーー!!」
「わーっ!? 待て待て待て!!」
子供達に抱きつかれて揉みくちゃにされている武光を見てソフィアはクスリと笑った。
「ふふふ、じゃあ男の子達もついでにお願いしますね、武光さん?」
「は……はいっ!!」
「「行ってらっしゃい!! 武光のお・じ・さ・ん・♪ 」」
「お前らな……おっさん言うなやーーー!!」
「私もおじちゃんと一緒に行くーーー!!」
「私もーーー!!」
「うーん……ちょっとそれは……女の子はあそこの『貧乳のオバチャン』と『お面のオバチャン』に洗ってもらおうな……って、うげっ!?」
「……すみませんソフィア様、少しお時間頂いても?」
「え、ええ……」
いいえと答える事はソフィアには出来なかった。声色とは裏腹にナジミとミトの目は全く笑っていない、首根っこを掴まれて、奥の方にズルズルと引っ張られて行く武光をソフィアは黙って見送った。
しばらくして、武光が戻って来た……何かげっそりしている。
「じゃあ男子は俺と一緒に東の浴場に体を洗いに行く、女子はこの『キレイなお姉さん達』と一緒に西の浴場に体を洗いに行く、ええな?」
エルフの子供達は元気良く『はーい!!』と返事した。
「すみません、ほんなら、子供ら連れて行って来ます!!」
「ええ、お願いします」
「よっしゃ、男子行くぞーーー」
武光はエルフの男子を引き連れて家を出た。そして、その時ソフィアは最後尾にいた5歳くらいの男の子に耳打ちした。
『武光さんの髪……洗っても色が落ちないか見ておいて』と。
134-②
「お待たせしましたー」
しばらくして、身体を洗い、着替えを終えた武光達とナジミ達が戻って来た。
「いえいえ」
「あ、ソフィアさまーーー」
ソフィアのもとに、先程ソフィアに耳打ちされた少年が走り寄った。
「ソフィアさま、おじちゃんの髪の毛、洗っても黒い色のままだったよ」
「そうですか」
「うん、ち◯ちんの毛も真っ黒だった!!」
「そ……そう」
「ソフィアさま、どうしたの? 顔……真っ赤だよ? ひんにゅーとお面のおねえちゃん達も……」
「い、いえ……なんでもないのよ。心配してくれてありがとう。それじゃあ、みんなはお家に帰りましょうね」
子供達は『はーい!!』と元気良く返事をすると、ソフィアと武光達に別れの挨拶をして去っていった。
子供達を見送った後、ソフィアは改めて武光達と向き合った。
「……さてと、それでは本題に入りましょうか」
「はい」
「大賢者様が貴方達と話したいと
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