斬られ役、超聖剣を振るう
113-①
武光はイットー・リョーダンを八双に構えてザンギャクに突撃した。ザンギャクを袈裟懸けに両断すべく、イットー・リョーダンを振りかぶる。
「うおおおおーーー!!」
〔うおおおおーーー!!〕
「やらせるものかよ!!」
ザンギャクは顔の前で両腕を交差させて、防御の構えを取った。
「《
闘鬼妖術……オーガ一族が使う戦闘術で、ザンギャクが使った闘鬼妖術・妖気鎧は妖気を自身の肉体に
“すん!!”
「グォアァァァッ!?」
武光達は、もはや鋼鉄の塊と同等の硬度を誇るザンギャクの腕の、左肘から先を袈裟懸けに斬り落とした。
「でやぁぁぁっ!!」
〔でやぁぁぁっ!!〕
すかさず刃を返し、イットー・リョーダンを水平に振るう!!
ザンギャクは後ろに大きく飛び退き、ギリギリで武光の水平斬りを躱した。
ザンギャクが、傷口を押さえながら呻き声をあげる。
「へへっ……やっぱ俺にはこの形がしっくりくるな」
修復を終えたイットー・リョーダンは大きくその姿を変えた。元々は西洋然とした直剣型だったのが、護拳を備えた日本刀型へと変化している。
刀身はアナザワルド王国随一の刀匠、ジャトレー=リーカントが、武光達が集めた百本を超えるオーガの角、更にザンギャクの黄金角とボウギャクの白銀角を溶かして純化精錬した素材を使用し、鍛えに鍛え、磨きに磨き抜いた至高の逸品である。
心臓部である
余談ではあるが、《超・大吉の木札》とは、以前セイ・サンゼンの宿屋でイットー・リョーダンを改修した際に目貫として利用した《大吉の木札》を更に超える物で、ナジミ曰く、『家内“超”安全、商売“超”繁盛、千客“超”万来、無病“超”息災、恋愛“超”成就もこの木札があれば超バッチリです!!』という、
何はともあれ、武光達の奮戦とマイク・ターミスタの職人達の技術によって聖剣は復活……いや、超聖剣としてさらなる進化を遂げたのだ!!
「次は……首を落とす!!」
〔次は……首を落とす!!〕
武光はイットー・リョーダンを再び八双に構えた。
「ハァッ……ハァッ……な、何て斬れ味だ……グッ……グオアアアアアアアアアッ!!」
“ズボオッ!!”
ザンギャクが力を込めると、左腕の切断面から新たな腕が生えた。
「ゲエエエッ!? は、生えた……ピ○コロさんかあいつは!?」
〔怯むな!! 何回でも叩き斬ってやるさ!!〕
「……ああ!! 今の俺らの勢いは、コイツ如きじゃ……止められへんッッッ!! ……でやぁぁぁぁぁっっっ!!」
“ガシィッ!!”
「ほげぇぇぇぇぇっ!?」
〔言ったそばから止められたっ!?〕
凡人が調子に乗るとロクな事が無い。武光がザンギャクを仕留めようと脳天目掛けて真っ向から振り下ろした一撃を、ザンギャクはまさかの《真剣白刃取り》で止めた。
真剣白刃取り……迫り来る刃を両の
「う、動かへん……!?」
〔何て怪力だ!?〕
武光は刀身をザンギャクの掌の間から抜こうとしたが、まるで万力で固定されたかのように押す事も引く事も出来ない。自分が対峙しているのが、人間より遥かに強い存在だという事を
「グオォォォォォ!!」
“ガバッ!!”
「ひぃぃぃぃぃっ!?」
前回の戦いで、魔穿鉄剣によって真一文字に付けられたザンギャク腹部の傷が上下に開いた。開いた傷口の上下には鋭い牙が並び、巨大な口が形成されている。腹部の口が言葉を発した。
「モモタロウ……オマエモ……クラッテヤルゾォォォッ!!」
「ひぃーっ!? 怖い怖い怖い怖い怖ーーーい!!」
〔ちょ、調子に乗るから!!〕
「ちょ……ちょっとくらいカッコイイ台詞言うたってええやんけ!!」
その時、炎の壁に囲まれて動きを封じられていたリョエンが叫んだ。
「武光君!! 護拳の底部の輪っかを引くんだ!!」
「輪っか!? こ、これかっ!!」
武光は護拳の底部に付けられたリングを引いた!!
“バシュッッッ!!”
武光がリングを引くと、護拳内部に内蔵されていた直径約1cm・長さ約15cmの金属製の針が発射され、ザンギャクの眉間に突き刺さったが、ザンギャクはケロリとしている
「グワハハハ!! キカンワ、ソンナモノ!!」
「ぜ、全然効いてへーーーん!?」
「武光君、離れて!!」
「は……はいっ!!」
「雷術・
武光がイットー・リョーダンから手を離してダッシュで離れた瞬間、炎の壁をぶち抜いて一条の雷光がザンギャクに襲い掛かった。
「グアアアアアッッッ!?」
電撃を浴びたザンギャクがイットー・リョーダンを思わず取り落とした。
〔武光ッッッ!!〕
「お……応ッッッ!! ……でやぁぁぁぁぁっっっ!!」
“すん!!”
武光は走りながらイットー・リョーダンを拾い上げると、ザンギャクの隣を走り抜けながらイットー・リョーダンを逆袈裟に振り抜いた!!
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