2章 第4話

「それでは、アニマルガール飼育部に新しい仲間が増えたことを祝して!」

「「「カンパーイ!」」」


ダンザブロウ事件から2日後、私含む新しく入った職員の歓迎会が開かれた。


「もうパークの雰囲気には慣れた?」「ペットの犬がフレンズになったんだっけ?」


私は周りにいた先輩方からいくつか質問をされた(私だけでなく他の同期も同じだったが)。


「おかげさまでここの雰囲気には慣れてきたかな、と思います。ここはフレンズはもちろん職員の皆さんも個性豊かで面白いですね…はい、最初は観光旅行のつもりだったんですが、飼い犬のソラを連れて来たらフレンズになっちゃいまして、そこから1週間滞在して、パークの人たちってみんないい人だな、って思ったんで、ここに移住しようって思ったんです」


そんなこんなで先輩方や同期との会話は弾んでいった。


「いやぁー、ソラちゃんいいよねー。愛想いいし、キョウくんによく懐いてるし」


歓迎会が始まってしばらくした頃、アスダさんがそう言ってきた。


「そうですか?結構普通な感じだと思いますけど」

「いやいやいや、多分うちのイエネコよりよっぽど扱いやすいと思うよ」


そういえばアスダ先輩も飼い猫がフレンズになったんだっけ。


「そのイエネコちゃんは、どんな子なんですか?」

「んー、知らない人には見向きもしないし、気がついたらフラッとどこか行ってるし、『猫の気まぐれさをそのままヒトにしました』って感じの性格だし、あと結構ツンデレだし…だがそこがいい」


確かにソラとはだいぶ逆のタイプのようだ。


「…さっきからなんで先輩は『イエネコ』って呼んでるんですか?普通に名前で呼んだらいいんじゃ…」

「…元々は名前つけてたんだけど、フレンズになった途端に『恥ずかしいからその名前で呼ぶな』って言われてね…」


元々どんな名前だったんだろうか…


「ペットのフレンズ化といえば、たしかもう1人いましたよね。キノさんでしたっけ。あまり話す機会が無くてよく知らないんですが…」

「あー、キノはすごい人見知りだから…今日もこの歓迎会来てないし。誰に対しても超絶コミュ症なだけで避けてるとかじゃないから大丈夫だよ。一度仲良くなったら結構面白い人だし」

「そうなんですね…」


またいつか、機会があれば話しかけてみたい。


「ソラちゃんの担当は慣れた?」

「あ、はい。言葉が通じる分、今までよりもずっと楽ですね」

「うん、その分だと担当1人くらい増やしても平気そうだね」

「え?」

「この前、サンドスター火山が噴火したじゃん?それで、新しいフレンズが何人か誕生したんだよ。だから来週あたりからキョウくんの担当1人増やすから。もちろんこれは他の新人さんも同じだよ」

「その担当する動物の名前って今分かったりします?」

「えーっと…」


アスダさんは手帳をパラパラとめくる。


「…あった。これだ。キョウくんの担当は…『カワラバト』ってメモってある」

「カワラバト…」

「駅前とか公園とかによくいるハトだね。メモには『少々ボーっとしたところあり』って書いてある」


カワラバト…どんな子なんだろうか。


「そんな訳だから、カワラバトについて調べるとか、色々準備しといてね。今日が金曜だから…まあ月曜日くらいには紹介できると思うよ」


そんなこんなで歓迎会は終了した。

この土日はカワラバトについて調べるのと、この1週間あまり構ってやれなかったソラの相手をして過ごそう。

今週も頑張ったなあ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る