第13話
ジャパリパーク滞在5日目。そろそろパークの雰囲気にも慣れて来た。
どこを見るかをまだ決めてないので、とりあえずその辺を散策する。
「あの、えっと、ジャパリカフェ、です!チラシ、どうぞ!」
いきなりビラを差し出された。気弱そうなネコのアニマルガールだった。
手渡されたビラを読んでみる。
ジャパリカフェ…確かガイドブックにも載ってた店名だ。アニマルガールが店員をやっているらしい。場所は…結構近くだな。いい機会だ。どんなものか、一度行ってみよう。
ゲージツ祭に行く途中に通った飲食店が立ち並ぶ通りの一角にジャパリカフェはあった。
扉を開けて、中に入る。ベルがカランコロンと音を立てた。
「いらっしゃい。今席がほとんど埋まってて、相席になるけれどもいいかしら?」
特に問題はなかったので、相席にすることにした。
案内されたテーブルには、アニマルガールが1人いた。
茶髪にベレー帽、黒い小さなマントを羽織っている。そして何より目立つのは…仮面。どこぞの仮面舞踏会に行くつもりだ?とツッコみたくなるようなものを着けている。
かなり奇抜な子と相席になったなぁ…とりあえず席に座った。
するとすぐに、店員が注文を取りに来た。
「ご注文は何になさいますか、シフゾウ様、ソラ様、そしてソラ様のご主人様」
なぜ私を知っている?と思ったが、注文を取りにきた店員は昨日出会ったディンゴだった。
「えー、せっかく変装してたのになんでこんなすぐにバレるのー?」
「それはそんな目立つ仮面をつけているからですよ、シフゾウ様」
シフゾウと呼ばれたアニマルガールは、渋々といった感じて仮面をとる。意外と可愛い。
「ディンゴさん、どうしてここに…?」
「今日は特別な日でしてね、パーク伝説のメイド、ピーチパンサー様が今日限定でここで働くのですよ」
「ピーチパンサー…?」
私の頭の中で、タラッ タラッ タラッタラッタラッタラッタラ〜〜と軽快なメロディーが流れるが、某アメリカ映画とは関係あるのだろうか?
「アタイもピーチパンサーさんが見たくて今日来たの!素性もプライベートも一切不明、なんの動物かすら不明、ただ分かるのは、中型ネコ科のフレンズってことと、凄腕のメイドってことだけ!凄いよね、みすてりあすだよねー!アタイもそれくらいみすてりあすになりたくて、その参考にしようとしてるの!」
店内を探すと、その名の通り全身をピンク色で包んだアニマルガールがいた。決して派手過ぎないが、他とは明らかに違うオーラがある。
「で、ご注文はお決まりですか?」
「あ、全然決めてなかった…えーと…」
「ああ、ゆっくり決めていただいて構いませんよ。また参ります」
ディンゴはそう言って仕事に戻っていった。
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